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1章
誰だそんなデマ言ってやがるのは!!
しおりを挟む教室に行って、無意識に藤野を探してた。
桃山が話題に出すから少しだけ気になったんだ。
藤野は教室内の自分の席に一人で頬杖をつきながらボーっと音楽を聞いているようだった。
俺はそーっと近付いて、後ろから藤野の肩をポンっとして脅かしてやった。
「藤野っ!」
「わっ!て、秋山?」
驚いた藤野はビクッと肩を揺らして、目を大きくさせ、イヤホンを取りながら俺を見上げて来た。
うん、今のところ変わった所はなさそうだ。
「おはよ。なぁお前最近トラブってんの?」
「え?」
率直過ぎたか?藤野は意味不明な物を見るような顔をしていた。
「さっき桃山にお前を見たって聞いてよ。なーんか揉めてたらしいじゃん?平和主義のお前が珍しいな」
「別に……揉めてなんてないよ」
俺がいつものノリで軽く聞くと、藤野はフイっと顔を逸らした。
明らかに元気がない。
無理に聞いても教えてくれねぇだろうから俺はこのまま引く事にした。
「そ。んじゃ何かあったら言えよ。そん時は話聞いてやっから♪」
「うん」
それだけ言って俺は自分の席に行く。
藤野は前から目立つのを嫌がるんだ。だから誰かと揉めたりとかは自分からしねぇと思う。
ま、俺から面倒事に首突っ込んでも責任取れねぇし、話してくれねぇならそれでいいと思っていた。
それから普通にいつも通りの時間が過ぎていき、昼休みになった。
あれから藤野は誰とも話していなかった。
いつも一緒にいる奴らはどうしたと見てみると、そっちはそっちでいつものメンバーで楽しんでるようだった。あいつ虐められてんの?
「貴哉~♪今日のお昼食堂行かねぇ?」
「ああ、いいけど」
空に声を掛けられて藤野から目を逸らす。
俺の様子を見て、空が少し気にしていた。
「さっき誰の事見てたのー?」
「んー、別に」
「えー!それやだ!」
「うるせぇなぁ。藤野だよ。朝桃山があんな事言うから気になっちまってよ。あいついつもいる奴らと話してねぇんだよ」
「ココー?」
俺が教えると、空は藤野の方を見た後、教室の中を見渡した。
藤野は今も一人で席に座ってボーッとしてる。
「もしかして揉めてたのって同じクラスの奴かな?」
「そうっぽいよな」
「あ、貴哉どこ行くの?」
俺は空と話しながら立ち上がって藤野の所まで歩く。そして立ち止まり藤野を見下ろす。
気付いた藤野は気まずそうに顔を逸らした。
「おう、一緒に飯食わねぇ?食堂行こうぜ♪空が奢ってくれるんだってよ」
「はぁ!?そんな事一言も言ってねぇじゃんっ!」
「黙れ!俺と昼飯食いたかったらBランチ奢れ!」
「それ脅しだぞ!もう~!分かったよ!今日だけだからなぁ~」
空が金を持ってるのは知ってるんだよ。
なんてったってこいつは紘夢んちでバイトしてっから、普通の高校生がバイトするより稼いでる筈だ。
その証拠にまた一段と髪がサラサラになってるじゃねぇか。トリートメントに金掛けるなら俺に飯奢るぐらい黙ってやれってんだ。
そして肝心の藤野は、そんな俺と空を見て困ったように笑った。
「はは、お前ら相変わらずだな」
「ほら早く行くぞ!席取れなくなっちまう」
「今日天気良いからテラス席がいいな~♪」
「寒いからやだ」
何でわざわざ寒空の下で飯食わなきゃなんねぇんだよ。意外と食堂のテラス席って人気あるんだよな。伊織もあそこ気に入ってたし。
俺達は廊下を歩きながらもその話を続けていた。
何とか藤野を連れ出す事に成功したな。
「飯食えば暖まるだろ」
「外とか食う前から寒いじゃん」
「ワガママだな貴哉は~」
「ワガママはどっちだコラ!」
「もー、二人は仲良いの悪いのどっちなの~」
俺と空のやり取りを見て藤野はやっと笑った。
別に笑わせるつもりじゃなかったけどな。
「ちょー仲良いよなー♡」
「普通だ普通」
「貴哉ってば照れちゃって~♡」
「そう言えば桐原さんとはどうなったんだ?いろいろな噂は聞くけど」
「へー、どんな噂だ?」
「一番多いのは別れたって事かな。後は別れてないけど、秋山が……いろんな男と浮気しまくってるとか……」
「ああ!?誰だそんなデマ言ってやがるのは!!ぶん殴る!!」
「落ち着け貴哉!噂だから噂!」
落ち着いてられるか!
別れてないけど浮気しまくってるだぁ!?どっちも間違ってるじゃねぇか!!
どんな面白い噂が聞けるかと思ったらめちゃくちゃディスられてんじゃねぇか!!
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