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2章 文化祭までのいろいろ
それ、貴ちゃんが描いたんじゃないでしょー?
しおりを挟む部活が終わった後、桃山に描いてもらったデザインを出そうとボラ部へ顔を出した。
「お疲れ~!これ俺の分のTシャツのデザインな!」
俺がポンッと机の上に桃山からもらったデザインの内の一枚を出すと、それを見た直登が驚きの声を上げた。
「えー!これ、貴哉が描いたのー!?」
「ま、まぁな!」
「嘘~!凄いお洒落~♪」
「まさか秋山にこんな才能があったなんてな!」
直登に続いて近くにいた怜ちんとなっちも褒めてくれた。
桃山が描いたやつだけど、ここまで褒められると何だか悪い気はしねぇな!
俺が選んだのは白黒のシンプルなやつ。男がスケボーに乗ってて、何かの技をやってて、そのスケボーの裏側が見えるんだけど、そこに英語で文字が書いてあるって言うのなんだけど、何となくかっこいいから選んだんだ。絵も上手かったしな!
すると、パソコンを見ていた紘夢が俺が出したデザイン画を見てこう言った。
「貴ちゃーん?そこに書いてある英文って何て意味~?」
「えっ!?何て!?」
紘夢はニコニコと楽しそうに聞いて来た。
慌てて自分で出したデザイン画を見てみるが、全く分からなくて、俺の心臓はバクバクだ!
やべぇ!そんな事聞かれるなんて思ってなかったから調べてねぇよ!英語なんて分かるか!
「やっぱりね~。それ、貴ちゃんが描いたんじゃないでしょー?かっこよくていいけどね~。ちなみにその英文はLive as you like.好きに生きる。だよ。貴ちゃんみたいだね♪」
「貴哉、マジで頼んだんだ……」
「誰かに描いてもらうなんて貴哉らしいっちゃらしいけど~。誰に描いてもらったの?」
苦笑いの空。直登に聞かれて仕方なく正直に話す事にした。こんなに早くバレるとは……
「桃山だよ。あいつならデザイン部だし、こういうの得意かなって。なぁ、他にもいっぱいあるからさ~!俺のこれでいいだろー?」
「うわっ!何枚あるの!?てかどれもかっこよすぎ!さすが桃山さん♡」
「凄い……」
「もう貴ちゃんは桃のやつでいいでしょ。多分貴ちゃんが描いても那智くんと似たような物だろうから」
「ガハハ!俺と秋山は似てるってよー!やっぱ男は筋トレだよな!」
紘夢に馬鹿にされたのに豪快に笑って俺に自分のデザイン画を見せてくるなっち。うん。昨日見たから知ってる……
なにはともあれ何とかなって良かったぜ~。これで面倒事が無くなったな。
話も落ち着いた頃、怜ちんが俺を見て聞いて来た。
「ねぇ、いーくんはぁ?一緒じゃなかったの?」
「さぁ?あいつ詩音と話してたから一人で来たんだよ」
「貴哉ぁ♡桐原さんと帰らないなら俺と帰ろうぜ~♡」
「いや、勝手に来ただけであいつと帰らないとは……ん?空、その手首どうしたんだ?」
ふとカーディガンの裾から見えた空の手首にあった痣を見付けて聞くと、ササッとカーディガンを手の指が隠れるまで伸ばして見えなくしていた。
「これは……昨日ブレスしたまま寝ちゃって跡が付いちゃったんだ」
「まじ?結構痛そうだったぞ?」
「全然痛くないから大丈夫♪それよりも貴哉と帰れないんじゃ先に帰ろうかな~?みんなも帰りますよね?」
まるで話を誤魔化すかのように椅子から立って鞄を持ち始めた。こりゃ何かあるな……
俺は怪しい空の腕を掴んで怜ちんに言った。
「怜ちん伊織に伝言頼む!空と帰るから心配すんなって言っといて~」
「えー、それ絶対心配されるじゃんっ!」
「任せろ秋山~♪早川とお幸せにな~♪」
「なっち!それ伊織に言うなよ!」
なっちに任せるのは不安だけど、今は空だ。
さっき見た痣はブレスレット何かで出来るような物じゃなかった。もっと太くて、ぎゅーって締め付けられるような感じのじゃね?
俺は空を引っ張って部室を出た。その間空は黙って付いて来た。
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