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1章 二学期中間テスト

はぁ?るいたんだぁ?頭おかしいんじゃねぇのおま……る、るいたん!?

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 俺と伊織は何か食ってから俺んちで勉強する事にした。近くのファミレスに入ると、学生でいっぱいだった。


「あちゃー、みんなテスト勉強してんなー。他行くか?」

「嘘だろ!こいつらみんなこんなとこで勉強してんの!?」

「そこ、そんな驚くとこか?」

「だって、俺達みたいに飯食いに来た奴らにとって迷惑だろ!」

「確かにそうだけど、今の時期だと他もこんな感じじゃね?」

「ぐぬぬ……」


 何だよみんなして勉強勉強って!ここにいる奴ら本当に勉強なんかしてんのか?ただ仲間と連んでくっちゃべってるだけじゃねぇのか?
 
 俺がイライラしてると、横を通った奴にジーッと見られた。マジで何なんだよ!人が怒ってんのがそんなに見たいか!?そんなに珍しいか!?
 俺はそいつを睨むと、そいつはパァッと笑顔になって、近寄って来た。
 あ?何?やんのか?
 ガン飛ばした相手が久しぶりに引っかかったからちょっと動揺しちまったぜ!


「なぁお前貴哉だろー?俺だよ俺~!覚えてるー?」

 
 そいつはさも俺の事を知ってるかのように話し掛けて来た。背の高い、青い髪の男だった。青いTシャツの上にダボっとした黒のパーカーを羽織っていた。そして口元にはピアスが2個。見た感じ柄の悪そうな男。
 こんな男知らん!


「何だテメェ?知らねーよお前なんか」

「うっそ!俺だよ!るい!るいたん覚えてねぇの!?」

「はぁ?るいたんだぁ?頭おかしいんじゃねぇのおま……る、るいたん!?」


 るいたんと言う名前を聞いて俺の頭は勝手に記憶を遡った。そして辿り着いた記憶と今目の前にいる青い髪の男が一致して俺は凍りついた。
 俺はこのるいたんと名乗る男を知ってる。

 それは昔、一緒に遊んだ事のある男だった。
 母ちゃんの友達の息子で、俺の一個下って言うんで母ちゃんに会いに来た友達がこのるいたんを連れて来て俺に相手をさせていたんだ。俺の母ちゃんは友達の中では若くに俺を産んだから周りにはこのるいたんしか同世代の子供がいなかった。
 俺が引っ越してからは頻繁に会う事はなくなったけど、それでも母ちゃんと友達が会う時はこいつは一緒にやって来た。そうだな、小学校低学年までは遊んでいたか?
 くそ、嫌な事思い出ちまったぜ!
 俺はこのるいたんが苦手だった。

 特別仲が悪い訳でも、喧嘩した訳じゃねぇ、こいつの性格が苦手なんだ。
 見た目こそ全く別人になっていたけど、よく見りゃこの大きな目や口角の上がった口元とかがなんとなくそのるいたんに似ていた。


「あー思い出してくれたー♪久しぶりだなぁ♪」

「伊織!違う店行くぞ!」

「でも知り合いだろ?いいのか?」

「知らない人だ!」

「貴哉ってば照れてんの?どうも初めましてー♪俺石原類いしはらるいって言いますー♪ピチピチの中三でーす♪」

「あ、ども。俺は高二の桐原伊織。中学生?大人っぽいな~」

「伊織さんもかっこいいっすね~♪」

「おいっ!店に迷惑だからさっさと行くぞ!」


 ニコニコ呑気にお互い挨拶をしてる二人に、俺は伊織の腕を引いて強制的に店の外に出た。さすがに類は追っては来なかった。
 まさかこんなとこで会うとは……お互いデカくなってからは会う事はなくなったから油断してたぜ。
 類はああやって普段は明るくて人懐っこくて良い奴だ。ただちと面倒なとこがあるだけ。そこさえ目を瞑ればいい弟。俺はずっとそう思い込んで類に接して来た。だから嫌いじゃなくて苦手なんだ。
 そんな事だとは知らない伊織は俺の類に対する態度が気になるのか、当然の如く質問された。


「あの子貴哉の何?仲良いの?悪いの?」

「……普通。母ちゃんの友達の子供で、ガキの頃遊んでた奴なんだ。もう会わねーと思うから気にしなくていいからな」

「そう言う事か。貴哉があんな態度してるから何かあったのかと思った」


 あったと言えばあった。けど、本当にもう会う事はねぇし、伊織に話す事でもねぇなと思って詳しくは話さないでいた。
 きっと伊織は類に対して俺の反応が微妙だったから少し機嫌が良いんだ。多分、類に親しげにしてたらやきもち焼いてうるさかったと思う。
 うん。だからこれでいいんだ。
 触らぬ何とかには何とかって言うしな!

 類に会ったせいで食欲無くなったからコンビニで軽く買ってそのまま俺んちに行く事になった。

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