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※だから気が合うのかもね僕達
しおりを挟む※空side
カフェでワタルさんと会ってから一時間が経とうとしていた。
ワタルさんはケーキを食べて満足そうにクリームソーダを飲んでいる。
今年20歳の大学生だって話だけど、本当かは分からない。見た目はもっと下に見える。下手したら俺と変わらないんじゃないか?
車運転してるしそれは無いだろうけど、それぐらいワタルさんとは話しやすかった。
「空、この後時間ある?」
「え、まぁ予定は無いですけど」
「ドライブしない?そのまま家の近くまで送って行くよ」
ここまでは20分かけて徒歩で来た。だからそれは助かるけど、車に乗って大丈夫か?もしワタルさんが本当は悪い人だったら……
「もしかして警戒してる?ならコレ見せようか」
ゴソゴソと財布から取り出したのは運転免許証と学生証。運転免許証には顔写真と本名と住所……東郷ワタルって本名なのか?
いや、偽造かもしれないよな。
「名前、本名なんですか?」
「そうだよー。嘘言っても意味なくない?写メ撮ってくれてもいいよ」
「いや、大丈夫です。見せてくれてありがとうございます」
「じゃあドライブ行こうかー♪」
そう言って会計の札を持って立ち上がり、店を出た。少しだけならいいか。
ワタルさんの車の助手席に乗り込みシートベルトを締めていざドライブへ。
運転中のワタルさんはメガネを掛けていた。
「いやぁ、楽しいなぁ♪若い子とお茶してドライブ出来るなんて♪」
「歳あまり変わらないじゃないですか」
「そう言えば空は本当は何歳なの?」
「え」
「何か大人っぽいからさ~、もしかして僕とタメだったりして?」
「……16です。高一です」
「え、本当に16歳なの?」
「歳は嘘ついてません。学年を二年って嘘ついてました。本当は一年ですよ」
「えー!じゃあこの前まで中学生だったって事ぉ?凄い大人っぽいからもっと上なのかと思ったよ」
「ワタルさん、俺の兄貴と同い年ですよ。確か今年二十歳って言ってましたよね?」
「え、お兄さんいるの?そうなんだ~。はは、やっと空から空の話をしてくれたね」
「……ワタルさん良い人そうだから。免許証と学生証写メったし」
「あはは嬉しい~♪お兄さんは大学生?」
「ううん。社会人。友達と店開いて経営してる」
「経営者か!若いのに凄いね。そっか~。だから気が合うのかもね僕達」
「……ワタルさん話しやすいです。だから言っても大丈夫かなって」
「それは嬉しいね。ところで空の家ってどっち方面?ドライブしながら向かうから教えて」
「えっと……」
さすがに家は、ってか兄貴のマンションなんだけど、近くのコンビニでいいよな?
「ここから一番近い駅から少し離れた所にあるコンビニ分かります?そこで大丈夫です」
「え、家まで送るよー?それとも駅に近いの?」
「はい」
「ふーん。分かった。じゃあ向かうね」
ワタルさんは運転が上手かった。
高級車で乗り心地が良かったのもあるけど、とても安心して隣に居る事が出来た。
それからしばらく走って目的のコンビニに到着した。車を停めてワタルさんはメガネを外して言った。
「到着~!いやー空とのドライブ楽しかったなぁ♪ねぇ、また誘ってもいいかな?」
「時間が合えばいいですよ」
「やったー♪あ、そうだコレ、今回の分ね」
そう言って鞄から封筒を取り出して俺に手渡して来た。
あ、金か。俺は受け取って軽く触って驚いた。
だって封筒が分厚くて、前回の何倍も入ってる気がしたからだ。
「ワタルさん、こらいくら入ってるんですか?」
「気にしないで受け取ってよ。とても楽しかったから気持ち多めに入れておいたんだよ」
「でもこんなに貰う訳には……」
「もぉ、俺がいいって言うんだからいいのー。空には感謝してるんだから」
正直受け取るか迷った。
お茶して話してドライブしただけでこんなにくれるなんておかしいし、何よりワタルさんからお金を貰うのに気が引けた。
本当は断りたかったけど、もしこれが貰えたら母さんともケリがつけられる。
だから迷ったけど、俺は受け取る事を選んだ。
「ワタルさん、ありがとうございます」
「はーい♪じゃあまたね~」
俺が受け取るとまたメガネを掛けて、コンビニを出て行った。
まだ不思議な感じだった。
今俺は大金を持っている。
鞄なんて持ってないから、普通に手に持っているんだけど、無くさないうちに早く渡してしまおう。
俺は早足で母さんの住むアパートへ向かった。
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