9 / 43
※そこらの女より断然可愛い
しおりを挟む※空side
貴哉に役立たずと言われてショックで逃げて来ちゃったけど、やっぱり追ってきてくれないんだよなぁ。すぐに追いかけて来てくれるかもとか期待した自分が馬鹿だった。
行く宛もないから今日のお昼は売店でパンを買って一人で食べようと中庭まで来てみた。
空いてるベンチはーっと……
「あ、空ー!こっちこっちー」
「?」
名前を呼ばれて見てみると、同じ中学だった友達の田中が大きく手を振っていた。ちょうどいいや、田中が座ってるベンチに座らせてもらおーっと。
「おっす、久しぶりじゃん田中ー」
「クラス結構離れてるもんなー。てか空ってさ、今男と付き合ってるってマジ?」
「マジマジ。初めての彼氏だよん」
「へー、あの空がなぁ。女子が聞いたら怒りそうだな」
「女の子ねー、もうしばらく遊んでねぇなぁ」
貴哉と出会ってから女と遊びたいとか全く思わなくなったな。前までは男と遊ぶより女と遊んだ方が楽しかったんだけど、まさか自分が男を好きになるなんてな。
「彼氏ってさ、ヤンキーなんだろ?怖くねぇの?」
「全然。むしろ可愛いと思うけどな」
「可愛い!?」
「そこらの女より断然可愛い。あ、手出すなよ」
「出さねぇよ!俺彼女いるし!」
「ああ、中学から付き合ってるあの子?まだ続いてるとかすげぇね」
「普通だろ。空が遊び過ぎなだけ」
俺の付き合った最長記録は中学の時の一ヵ月だ。だから貴哉との付き合いは長い方。周りは何年とか付き合ってるカップルいるけど、俺は一人の人と長く付き合うとか向いてないみたいで他にいい子が居たらすぐに別れてたんだ。
付き合ってない時も他の子と遊んだり、そんなフラフラした付き合いばかりだったから今貴哉との付き合い方が新鮮って言うか、俺からしたら新しくて楽しい。
「もう遊んだりしてねぇよ。貴哉ラブだもん」
「みたいだな。いつも一緒にいるの見掛けるし」
「実はさ、貴哉にショックな事言われてヘコんでるんだよね。役立たずなんだって俺」
「あはは!それ面白いな!空の事そんな風に言う奴初めて聞いた!」
「笑い事じゃねぇよ。はぁ、やっと付き合えたのに振られたらどうしよ」
「珍しいな空がそんな弱気なの。レアだから写メ撮っとこ~」
昔の俺を知ってる人からしたらそう感じるのか。正直俺も今の俺にビックリする事はあるよ。
それだけ貴哉の事、本気なんだって思ってるし、誰かに対してこんな思いするの初めてだからどうしたらいいのか分からねぇし、本当恋って難しいんだな~。
田中に写メを撮られ、俺は溜息を吐いてたら急に強い風が吹いた。
「痛っ」
「へ?どした田中」
「今の風で目に何か入った!いってー!なぁ何か入ってないか?」
涙目になりながら俺に目を見せてくる。顔を近付けて良く見てみるが、見た感じ何もなさそうだけど、さっきの風で砂埃でも入ったんだろ。
「いや、大丈夫そうだけど?目薬とかねぇの?」
「無いよそんなの!いてー!」
「擦るな。眼球傷付くぞ」
と、ここで背中に悪寒が走った。
何だこの殺気?どこかで感じた事のあるような殺気……
次の瞬間、真後ろに何かが落ちて来たような音がして振り向くと、物凄い剣幕の愛しの貴哉がしゃがみ込みながらこちらを睨んでいた。
10
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説
いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。
すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。
そこで私は一人の男の人と出会う。
「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」
そんな言葉をかけてきた彼。
でも私には秘密があった。
「キミ・・・目が・・?」
「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」
ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。
「お願いだから俺を好きになって・・・。」
その言葉を聞いてお付き合いが始まる。
「やぁぁっ・・!」
「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」
激しくなっていく夜の生活。
私の身はもつの!?
※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
では、お楽しみください。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
オッサン、エルフの森の歌姫【ディーバ】になる
クロタ
BL
召喚儀式の失敗で、現代日本から異世界に飛ばされて捨てられたオッサン(39歳)と、彼を拾って過保護に庇護するエルフ(300歳、外見年齢20代)のお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる