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3章 文化祭まで一週間

俺の専属カメラマンに任命してやるよ

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 見事に演劇部全員からデシーノの髪型変更の許可を詩音と俺で勝ち取った後の通し稽古は好調好調~♪
 俺は憧れの金髪になれた事でいつもより気分良くお転婆娘のデシーノを演じられる事が出来た。

 一通り終わった後、伊織に声を掛けられた。

 
「貴哉、絶好調じゃん♪今までで一番良いよ」

「だろー?やっぱ見た目って大事だよな~♪なぁ伊織はもう少しあるよな?」

「ああ。俺はラストまで出番あるからな。先に……いや、待っててくれるか?」


 伊織は先に戻っててと言い掛けたのか、それを辞めて珍しく俺に確認するように聞いて来た。
 俺は待ってるつもりだったけど。


「うん。待ってる~」

「良かった♪」


 伊織は安心したように笑ってみんなのとこに戻って行った。
 あんな伊織は珍しい。いつも待ってろとか一緒に戻ろうとか強制的なのが多いのに。

 まぁ俺のせいだけど……

 多分俺と空に何かあったのは勘付いてると思う。てか俺が言っちゃいそうになったしな~。
 でも伊織は言わないでくれって言ってた。
 知らないままでいたいのもあいつにしては珍しい事だ。

 はぁ、傷付けちまったか~。

 俺は先に着替えて待ってようと裏に入ると、そこには侑士がいた。


「やあ秋山くん♪金髪も似合ってるよ」

「侑士、ここで何してんだ?」

「広報部の付き添いだよ。今演劇部の取材してるから俺も見学させてもらってるんだ」

「ふーん。とか言ってお前は茜の取材だろ~?」

「なっ!からかうなよ、も~」


 とか言いつつニヤけてるぞ侑士。
 最近良く演劇部に来るけど、絶対茜目当てだよな。俺は本当の事知ってるけど、他の奴らは知らないと思う。
 こいつやたら来るけど何してんだとか思ってそー。


「そう言えば広報部が秋山の写真を撮りたがっていたぞ」

「俺の?ただの助っ人なのに?」

「謎の美少女金髪ヤンキー娘現る!とかか?記事にしてもらって記念に残すといいよ」

「美少女はいらねぇけど、悪くねぇな。ちょっと広報部探してくるわ」


 俺もこの姿気に入ってるからな。写真撮ってもらってそれ貰おーっと。
 
 俺は着替える前にステージ下に降りて卯月のとこに行く。隣にはカメラを持った男とノートとペンを持ってる男がいた。


「ようお前ら広報部?ちょっと写真撮ってくんね?」


 俺がいつものように誰にでもするように声を掛けると、驚いた顔してた。良くされる顔だ。


「貴哉くん、ちょうど君の話をしていたんだよ。こちらがボランティア部から助っ人で来てくれてる秋山貴哉くんだよ。そして、こちらが広報部の方々♪二人とも二年生だよ」

「へー、俺秋山!よろしくな!」


 二人の内、カメラを持っていた方の男がぐいっと近付いて目を輝かせていた。


「貴哉くん!是非写真を撮らせてくれ!」

「お?おう、そのつもりで来たんだけど」

「嬉しい~♪絶対撮りたいと思ってたんだよな~♪」

阿月あつき、落ち着け。秋山くん、俺は広報部で部長をやらせてもらってる仁科だ。そしてこっちは撮影、カメラ担当の新島。よろしくな」

「仁科に新島な。よろしく!」

「俺の事は阿月でいいよー♪さぁ思う存分撮らせてもらおうか~♡」


 阿月と名乗るカメラ男は、茶髪で短髪。パーマを掛けてるのか良い感じにうねっている。ニカっと笑って、話す感じも気さくな感じだった。
 部長だと言う仁科の方は見た目は普通。黒髪で前髪重めの短髪。笑顔だけど、話し方とかで大人しい感じがした。


「あ!待って!まず俺のスマホで撮ってくんね!?」

「え?いいけど……?」


 撮ってもらったら一枚貰おうかと思ってたけど、一応自分のでも撮っておこう。
 空に見せてやりてぇしな。
 俺がカメラを起動してスマホを渡すと、阿月は俺に向けて画面をいじり始めた。


「可愛い~ね~♪まず普通に一枚行くよ~」

「おう!」


 阿月がパシャパシャと何枚か撮って、それを俺に見せて来た。いや、一枚で良かったんだけどな……


「見てみてよ♪めちゃくちゃ可愛いく撮れてるから♡」

「どれどれー?おお!何だコレ!?なんかいつもと写りが違う!」

「にゃはは~♪気付いた?スマホにも付いて機能使っただけだよ。ピントを貴哉くんに合わせて背景をぼかしたんだ。てか知らなかったのが驚きだけど」

「すげー!お前やるなぁ!」

「はいじゃあ次はうちのカメラで撮らせてもらうよー♪まずはそのまま立っててね~」


 俺は綺麗に撮ってもらった礼で大人しく言われた通りのポーズを取ってやった。
 そして数枚撮った後、阿月は満足そうにニッコリ笑った。


「いやぁ~!楽しかった!貴哉くんありがとう♪また撮らせてよ♪今度はいつもの貴哉くんが撮りたい!」

「いいぜ~。阿月良い奴だし、撮るの上手いから俺の専属カメラマンに任命してやるよ」

「マジー!?やったー♪」

「おい阿月、そろそろ次行くぞ」

「はいはーい。じゃあ貴哉くんまたな!文化祭頑張ってな~」


 卯月と話していた仁科が入って来て、二人はそのまま体育館から出て行った。
 広報部か~。面白そうな部活だな。

 あれ?何か忘れてるような?

 あ、侑士だ!あいつもあの二人と一緒に来たんじゃなかったのか?

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