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2章 文化祭までのいろいろ
それじゃあ空を脅すか!
しおりを挟む俺と紘夢は七並べ勝負で手を組む事になったから、作戦会議をする為に体を寄せ合いお互いのカードを見せ合った。すると、紘夢は今度は腹を抱えて笑い始めた。
「あっはは~!持ってたのって全部だったのぉ!?ヤバイ!貴ちゃん予想以上過ぎてお腹痛い~♡」
「馬鹿野郎!何バラしてんだ!」
俺がスペードのAまで持ってる事を盛大に笑いながら暴露する紘夢に焦る俺。でも紘夢は態度を変えずに、笑いながら二人を見て言った。
「あー、どちらにせよバレるんじゃないかな?だってほら、二人も焦ってるみたいよ?」
「桐原さん、このままじゃ俺達のどちらかが負けますよ。どうします?」
「ここまでカードが固まっちまったのもカードを切って配った早川のせいだ。責任待って俺と組め。そんで勝つぞ」
あ!二人が嫌々ながら手を組むつもりらしいぞ!そっか。最弱だった俺が最強と組む事になったから焦ってるのか。
これに紘夢は大喜び。俺は本当に勝てるのか不安になって来た。
「な、なぁ紘夢、俺達勝てるのか?」
「俺と貴ちゃんなら余裕でしょー♡」
「だ、だよな!紘夢頼んだぞ!」
「学校一の何でも出来るスーパースターと、隠れ秀才でボラ部の縁の下の力持ちの二人との対戦かぁ♪とても楽しいね~♪」
ここで2対2のチーム戦になり、両チーム共作戦タイムに入った。
紘夢の言う通り、伊織も空もこういうゲームは得意っぽいもんな~。だから俺は紘夢を頼るしかないんだけど、任せて大丈夫だよな?
「貴ちゃんの残りのカード見せて~?」
「これだ」
「あ、スペードのAの他にもハートのKがあるね~。ここも上手く出さないと負けちゃうね~」
「え!?ハートのKがあると何で負けるんだ!?」
「だって、ハートの後半の中で一番最後にしか出せないじゃん。ハートの後半はまだ10までしか出てないから、あとJとQが出ないと出せないよ」
「紘夢は持ってねぇのか?」
「残念だけど持ってない。俺の予想だと、空くん辺りが持ってるんじゃないかな?」
「空が?何で分かるんだ?」
「空くんがダントツで手札の数多いし、パスも二回使ってるし、きっとハートのKを持ってる人の邪魔をしてるんだと思う」
「それじゃあ空を脅すか!」
「脅しても出さないでしょ。ちょっとルールの確認したいなぁ」
そう言って紘夢は少し離れた空と伊織に声をかけ始めた。
「あのさー?パスは3回までってルールだけど、4回目のパスをしたらどうなるのー?」
「それって本当に出せる手札が無いって事ですよね?俺が知ってるルールだとその場で負けになりますね」
「やっぱりそうなんだぁ。それじゃあその人が持っていた残りの手札はどうするの?」
「……あれ?どうするんだっけ?」
肝心な所で空が答えを詰まらせてエヘヘと笑った。伊織がフォローするように代わりに答えた。
「そいつが持ってた残りのカードは全部場札として本来置かれるべき場所に並べんだよ。でも、それが一枚とかだと隣に置けないんだ。例えば今ハートの10まで出てるだろ?仮にパス4回使って失格になった奴がハートのKを持っていて、場に置かれる事になるけど、Kは単体だから隣にQは置けない。連番になってるJからしか置けないって訳」
「そういう事ね~!教えてくれてありがとう~♪」
紘夢はニコニコ笑顔でまた二人に背を向けて、俺に笑いかけた。
俺、今の説明全然分からなかったぞ?紘夢は分かったんだよな?
「貴ちゃん♪俺達の勝ちだ♪」
「本当か!?勝てるのか!?」
「まずは空くんを落とそう。俺達は順当にスペードの前半を埋めよう。まず俺が3、4周して4、5、6を出すから、貴ちゃんは他の所を埋めてって。貴ちゃんはもうパス使えないから、俺が貴ちゃんがちゃんと手札を出せるように動くから安心して♪」
「お、おう!紘夢の言う事聞く!紘夢頼んだぞ!」
「えー♡貴ちゃんてば何可愛い事言ってんのー♡やっと俺の事を頼ってくれたね♡」
紘夢はとても嬉しそうに笑った。いつもの楽しそうなのとは違って、まるで本当に欲しくてずっと頑張って、やっとそれが手に入った時のような安心したものだった。
紘夢もこんな笑い方するんだ……
何でも手に入るし、何でも思い通りにいくからかいつも軽い笑顔だったのに。
違う。紘夢は誰よりも努力して来たんだ。自分の意志を貫く為に長い間我慢して、準備して、それがやっと叶ったんだ。
「紘夢、お前ってやっぱ凄えわ」
「さーて!楽しい後半戦いっくよー♪」
向こうの二人も準備が出来たようでお互い元の位置に戻る。
ここから俺は紘夢の指示通りに動く。じゃなきゃ明日の朝飯を作る羽目になっちまう!
それだけは避けなきゃならねぇ!
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