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2章 文化祭までのいろいろ
空ー!お前俺に嫌がらせしてやがったなー!
しおりを挟む俺と紘夢は作戦通りに、俺のスペードのAまでを消化するやり方で動いていた。
伊織と空の出し方を見て紘夢は的確に動いて俺に指示を出していた。その動きや言葉に迷いは無くて、まるで分かっていたかのように振る舞っていた。
そしてとうとう俺の超難関だったスペードのAまでの消化というミッションをクリアする事が出来た!
「紘夢すげー!これのせいでビリ確だったのにあっさりクリアしちまったー!」
「まぁ、ブロックしてたのは俺だしね~?あはは」
「桐原さん、やっぱり……」
「ああ」
俺達を見て二人がコソコソし始めた。
そして伊織が言った。
「一条に相談がある。チーム同士のカードの交換をしたいんだ」
「いいんじゃない?空くんの為でしょ?次出せるカードが無いもんね?パスも最後の一個使っちゃったし、後がないもんね~」
「!」
「ん?何で分かるんだ?」
紘夢の言葉に空は驚いていた。俺も驚いた。何で相手チームの空の手札が分かってるような言い方をするんだ?俺が聞くと、紘夢は顔色を変えずに答えた。
「ああ、俺全員が何を持ってるか分かってるんだよ。てかいーくんもそろそろ分かってるんじゃないかな?」
「手札までは分かるかよ!まぁ、早川を潰そうとしてんのは分かるけどな。はぁ、これとこれを交換しようぜ。俺はまだ一回パス残ってるからよ」
「ありがとうございます」
おお!何だかんだ伊織が空を助けてる!俺にとっては嬉しい光景だぞ!?
「でも紘夢すげぇな!みんなの手札分かってるなんて!いつ見たんだ?」
「そう捉えるんだね!面白いよほんと!カンニングなんかしてないよ。2チーム分かれて一周したら分かったよ。手札さえ分かればもう決められた通りに進めていくだけだ」
「そんな前から!?お前どんな脳みそしてんだ!」
「俺が知りたいよ。さて、二人はどれとどれを交換したのかなー?面白いね~」
「俺は全然面白くねぇよ!早く上がらせてくれ」
「じゃあ俺のこのカードと貴ちゃんのハートのK交換しようか♪そうすれば貴ちゃんが一抜け出来るよ♪」
「マジで!?」
ハートのKと聞いて空がピクッと反応した気がした。あ、やっぱりハートのJとQは空が持ってたのか!
「やっぱり貴哉が持ってたんだ……」
「空ー!お前俺に嫌がらせしてやがったなー!」
「だってこうしなきゃ負けちゃうもん!それに七並べはこういうゲームなの!」
「俺これ嫌い!頭使うゲーム嫌い!」
「落ち着けって。とりあえず勝負終わらせようぜ?もう一条の独擅場になってし。俺らの負けだ早川」
「勝負の途中で諦めちゃうなんて、いーくんらしくないねー?」
「お前が化け物だからな」
「化け物って酷いなぁ~」
良く分からねぇけど、この後、紘夢が言うように俺はすんなりカードを全部出す事が出来て、一番に抜ける事が出来た。よっしゃー!これで朝早く起きなくて済むぞ!
その後は紘夢、伊織、そして空の順で勝負がついた。
はぁ、頭使ったら眠くなって来たな~。
「やったね貴ちゃん♪俺達の勝ちだ♡」
「本当良かったぜ~。紘夢のお陰だ。ありがとよ」
「あのさ、貴ちゃん?さっきの約束なんだけど」
「約束?」
俺は何の事かさっぱり分からず聞き返す。
「スペードの4、5、6持ってる人への提案だよ。学食一週間分~。ちゃんと貴ちゃんを勝たせたしね♪」
「ああ、それか。え、お前学食食いてぇの?」
「ううん。だから違うお願いを聞いて欲しいんだ」
「何だよ?言ってみ」
「貴ちゃんの事、抱き締めてもいい?」
「いーけど?え、お願いってそれでいいのか?俺だったら学食一週間分を選ぶぞ」
「やったー♡」
大喜びではしゃぐ紘夢に、俺は大したお願いじゃなかてホッとしていた。何だかんだ学食一週間分はキツいからな。
そしてトランプを片付けていた伊織と空が話に入って来た。
「ねぇ、いーくん!貴ちゃんから許可もらったよ♪だから怒らないでね?」
「おー、聞いてたよ。貴哉がいいんなら怒らねぇよ」
「じゃあ早速♡貴ちゃん大好きー♡」
紘夢にガバッと抱き付かれた。俺もよしよしと抱き返しながら背中をポンポンとしてやった。てかこれぐらいならいつもやってね?まぁ紘夢が喜んでんならいいけどよ。
そんな中、空が手を挙げた。
「はい!俺も貴哉をぎゅーってしたいです!」
「あ?お前はダメだろ」
紘夢に便乗して抱き付いて来ようとしていた空に冷たく言い放つ伊織。あはは、だよなー?
「何で一条さんはいいのに俺はダメなんですか?ズルいです」
「一条は貴哉が出した提案に乗って見事クリアしたからその褒美だろ。ビリの癖に調子に乗るな」
「ビリになったのは桐原さんが良い手札と交換してくれなかったからじゃないですか~」
「何だと?この俺がチーム組んで助けてやったのに足引っ張ったのはお前じゃねぇか」
「何が完全無欠のスーパー高校生ですか。何がみんなのアイドルですか。所詮はトランプの七並べも出来ないただの赤い髪の男じゃないですか」
「ストーップ!空言い過ぎだぞ?伊織も睨まねぇの!」
「そうだよ二人共~。仲良くしなきゃダメだよ~」
「一条、お前はそろそろ離れろ」
伊織は俺に張り付く紘夢を無理矢理剥がそうとしていた。
そんな俺達から黙って立ち上がる空。そしてそのままこの部屋から出て行った。
どーしたんだあいつ?あんなに伊織に噛み付くのも珍しいし、また様子が変だな~。
少ししたら探しに行ってみっかな?
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