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1章 二学期中間テスト

母ちゃん!俺の良い所も言ってくれ!そろそろ息子は泣くぞ!

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 夜、伊織も混ぜて母ちゃんと三人で夕飯を食っていた。母ちゃん特製肉カレーに伊織は満足そうだった。


「凛子さん、めちゃくちゃ美味しいです♪肉がゴロゴロ入っていて、貴哉好みですね♪」

「だろー?貴哉は肉が好きだからね。ニンジンが嫌いだからこうして小さく切って入れてんだけど、今でもたまに残すんだ。ほんとガキで困る」

「貴哉ニンジン嫌いなのか?」

「嫌い。てか野菜嫌い」

「可愛いー♡」

「可愛いくないよっ!これでもマシになった方だけど、ガキの頃なんかこっそり庭に捨ててやがったんだ!しばらく夕飯はおかず無しにしたら渋々食べるようになったんだ」


 ビールを飲みながら伊織に俺の子供の頃の話をする母ちゃん。
 あったなー、そんな事。本当に俺だけおかずを出して貰えなくて、一日目は白米に塩をかけて食ったな。二日目も白米だけなのを見た時に俺は泣きながら謝って、嫌いなピーマンを泣きながら食った覚えがある。今思えば子供相手に虐待じゃね?母ちゃんこえーから言えねぇけど。


「貴哉、バランス良く食べないと体に悪いぞ?あ、勉強出来ないのってそのせいかもな」

「お前、人の母ちゃんの前で良くそんな悪口言えるな」

「何言ってんだい。伊織の言う事は間違ってないだろ。お前は好き嫌いし過ぎなんだ。魚だって骨が面倒くせぇとか言ってろくに食べないし」

「母ちゃん!俺の良い所も言ってくれ!そろそろ息子は泣くぞ!」


 二人して俺の事を馬鹿にしやがって!
 良い所を聞いて気分を変えよう!
 母ちゃんはしばらく悩んでから話し出した。
 伊織も楽しそうに聞いていた。


「そうだなぁ、私が思う貴哉の良い所は、何だかんだやる時はやる所かな?高校入試の時にいきなり進路変えた時はさすがにダメだと思ったけど、しっかり受かってるしね!あの時は周りに自慢しまくったもんだ♪」

「それ、聞きたかったんですけど、貴哉はどうやって勉強したんですか?凛子さんには言いにくいですけど、貴哉は今城山での勉強について行けてないみたいですけど」

「だろうな。あん時の貴哉は人が変わったかのように部屋に篭ってたからね~。受験が終わった途端に元に戻りやがったけどな。それと、受験の時は父ちゃんが見てたんだよ。父ちゃんはあたしらと違って頭良いからね」

「父ちゃんマジで凄えぞ。何で母ちゃんと結婚したのか分からねぇぐらい頭良いんだ」

「失礼な子だねぇ~。私は断ってたんだけど、父ちゃんがどうしてもって言うから結婚してやったんだからな!」

「そうだったんですね~。確かに頭良さそうな感じしますよね、貴哉のお父さん」

「あ、ちなみに死んじまった本当の父親は全く勉強ダメだったから。貴哉は本当にそっくりだよ」


 あははと嬉しそうに笑う母ちゃんはいつもそれを言うけど、写真でしか見た事ねぇ本当の父ちゃんには似てないと思う。性格は知らないけど、母ちゃんはそれで満足そうだから俺は特に何も言わないでいるけどな。


「俺も会いたかったです。貴哉の本当のお父さんに。でも、今のお父さんも良い人ですよね。凛子さんの事を凄く大切にしていて男として尊敬します」

「さすが伊織~。上手いね~♪そうだ!貴哉のガキの頃の写真見るか!?おい貴哉!アルバム持って来な!」


 出た!客が来た時の酒が入った母ちゃんの決まり文句!無理矢理俺のガキの頃のアルバム見せて自慢しまくるやつだ!
 

「てか伊織は夏休みに泊まった時にみんなで見ただろ!母ちゃん飲み過ぎ!伊織も食ったらそろそろ帰れよ。お前んち遠いんだから遅くなるだろ」

「俺は何時になっても平気だよ。なんなら泊まってってもいいぐらいだ」

「伊織、お前の親は心配しないのかい?」

「うちはあまり帰って来ないので、俺が帰ってない事にも気付いてないですよ」

「ありゃ、まぁいろんな家庭があるからなぁ~。そうだ、もうすぐ父ちゃん帰って来るから車で送ってってもらいな。今急いで帰れって言っとくから」

「えー、仕事で疲れてるのに悪いですよ~」

「送ってもらえ。俺も付いてくから」

「そうだぞー!貴哉に勉強教えてくれてるお礼だ♪」

「じゃあお言葉に甘えて♪」


 どうせ母ちゃんは帰りに酒買って来いって言うんだろうな。いつもこき使われてる父ちゃんは一見可哀想に見えるけど、本人は母ちゃんの為なら喜んでやるだろう。俺に文句を言いながらな。

 
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