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第21話『黒騎士と皇女』
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「おいおい。今度はどこぞの
お姫様と黒騎士かよ。
辺境でスローライフしている
だけなのに次から次にいろんな
者が流れ着いてくるな」
ゴーレムが両脇に二人の
人間を抱えサトシの
もとにやってきた。
一人は金髪ストレートに
いかにもお姫様といった感じの
フリフリの白ドレスを着た少女、
もう一人は漆黒の甲冑に身を
包んだ細身の騎士である。
ほんの数十分前の出来事である。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「一体なんなんですのーっ!」
皇位継承権第一位第一
皇女フレイヤは"化外の地"
の森のなかで叫んでいた。
「くっ……フレイヤ様だけは、
俺が――守るッ!
エンチャント・ダーク・フレイム」
黒騎士の持つ超大な剣、
クレイモアに黒炎が灯される。
漆黒の甲冑をまとった
ダーク・エルフの黒騎士が
黒炎をまとったクレイモアを
目の前のゴーレムに向かって振るう。
黒炎をまとったクレイモアの
一撃がゴーレムの体に直撃。
爆発と爆煙が生じる。
「――っやったか!?」
もくもくと立ち込める
爆煙を振り払うように大ぶりの
ゴーレムの横薙ぎの豪腕が振るわれる。
ダーク・エルフの黒騎士は
第一皇女フレイヤを守るために、
自身の盾に魔法を付与し、
ゴーレムの拳を受け止める。
ゴーレムの石の巨腕が盾に
触れると――盾はバリバリと砕かれ、
そのまま黒騎士の脇腹に直撃。
魔法で強化した盾で減速して
いなければ内臓破裂しかねない
勢いの一撃であった。
「……がはっ!」
黒騎士は口から血を吐き、
血液によって気道が防がれる
のを防ぐ。
(これがゴーレム? ありえない、
ありえないぞこの強さ?!)
ゴーレムとは言っても、
無尽蔵のエネルギーを生み出す
ダンジョン・コアを内燃機関
として備え、サトシによって
超強力な強化が施されている
ゴーレムである。
黒騎士は力技で押し切る事が
不可能であることを即座に
判断しバックステップで
で距離を取る。
そして、背中の長大な弓を
右手に構え左手に
五本の矢をつがえ弓から速射する。
ダーク・エルフ族の得意な
弓による攻撃。
「シューティング・スター・ノワール」
ゴーレムの部位の中でも
比較的脆弱な接合部に
絞り矢を放つ。
黒騎士が放ったヤジリの先端には
小型でありながら強力な
爆薬が仕掛けられている。
相手が人間であれば確実に
殺戮できる程の強力な射撃技。
ゴーレムの首の付け根、
両肩の付け根、両足の付け根に
ヤジリの先端が接触。起爆。
ゴーレムの右腕が吹き飛ぶ。
「ちっ。破壊までは出来ないか。
フレイヤ様、逃げましょう!」
黒騎士はフレイヤの手を取り、
深い森の中を進む。
しばらく森の中を駆けていると
黒騎士の後頭部に
ガツンという衝撃があり、
そこで意識を失った。
先程倒したと思ったゴーレムが
自分の右腕を投擲武器として
投げつけていたのであった。
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
意識を取り戻した黒騎士は
開口一番、目の前の男、
サトシに向かってタンカを切る。
「貴様は、彼女の命を
狙いにきた刺客か?!」
黒騎士はフレイヤの盾に
なりながらサトシに
向かって威圧をかける。
「始めまして。俺は村の村長の
サトシです。えーっと。
まず、あなた方はどちら様で?」
「とぼけるな! あのゴーレムを
使役していたのは貴様だろ!」
「ええ、そうです。村の自衛のために
とりあえず不審者がいたら
捕まえるようにと命じている
ゴーレムなので」
「白々しい嘘をつくな!
あのゴーレムはこの規模の村を
守るに使うなんて過剰過ぎる戦力だ」
(まあ。そんなのがあと100体
くらいいるんだけどね)
「まあ。でも、今回みたいな事も
あるから実際役立ってるでしょ?」
「くっ……!」
「サトシさん、大変申し訳ございません。
彼は魔王四天王、忠節の黒騎士ウルズ、
そして、わたくしは第一皇女フレイヤ」
(第一皇女様だってえぇええ!?
あの、皇位継承権第一位の
皇帝が崩御された時は、
その後を継ぐと言われている
あの皇女か!? なぜ、こんな
辺境の地に!? それにしても
この黒騎士四天王なのか……
この村は四天王ホイホイかな?)
あまりの事実に驚愕しながらも、
いままでのことを振り返り
事実として認める。
「お初にお目にかかります。
フレイヤ皇女殿下。
失礼ではありますが、貴女の
ような高貴な身分の方が
このような辺境の村に
いらっしゃった経緯を
お話いただけますでしょうか?」
「堅苦しい言葉はおやめ下さい。
サトシ様、わたくしは命を
狙われていたからとはいえ、
王都から逃げ出した者です。
いまのわたしは皇女ではなく、
ただのフレイヤです」
「俺は、魔王四天王の一人
|忠節の黒騎士《ロイヤル・ナイトウルズだ。
フレイヤ様を守るために
王都から逃げて来たのだが
よもや、このような化外の地
村があるとはな」
「わたくしは、素敵な村だと
思いましたわ。空気が綺麗で
どの建物もよく手入れが
されていますし、何よりも
空気がおいしいですわ」
(おっ。皇女様"空気"を2回褒めたな。
都会の人が田舎の村に来て
褒めることが思いつかないと
とりあえず言っておくアレだな)
「本来は四天王の一人、魔神将が
この地域を制圧しているはず
だからここで合流しようと
思っていたのだがアイツどこに
いきやがったんだ?」
村の深い深い土の中である。
「状況はだいたい分かりました。
それでは四天王の一人
忠節の黒騎士ウルズさん、
魔王ユミルさんをご存知ですね?」
「当然のことだ。俺の忠義は
全て魔王さまに捧げている」
「それじゃあ、魔王ユミル
さんのもとにお連れしますよ」
サトシは、ユンとヤンの件も
あったので四天王関連の
面倒事はユミルのところに
連れて行くのが最善策だと
学んでいるのであった。
「フッ……。はったりを。
こんな辺境の地に、魔王様
がいらっしゃるはずがあるまい」
第一皇女のフレイヤもサトシの
言葉が半信半疑のため、
ウルズにささやく。
「ウルズさん。とりあえずは
会いに行きましょう。
"マオー・ユミル"という名前の
同姓同名の人物の可能性も
ありますよ?」
「ふっふっふっ。この忠節の
黒騎士の前で魔王の名を
騙るふらち者など一太刀
のもとに斬り伏せてやろう」
「口で説明しても納得して
くれないと思うので、
俺の後ろについてきてください」
サトシはユミルの家に
二人を案内する。
「このような辺境の村の中で
魔王を騙る者が現れるとは。
どのような面を
しているのか楽しみだ」
ユミルの家の扉を開けると、
ウルズのよく見知った顔が
3つもある。
魔王ユミルと、ユンと、ヤンだ。
「おい。ウルズ。お前こんな
ところで何油を売っているのだ?」
「……ユミル様?」
「そうだ。我は魔王ユミルその人だ」
「魔王様がなぜこのような所に
いらっしゃるのでしょうか?」
「ごっ……極秘任務である」
ユミルは咳払いをしながら
ごまかすと、ユミルのもとに
サーシャが紅茶を持ってくる。
ユミルはその紅茶をひとくち
飲むとウルズの尋問を続ける。
「だいたたいだな。ウルズよ。
お前は王都に人族の動向を
探らせるために間諜《ウルズ》として
放ったのにろくに我には報告を
一切せず、バンバン経費を使うわ
一体全体どうなっているんだ?
おまけに遠距離出張手当と
長期宿泊手当まで請求しおって……」
「 」
「おいウルズ。何か言え」
「 」
「魔王ユミル様、
黒騎士ウルズのことは
そこまでにしていて
いただけませんでしょうか?
ウルズは私の命の恩人で
あり、わたくしの――騎士です」
王都からこの村に来るまでの
長旅の最中に"いろいろ"あり
そういう仲になったのであった。
ユミルがウルズに鋭い目線を
向けると、ウルズはしれっと
他の方向に目線を逃した。
「第一皇女フレイヤ様が
どうしてこのようなところに?」
「わたくしの腹違いの姉妹たち
つまり他の皇位継承者が仕向けた、
暗殺者に殺されかけていたところを、
間一髪というところでウルズに
命を救われ、長旅の末にこの村に
たどりついたのです」
「ウルズよ。
第一皇女フレイヤを救った
のは大義であった。
流石は我の忠節の黒騎士、
四天王の名に恥じぬ
素晴らしい働きをして
くれたな。褒めて使わそう」
「ユミル様……もったいなきお言葉」
「ところでウルズよ。
なぜ皇女さまの暗殺に
いち早く察知する
ことができたのだ?」
「それは――黒騎士としての、勘
と、しか言えませぬな」
――嘘である。
第一皇女をずっとストーカー
から気づけただけである。
このウルズという男は、
闇に溶け込む気配遮断の
スキルを行使し第一皇女殿下の
屋根裏に住み込みみ
常時覗き見をしていたのだ。
第一皇女が入浴する時は
浴室をこっそりと覗き、
ときには、バレない程度に
下着を盗み、寝顔を天井の
隙間から覗き見る。
真正のストーカーであった。
王都に忍び込んで間諜《スパイ》として
人族の動きを報告する任務を
放棄し第一皇女の部屋の
天井の穴から寝顔を覗き込み
ストーキング生活をエンジョイ
しているのであった。
いつものように皇女の
かわいい寝顔を寝室の
天井の穴から覗き込むと
黒い外套を羽織いナイフを
持った男たちが音を消しながら
寝室に忍び込んできたので、
ウルズは天井を蹴破り、
颯爽と奇跡的なタイミングで
皇女を救うことができたのであった。
忠節の黒騎士を名乗る割に
性欲に屈しているあたり
やはり魔王四天王である。
「皇位継承権第一位の
皇女様を暗殺とは……。
それにしてもなぜそんな
物騒なことになっているんだ?」
少し伏せがちな顔で、
フレイヤは語る。
「実は、つい数日前にわたくしの
父、つまり皇帝が突然病死して、
王都ではいま正に、皇位継承権
をもった皇女たちがその座を
奪うために争いあっていると
いう次第で……」
「そんな中で、誰の差し金かは
しらないが真っ先に
狙われたのが穏健派の
フレイヤ様だったということです」
「ふぅむ」
「そう言えば魔神将を知らないか?
四天王の一人で、最後にあった
時はこの辺りを支配すると豪語
していたのだが?」
サトシはバツが悪いのか
頭をかきながら語る。
「ああ。俺が倒しちゃったけど、
魔神将コントレックスだっけ?」
「違うよ! 魔神将いろはすだよ」
「兄者。それは間違い。
魔神将クススタルガイザーだよ」
魔王ユミルはため息を
つきながら語る。
「たわけが。四天王の
同志の名前を忘れるとは、
情けない。あやつの名前は
魔神将ボルヴィックだ。
この村のヤツの墓碑にも
そう刻まれているだろう?」
――全員間違いである。
村の地中深くに永眠したのは
魔神将ドヴォルザークである。
「そうか。魔神将の力と奴が
引き連れていた1000の魔獣の
軍勢が使えないというのは残念だが
魔王様がいらっしゃるから大丈夫か」
「他の四天王の力が必要な自体
……それはどういう事だ?」
「実は、王都の第二皇女から
第四皇女が率いる超大軍勢が、
いままさにこの村に向かって
兵を進めているのだ」
「「「ええええええ!!!???」」」
いままさに村の周囲には
第二皇女、第三皇女、第四皇女
が率いる超大軍勢がこの村を
攻め滅ぼさんと大軍勢を率いて
襲いかかってきているのであった。
=================
【辺境村の開拓状況】
◆住民
土属性:1名
世界樹:1名
ユドラ:1名
セフィ:1名
ドワーフ:56名
魚人族《ディープワン》:47名
魔王:1名
メイド:1名
雪女:48名
四天王:2(3名) ←New!
第一皇女:1名 ←New!
ゴーレム:たくさん
◇特産品
ケチャップ
あいすくりいむ
ワイン(ドワーフ族作)
ココア
チョコレート
ビール ←New!
★ペット
混沌の翼竜:1匹
古代の翼竜:1匹
混神の翼竜:1匹 ←New!
☆財政状況
大金貨:3000万枚
お姫様と黒騎士かよ。
辺境でスローライフしている
だけなのに次から次にいろんな
者が流れ着いてくるな」
ゴーレムが両脇に二人の
人間を抱えサトシの
もとにやってきた。
一人は金髪ストレートに
いかにもお姫様といった感じの
フリフリの白ドレスを着た少女、
もう一人は漆黒の甲冑に身を
包んだ細身の騎士である。
ほんの数十分前の出来事である。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「一体なんなんですのーっ!」
皇位継承権第一位第一
皇女フレイヤは"化外の地"
の森のなかで叫んでいた。
「くっ……フレイヤ様だけは、
俺が――守るッ!
エンチャント・ダーク・フレイム」
黒騎士の持つ超大な剣、
クレイモアに黒炎が灯される。
漆黒の甲冑をまとった
ダーク・エルフの黒騎士が
黒炎をまとったクレイモアを
目の前のゴーレムに向かって振るう。
黒炎をまとったクレイモアの
一撃がゴーレムの体に直撃。
爆発と爆煙が生じる。
「――っやったか!?」
もくもくと立ち込める
爆煙を振り払うように大ぶりの
ゴーレムの横薙ぎの豪腕が振るわれる。
ダーク・エルフの黒騎士は
第一皇女フレイヤを守るために、
自身の盾に魔法を付与し、
ゴーレムの拳を受け止める。
ゴーレムの石の巨腕が盾に
触れると――盾はバリバリと砕かれ、
そのまま黒騎士の脇腹に直撃。
魔法で強化した盾で減速して
いなければ内臓破裂しかねない
勢いの一撃であった。
「……がはっ!」
黒騎士は口から血を吐き、
血液によって気道が防がれる
のを防ぐ。
(これがゴーレム? ありえない、
ありえないぞこの強さ?!)
ゴーレムとは言っても、
無尽蔵のエネルギーを生み出す
ダンジョン・コアを内燃機関
として備え、サトシによって
超強力な強化が施されている
ゴーレムである。
黒騎士は力技で押し切る事が
不可能であることを即座に
判断しバックステップで
で距離を取る。
そして、背中の長大な弓を
右手に構え左手に
五本の矢をつがえ弓から速射する。
ダーク・エルフ族の得意な
弓による攻撃。
「シューティング・スター・ノワール」
ゴーレムの部位の中でも
比較的脆弱な接合部に
絞り矢を放つ。
黒騎士が放ったヤジリの先端には
小型でありながら強力な
爆薬が仕掛けられている。
相手が人間であれば確実に
殺戮できる程の強力な射撃技。
ゴーレムの首の付け根、
両肩の付け根、両足の付け根に
ヤジリの先端が接触。起爆。
ゴーレムの右腕が吹き飛ぶ。
「ちっ。破壊までは出来ないか。
フレイヤ様、逃げましょう!」
黒騎士はフレイヤの手を取り、
深い森の中を進む。
しばらく森の中を駆けていると
黒騎士の後頭部に
ガツンという衝撃があり、
そこで意識を失った。
先程倒したと思ったゴーレムが
自分の右腕を投擲武器として
投げつけていたのであった。
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
意識を取り戻した黒騎士は
開口一番、目の前の男、
サトシに向かってタンカを切る。
「貴様は、彼女の命を
狙いにきた刺客か?!」
黒騎士はフレイヤの盾に
なりながらサトシに
向かって威圧をかける。
「始めまして。俺は村の村長の
サトシです。えーっと。
まず、あなた方はどちら様で?」
「とぼけるな! あのゴーレムを
使役していたのは貴様だろ!」
「ええ、そうです。村の自衛のために
とりあえず不審者がいたら
捕まえるようにと命じている
ゴーレムなので」
「白々しい嘘をつくな!
あのゴーレムはこの規模の村を
守るに使うなんて過剰過ぎる戦力だ」
(まあ。そんなのがあと100体
くらいいるんだけどね)
「まあ。でも、今回みたいな事も
あるから実際役立ってるでしょ?」
「くっ……!」
「サトシさん、大変申し訳ございません。
彼は魔王四天王、忠節の黒騎士ウルズ、
そして、わたくしは第一皇女フレイヤ」
(第一皇女様だってえぇええ!?
あの、皇位継承権第一位の
皇帝が崩御された時は、
その後を継ぐと言われている
あの皇女か!? なぜ、こんな
辺境の地に!? それにしても
この黒騎士四天王なのか……
この村は四天王ホイホイかな?)
あまりの事実に驚愕しながらも、
いままでのことを振り返り
事実として認める。
「お初にお目にかかります。
フレイヤ皇女殿下。
失礼ではありますが、貴女の
ような高貴な身分の方が
このような辺境の村に
いらっしゃった経緯を
お話いただけますでしょうか?」
「堅苦しい言葉はおやめ下さい。
サトシ様、わたくしは命を
狙われていたからとはいえ、
王都から逃げ出した者です。
いまのわたしは皇女ではなく、
ただのフレイヤです」
「俺は、魔王四天王の一人
|忠節の黒騎士《ロイヤル・ナイトウルズだ。
フレイヤ様を守るために
王都から逃げて来たのだが
よもや、このような化外の地
村があるとはな」
「わたくしは、素敵な村だと
思いましたわ。空気が綺麗で
どの建物もよく手入れが
されていますし、何よりも
空気がおいしいですわ」
(おっ。皇女様"空気"を2回褒めたな。
都会の人が田舎の村に来て
褒めることが思いつかないと
とりあえず言っておくアレだな)
「本来は四天王の一人、魔神将が
この地域を制圧しているはず
だからここで合流しようと
思っていたのだがアイツどこに
いきやがったんだ?」
村の深い深い土の中である。
「状況はだいたい分かりました。
それでは四天王の一人
忠節の黒騎士ウルズさん、
魔王ユミルさんをご存知ですね?」
「当然のことだ。俺の忠義は
全て魔王さまに捧げている」
「それじゃあ、魔王ユミル
さんのもとにお連れしますよ」
サトシは、ユンとヤンの件も
あったので四天王関連の
面倒事はユミルのところに
連れて行くのが最善策だと
学んでいるのであった。
「フッ……。はったりを。
こんな辺境の地に、魔王様
がいらっしゃるはずがあるまい」
第一皇女のフレイヤもサトシの
言葉が半信半疑のため、
ウルズにささやく。
「ウルズさん。とりあえずは
会いに行きましょう。
"マオー・ユミル"という名前の
同姓同名の人物の可能性も
ありますよ?」
「ふっふっふっ。この忠節の
黒騎士の前で魔王の名を
騙るふらち者など一太刀
のもとに斬り伏せてやろう」
「口で説明しても納得して
くれないと思うので、
俺の後ろについてきてください」
サトシはユミルの家に
二人を案内する。
「このような辺境の村の中で
魔王を騙る者が現れるとは。
どのような面を
しているのか楽しみだ」
ユミルの家の扉を開けると、
ウルズのよく見知った顔が
3つもある。
魔王ユミルと、ユンと、ヤンだ。
「おい。ウルズ。お前こんな
ところで何油を売っているのだ?」
「……ユミル様?」
「そうだ。我は魔王ユミルその人だ」
「魔王様がなぜこのような所に
いらっしゃるのでしょうか?」
「ごっ……極秘任務である」
ユミルは咳払いをしながら
ごまかすと、ユミルのもとに
サーシャが紅茶を持ってくる。
ユミルはその紅茶をひとくち
飲むとウルズの尋問を続ける。
「だいたたいだな。ウルズよ。
お前は王都に人族の動向を
探らせるために間諜《ウルズ》として
放ったのにろくに我には報告を
一切せず、バンバン経費を使うわ
一体全体どうなっているんだ?
おまけに遠距離出張手当と
長期宿泊手当まで請求しおって……」
「 」
「おいウルズ。何か言え」
「 」
「魔王ユミル様、
黒騎士ウルズのことは
そこまでにしていて
いただけませんでしょうか?
ウルズは私の命の恩人で
あり、わたくしの――騎士です」
王都からこの村に来るまでの
長旅の最中に"いろいろ"あり
そういう仲になったのであった。
ユミルがウルズに鋭い目線を
向けると、ウルズはしれっと
他の方向に目線を逃した。
「第一皇女フレイヤ様が
どうしてこのようなところに?」
「わたくしの腹違いの姉妹たち
つまり他の皇位継承者が仕向けた、
暗殺者に殺されかけていたところを、
間一髪というところでウルズに
命を救われ、長旅の末にこの村に
たどりついたのです」
「ウルズよ。
第一皇女フレイヤを救った
のは大義であった。
流石は我の忠節の黒騎士、
四天王の名に恥じぬ
素晴らしい働きをして
くれたな。褒めて使わそう」
「ユミル様……もったいなきお言葉」
「ところでウルズよ。
なぜ皇女さまの暗殺に
いち早く察知する
ことができたのだ?」
「それは――黒騎士としての、勘
と、しか言えませぬな」
――嘘である。
第一皇女をずっとストーカー
から気づけただけである。
このウルズという男は、
闇に溶け込む気配遮断の
スキルを行使し第一皇女殿下の
屋根裏に住み込みみ
常時覗き見をしていたのだ。
第一皇女が入浴する時は
浴室をこっそりと覗き、
ときには、バレない程度に
下着を盗み、寝顔を天井の
隙間から覗き見る。
真正のストーカーであった。
王都に忍び込んで間諜《スパイ》として
人族の動きを報告する任務を
放棄し第一皇女の部屋の
天井の穴から寝顔を覗き込み
ストーキング生活をエンジョイ
しているのであった。
いつものように皇女の
かわいい寝顔を寝室の
天井の穴から覗き込むと
黒い外套を羽織いナイフを
持った男たちが音を消しながら
寝室に忍び込んできたので、
ウルズは天井を蹴破り、
颯爽と奇跡的なタイミングで
皇女を救うことができたのであった。
忠節の黒騎士を名乗る割に
性欲に屈しているあたり
やはり魔王四天王である。
「皇位継承権第一位の
皇女様を暗殺とは……。
それにしてもなぜそんな
物騒なことになっているんだ?」
少し伏せがちな顔で、
フレイヤは語る。
「実は、つい数日前にわたくしの
父、つまり皇帝が突然病死して、
王都ではいま正に、皇位継承権
をもった皇女たちがその座を
奪うために争いあっていると
いう次第で……」
「そんな中で、誰の差し金かは
しらないが真っ先に
狙われたのが穏健派の
フレイヤ様だったということです」
「ふぅむ」
「そう言えば魔神将を知らないか?
四天王の一人で、最後にあった
時はこの辺りを支配すると豪語
していたのだが?」
サトシはバツが悪いのか
頭をかきながら語る。
「ああ。俺が倒しちゃったけど、
魔神将コントレックスだっけ?」
「違うよ! 魔神将いろはすだよ」
「兄者。それは間違い。
魔神将クススタルガイザーだよ」
魔王ユミルはため息を
つきながら語る。
「たわけが。四天王の
同志の名前を忘れるとは、
情けない。あやつの名前は
魔神将ボルヴィックだ。
この村のヤツの墓碑にも
そう刻まれているだろう?」
――全員間違いである。
村の地中深くに永眠したのは
魔神将ドヴォルザークである。
「そうか。魔神将の力と奴が
引き連れていた1000の魔獣の
軍勢が使えないというのは残念だが
魔王様がいらっしゃるから大丈夫か」
「他の四天王の力が必要な自体
……それはどういう事だ?」
「実は、王都の第二皇女から
第四皇女が率いる超大軍勢が、
いままさにこの村に向かって
兵を進めているのだ」
「「「ええええええ!!!???」」」
いままさに村の周囲には
第二皇女、第三皇女、第四皇女
が率いる超大軍勢がこの村を
攻め滅ぼさんと大軍勢を率いて
襲いかかってきているのであった。
=================
【辺境村の開拓状況】
◆住民
土属性:1名
世界樹:1名
ユドラ:1名
セフィ:1名
ドワーフ:56名
魚人族《ディープワン》:47名
魔王:1名
メイド:1名
雪女:48名
四天王:2(3名) ←New!
第一皇女:1名 ←New!
ゴーレム:たくさん
◇特産品
ケチャップ
あいすくりいむ
ワイン(ドワーフ族作)
ココア
チョコレート
ビール ←New!
★ペット
混沌の翼竜:1匹
古代の翼竜:1匹
混神の翼竜:1匹 ←New!
☆財政状況
大金貨:3000万枚
213
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小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
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お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
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注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
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だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
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