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1章 二学期中間テスト
※ 早川はノンケなんだろ?何であそこにいたんだ?
しおりを挟む※心side
クラスメイトの秋山貴哉と教室の外の廊下で話していたら、突然話の種の人物である早川空が現れて俺だけ呼ばれた。
うわー、今の話聞かれたかな?
告げ口みたいな内容だしなぁ。
早川はみんなに接するような笑顔だったけど、内心は何を考えているのか分からなかった。
なんて言うか、詳しくは知らないけど、ずっと付き合っていた秋山と別れたとか。それで秋山は他の人と付き合う事になって、早川は一人……?
正直早川の事は良く分からない。クラスでもグループが違うし、話しても世間話程度だ。
早川の見た目は相変わらずチャラいと思う。元々肩より下まで伸びていた髪を一度は短く切ったものの、今では肩につくぐらいまで伸びていて、そんな髪を毎日いろんな髪型にアレンジしたりしていた。髪の色はライトブラウン。制服も、ネクタイこそ締めているけど、緩い。薄茶色の大きめのカーディガンを羽織っていて、男の俺でもお洒落が好きなんだろうなと分かるような見た目をしている。
予鈴が鳴ったけど、俺と早川は教室からそんな離れていない廊下で二人きり話す事に。
早川はくるっと振り返り、笑顔で聞いて来た。
「さっきさ、貴哉に俺の話したぁ?」
「……早川の話って?」
「とぼけなくてもいいよ。サウナで俺を見ただろ?」
「あのさ、早川はノンケなんだろ?何であそこにいたんだ?」
「そんなの金目的に決まってんじゃん。ココもじゃねぇの?まさかあんなとこで学校の奴に会うとは思わなかったけどな」
早川は変わらず笑っているけど、本心は分からない。
でもこれであの時、ハッテン場にいたのは早川だったって事が確定したな。
どうやら早川は秋山にこの事を話したのか知りたいらしい。
そして、俺とは違う目的であの場所にいたのも分かった。俺はゲイだ。だから本気の出会いを求めてたまにハッテン場を利用している。
その場限りとか、早川のようにお小遣い欲しさで利用する人も少なくない。てか半分はそんな人達ばかりだ。
もちろんこの事が学校にバレれば俺も早川も危ないだろう。
そして俺自身がゲイだと言う事も周りには知られたくない。だから俺は早川とは違う目的であの場にいたとは言わなかった。
「で、貴哉には話したのか?」
「ごめん。二人は仲がいいと思ったから。それに、早川が会っていた人って俺とは違って、何か危なそうだったから……」
「ま、もう貴哉と俺は何もないからいいけどさ~。あまり人の話を周りにしないでもらえる?いろいろやりづれーから」
「分かった。もうしない。なぁ、俺があそこにいた事は誰にも言わないで欲しい」
「俺は言う気ねぇよ。今後ああいうとこで会ってもお互い見て見ぬ振り。それでいいんじゃね?」
「うん。分かったよ」
「それと、貴哉何か言ってた?」
「心配してた。秋山もそのサウナに行こうとして、実際本当に早川なのかを確認しようとしたから止めたよ」
「あは、貴哉らしい~。絶対止めろよ?」
最後に早川は困ったように笑って先に教室へ戻って行った。
俺は早川に酷い事をしちゃったな。
自分もそういう場所を使ってる事をバレたくない癖に、早川の事は話しちゃうなんて。
これからは気を付けよう。
でも本人も言ってたけど、早川が会っていた人は大分年上の大人だった。下手したら俺達の父親と同世代じゃないのってぐらい。バイト感覚でやってるんだろうけど、良い人ばかりじゃないだろうからそこは心配だけどな。
それもあって一番早川と仲の良い秋山に話したんだけど、本人にも注意されたし、これ以上首を突っ込むのは辞めよう。
やたら嗅ぎ回って下手しても、俺自身が危なくなるからな。
秋山にこの話題を出されたらちゃんと謝ろう。
俺は少し反省をして、早川の後に教室へ入った。
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