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第20話『うちの双子が優秀過ぎる件』
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ミミの出産から6ヶ月。
雪女たちが引き籠る季節、
つまりもう初夏である。
(あれからいろいろなことがあった。
夜泣きで深夜3時に起こされたり、
首のすわらない双子を恐る恐る
お風呂に入れたりおむつ
交換したり……。まぁ、数え切れ
ないくらいいろんなことがあった)
育児については、事前に
役割分担を決めてサトシと
ミミで手分けしながら
家事と育児をこなしていたが、
それでもやはり双子を育てる
のは並大抵のことではなく、
あっと言う間に過ぎ去った
半年であった。
(テレビで離婚する夫婦全体
の内で子供が2歳までの間に
離婚する夫婦が35%って
言ってたけど、
確かに……この時期に男が育児
を積極的に手伝わなければ愛想を
尽かされるのも理解はできるなぁ)
実際に育児の大変さと壮絶を
経験してみて感じたことだ。
凍結ストロングゼロを片手に
夜のニュースで他人事として
聞いていた男親の育休取得に
ついて改めて考えさせられる
ことになったのであった。
(ユミルさんに要相談だけど
俺たちの村にも男親の育休
制度を導入できないか
相談してみようか……)
そんなあれやこれやを
思い出しながら自分の
息子と娘に視線を移す。
「それにしても成長早いな!」
まだ産まれてから半年にも
関わらず双子の息子ユドラ、
娘のセフィーはすでに
人族の8歳程度まで
成長しているのであった。
土属性と世界樹の木としての
特性によって土に触れている
だけで地面からマナを吸収
することができるため
急速に成長する特性を
得ているようだ。
知識面についてもミミと
同様に世界樹の特性としての
次世代へ知識を継承するという
特性を有するため声帯が
ある程度発達した生後3ヶ月
の段階で会話ができるほどに
成長しているのであった。
(やっぱ土属性って凄い!)
とはいえ赤子が
急速に成長すること自体は
この世界において特段珍しい
事象ではない。
"人族と亜人のハーフ"が
ここまで急速に成長するのは
珍しいが、"純粋な亜人種"
の中には産まれて1年程度で
ある程度自立できる
8歳程度まで成長するのは
よくあることである。
亜人種の場合は急速な成長自体は
8歳までであり、あとは普通の
人族や魔族と同様にゆっくりと
成長していくそうだ。
亜人種の例と同じように、
サトシとミミの子供である
ユドラと、セフィも8歳まで
成長してからは急速な成長は
終わり、成長も一般的な人族
と同じゆるやかなものとなった。
子供が成長するごとに明らかに
なったことがある。
ユドラとセフィの二人が両親とは
異なるスキルをもっていることだ。
ちなみに取得しているスキルは
以下のようなものである。
*****************
名前:ユドラ
属性:杜属性《ケテル》
HP:99999
MP:9999
土属性と木属性の双属性《デュアルスキル》
左の手から土属性スキル
右の手から木属性スキル
を使い分けられる。
左右の手のひらをあわせると
木属性を土属性で超強化
することにより木剣を
生み出す事が可能。
木剣ではあるが幻想《ファンタズマ》級の
武器を無限に錬成可能。
常時身体能力超強化付与が
発動しており近接戦が得意。
意識外から放たれた初撃を
必ず一度は無効化する。
――――――――――――――――――
名前:セフィ
属性:智属性《ダアト》
HP:9999
MP:99999
この世界が創世されてから
世界樹が継承してきた
あらゆる情報を自由自在に
引き出す事が可能である。
更にその情報を超高速で
複合的に解析する
ことが可能になる。
智属性スキルを最大出力で
行使すればあらゆる魔法に
よって生じる奇跡を物理現象
まで還元し魔法の神秘を破壊、
術式を無効化することが可能。
常時知力超強化付与が
発動しており魔術戦が得意。
あらゆる攻撃魔法を無効化する。
*****************
以上が、ユドラとセフィの
生後半年時点の能力である。
成長に応じてこの能力が
更に進化していく。
(俺の土属性にもカッコいい
二つ名がつかないかなぁ……。
読みそのままの"つちぞくせい"
なんだよな。嗚呼《あぁ》、格差社会……)
二人の成長は急激な成長では
あるが、世界樹が継承してきた
あらゆる知識を継承するという
性質を引き継いでいるため
8歳時点で言語能力はもちろん
この世界についての知識に
ついて把握するレベルであった。
(とはいっても、まだまだ
オネショをするあたり
まだまだ子供だけどな)
ただし、継承された知識は
単純に継承されているだけである。
その知識から何らかの推論を
導き出せるようになるには
まだまだ人生経験がたりておらず
精神年齢は子供である。
セフィの持つあらゆる物を分析
し結論を導き出す智属性《ダアト》も
現時点ではポテンシャルを最大限
活用することは不可能である。
セフィーもユドラも体は
8歳である。だが精神的には
まだまだ甘えたいさかりの
子供である。ユドラは恥ずかし
がって我慢しているが、娘の
セフィはまだまだ母親の
おっぱいをねだっている。
(まあ、日本でも小学校2年生
くらいまでは母親のおっぱい
を求める子供がいるらしいし
問題ないか。……というか体は
もう8歳だけど産まれたから
まだ生後半年だから卒乳が
早かったユドラの方はむしろ
ちょっと不憫な気すらするぞ
ユドラはもっとミミに甘えて
もいいんだけどな)
兄弟の性格についてだが、
ユドラは元気で活発、
セフィはマイペースの天然系
という感じであり、
正反対な性格である。
また双子であるが二人の
関心分野も異なる。
息子のユドラは村の外の世界に
関心があるようで、将来は
冒険者になって世界地図を
全て埋めるのが夢のようだ。
冒険者に憧れるユドラと
サトシの会話である。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「パパは昔は冒険者だったの?」
「ああ。いろんな所を旅していたぞ」
「すごーい。旅してみたい」
「村の外は魔獣とかいるし危ないぞ」
「へー。ドラゴンとかとも戦ったの」
「戦ったよ。この村にもドラゴン
はいるけどあれじゃ駄目か?」
「村のドラゴンはおとなしいよ。
ペットだから叩いたら
かわいそうだし。僕はもっと
強いドラゴンと戦いんだぁ~」
(ぶっちゃけ村のドラゴンより強い
ドラゴンなんて居ないのだけど、
やはり身近にいる存在だと正確な
評価をすることは難しいもの
なのかもしれないなぁ)
「よし、それなら。パパに木剣で
一撃加えられたらパパから
ママに相談してあげよう」
「うん。わかった!」
ユドラが左右の手を
パンッとあわせると
超堅牢な木剣が錬成される。
ゆドラは木剣を中段に構え
木剣を縦一文字に振り下ろす。
ただの子供の棒振りではなく
スキル"兜割り"である。
(ってやべぇ……マジかよ!
これ即死技じゃんっ)
ユドラの一撃を薄皮一枚の
ところでサトシは後退し回避。
ユドラはサトシが後退した
スキを見逃さず追撃で
虚空残滅閃《シームレス・ブレイズ》を放つ。
「ちえすとぉお~!」
上下左右から四つの斬撃、
真ん中から突きが繰り出される。
回避不能の五連撃。
「ぬうっ――"沼地《スワム》"!」
息子のあまりに鋭い
剣筋に思わずサトシは
足元を沼地にしてぬかるませる
土属性スキルを発動させる。
「パパ。ずるいっ!」
ユドラの下半身はサトシが
しかけた沼地にずっぽりと
沈んでいる。
「キリッ!……いいか息子よ。
冒険者になるとはこういう事だ。
敵が常に正々堂々と戦う
奴ばかりとは限らないのだ。
パパは木剣を当てれば勝ち、
とは言ったけどスキルを使わない
とは言っていない。ユドラは
まだまだ村で修行が必要だな!
HAHAHAHAHAHAHAHA」
サトシはその日を境に、
息子と娘が寝静まったあとに
両腕に数十キロの土の重しを
つけた状態で木剣の素振り
をするのが日課になるのであった。
サトシの娘のセフィは
こんな感じである。
「パパ。セフィね、
大人になったら……」
(おっ……! さてはこれは
"パパのお嫁さんになりたい"
という嬉しいイベントだな!)
「宇宙を探索したなぁ~。
この世界の最果てを超えて、
その先に行きたいのお」
「おっ。そうか。はは……。
宇宙かぁ……。宇宙ねぇ
お星さんとか光ってるねぇ」
「宇宙にはね。もしかしたら
セフィたちが住んでいる
世界とは違う世界がある
可能性があるんだぁ~」
「へぇええぇ。そっかぁ~。
宇宙は広いからねぇ。
なるほどおぉ……
……たしかにねぇえ」
「セフィの夢はね、
宇宙に飛び立って
外宇宙の生命体と仲良く
なることなんだぁ~」
(セフィさん。それもう
ファンタジーじゃなく
SFの領分なんですが……)
「そっかぁあ……。
セフィちゃんは
とってもかしこいね!
えらい! えらい!」
サトシはセフィを抱えて
頭を優しく撫でる。
「えへへぇ~!
パパだいすきぃ~!」
サトシは自身の娘の賢さに
驚くとともに、娘の成長を
喜ぶのであった。
なお、その日を境にミミと
"いちゃる"前にミミから
宇宙の成り立ちや魔術理論
について個別レッスンを
受けることになるのであった。
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
「子は親がいなくても
育つとはいうが、俺の子たち
の成長早すぎだろ!
まだ半年やぞっ!
俺も親として子供たちに
負けるわけにはいかない!
俺は土属性のスキルを更に
昇華して子どもたちに負けない、
立派なパパになるのじゃ!」
サトシは、息子と娘という
負けては親の沽券に関わる
存在ができたことによって
自身のスキルを極限まで
引き出す事を決意する。
ミミと出会って10ヶ月間
ひそかに挑戦していたその
集大成として生み出した
究極の土属性スキルを発動させる。
「"瘴気《マイアズマ》" "変換《コンバート》" "魔素《マナ》"」
大地が銀色に輝く……。
瘴気をマナに変換に成功。
これによって、サトシは
この世界でスキルによる
瘴気をマナへ変更にした
最初の人間となった。
「おっしっ! 成功!」
「サトシ~。こんな夜中に
どーしたのじゃぁ~?
ほれほれもう外も暗いから一緒に
お布団でオネムなのじゃぞ~」
「っと、その前に!
凄い土属性スキルを
生み出したから
ミミにも見て欲しい!」
「"瘴気《マイアズマ》" "変換《コンバート》" "魔素《マナ》"」
大地の瘴気をマナに変換する。
世界樹でないと不可能だった
瘴気のマナの変換を成し遂げる。
「凄いのじゃ!
まさか瘴気のマナへの変換を
スキルで実現するとはの。
でもどうしてこのようなスキルを
創造しようと思ったのじゃ?」
「世界樹の役割は世界中の
瘴気をマナに変換する役割だ。
確かに大切な仕事だとは
思うんだけどさ……」
「うむ」
「俺たちの息子と娘には
その運命のカセからは解放
したいと思っているんだよ。
ユドラは冒険者に成りたいと
夢をみているし、娘は宇宙
を探索したいって言っている。
世界樹としての役割でこの村に
縛られていたら子どもたちの
その夢は叶えられないからな」
「サトシよ……お主という奴は」
ミミが背伸びをして
サトシの首筋に
チュッとキスをする。
「続きのご褒美は、
お布団のなかでなのじゃ」
=================
【辺境村の開拓状況】
◆住民
土属性:1名
世界樹:1名
ユドラ:1名
セフィ:1名
ドワーフ:52名
魚人族《ディープワン》:43名
魔王:1名
メイド:1名
雪女:41名
四天王:1(2名)
ゴーレム:たくさん
◇特産品
ケチャップ
あいすくりいむ
ワイン(ドワーフ族作)
ココア
チョコレート ←New!
★ペット
混沌の翼竜:1匹
古代の翼竜:1匹
混神の翼竜:1匹 ←New!
☆財政状況
大金貨:2300万枚
雪女たちが引き籠る季節、
つまりもう初夏である。
(あれからいろいろなことがあった。
夜泣きで深夜3時に起こされたり、
首のすわらない双子を恐る恐る
お風呂に入れたりおむつ
交換したり……。まぁ、数え切れ
ないくらいいろんなことがあった)
育児については、事前に
役割分担を決めてサトシと
ミミで手分けしながら
家事と育児をこなしていたが、
それでもやはり双子を育てる
のは並大抵のことではなく、
あっと言う間に過ぎ去った
半年であった。
(テレビで離婚する夫婦全体
の内で子供が2歳までの間に
離婚する夫婦が35%って
言ってたけど、
確かに……この時期に男が育児
を積極的に手伝わなければ愛想を
尽かされるのも理解はできるなぁ)
実際に育児の大変さと壮絶を
経験してみて感じたことだ。
凍結ストロングゼロを片手に
夜のニュースで他人事として
聞いていた男親の育休取得に
ついて改めて考えさせられる
ことになったのであった。
(ユミルさんに要相談だけど
俺たちの村にも男親の育休
制度を導入できないか
相談してみようか……)
そんなあれやこれやを
思い出しながら自分の
息子と娘に視線を移す。
「それにしても成長早いな!」
まだ産まれてから半年にも
関わらず双子の息子ユドラ、
娘のセフィーはすでに
人族の8歳程度まで
成長しているのであった。
土属性と世界樹の木としての
特性によって土に触れている
だけで地面からマナを吸収
することができるため
急速に成長する特性を
得ているようだ。
知識面についてもミミと
同様に世界樹の特性としての
次世代へ知識を継承するという
特性を有するため声帯が
ある程度発達した生後3ヶ月
の段階で会話ができるほどに
成長しているのであった。
(やっぱ土属性って凄い!)
とはいえ赤子が
急速に成長すること自体は
この世界において特段珍しい
事象ではない。
"人族と亜人のハーフ"が
ここまで急速に成長するのは
珍しいが、"純粋な亜人種"
の中には産まれて1年程度で
ある程度自立できる
8歳程度まで成長するのは
よくあることである。
亜人種の場合は急速な成長自体は
8歳までであり、あとは普通の
人族や魔族と同様にゆっくりと
成長していくそうだ。
亜人種の例と同じように、
サトシとミミの子供である
ユドラと、セフィも8歳まで
成長してからは急速な成長は
終わり、成長も一般的な人族
と同じゆるやかなものとなった。
子供が成長するごとに明らかに
なったことがある。
ユドラとセフィの二人が両親とは
異なるスキルをもっていることだ。
ちなみに取得しているスキルは
以下のようなものである。
*****************
名前:ユドラ
属性:杜属性《ケテル》
HP:99999
MP:9999
土属性と木属性の双属性《デュアルスキル》
左の手から土属性スキル
右の手から木属性スキル
を使い分けられる。
左右の手のひらをあわせると
木属性を土属性で超強化
することにより木剣を
生み出す事が可能。
木剣ではあるが幻想《ファンタズマ》級の
武器を無限に錬成可能。
常時身体能力超強化付与が
発動しており近接戦が得意。
意識外から放たれた初撃を
必ず一度は無効化する。
――――――――――――――――――
名前:セフィ
属性:智属性《ダアト》
HP:9999
MP:99999
この世界が創世されてから
世界樹が継承してきた
あらゆる情報を自由自在に
引き出す事が可能である。
更にその情報を超高速で
複合的に解析する
ことが可能になる。
智属性スキルを最大出力で
行使すればあらゆる魔法に
よって生じる奇跡を物理現象
まで還元し魔法の神秘を破壊、
術式を無効化することが可能。
常時知力超強化付与が
発動しており魔術戦が得意。
あらゆる攻撃魔法を無効化する。
*****************
以上が、ユドラとセフィの
生後半年時点の能力である。
成長に応じてこの能力が
更に進化していく。
(俺の土属性にもカッコいい
二つ名がつかないかなぁ……。
読みそのままの"つちぞくせい"
なんだよな。嗚呼《あぁ》、格差社会……)
二人の成長は急激な成長では
あるが、世界樹が継承してきた
あらゆる知識を継承するという
性質を引き継いでいるため
8歳時点で言語能力はもちろん
この世界についての知識に
ついて把握するレベルであった。
(とはいっても、まだまだ
オネショをするあたり
まだまだ子供だけどな)
ただし、継承された知識は
単純に継承されているだけである。
その知識から何らかの推論を
導き出せるようになるには
まだまだ人生経験がたりておらず
精神年齢は子供である。
セフィの持つあらゆる物を分析
し結論を導き出す智属性《ダアト》も
現時点ではポテンシャルを最大限
活用することは不可能である。
セフィーもユドラも体は
8歳である。だが精神的には
まだまだ甘えたいさかりの
子供である。ユドラは恥ずかし
がって我慢しているが、娘の
セフィはまだまだ母親の
おっぱいをねだっている。
(まあ、日本でも小学校2年生
くらいまでは母親のおっぱい
を求める子供がいるらしいし
問題ないか。……というか体は
もう8歳だけど産まれたから
まだ生後半年だから卒乳が
早かったユドラの方はむしろ
ちょっと不憫な気すらするぞ
ユドラはもっとミミに甘えて
もいいんだけどな)
兄弟の性格についてだが、
ユドラは元気で活発、
セフィはマイペースの天然系
という感じであり、
正反対な性格である。
また双子であるが二人の
関心分野も異なる。
息子のユドラは村の外の世界に
関心があるようで、将来は
冒険者になって世界地図を
全て埋めるのが夢のようだ。
冒険者に憧れるユドラと
サトシの会話である。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「パパは昔は冒険者だったの?」
「ああ。いろんな所を旅していたぞ」
「すごーい。旅してみたい」
「村の外は魔獣とかいるし危ないぞ」
「へー。ドラゴンとかとも戦ったの」
「戦ったよ。この村にもドラゴン
はいるけどあれじゃ駄目か?」
「村のドラゴンはおとなしいよ。
ペットだから叩いたら
かわいそうだし。僕はもっと
強いドラゴンと戦いんだぁ~」
(ぶっちゃけ村のドラゴンより強い
ドラゴンなんて居ないのだけど、
やはり身近にいる存在だと正確な
評価をすることは難しいもの
なのかもしれないなぁ)
「よし、それなら。パパに木剣で
一撃加えられたらパパから
ママに相談してあげよう」
「うん。わかった!」
ユドラが左右の手を
パンッとあわせると
超堅牢な木剣が錬成される。
ゆドラは木剣を中段に構え
木剣を縦一文字に振り下ろす。
ただの子供の棒振りではなく
スキル"兜割り"である。
(ってやべぇ……マジかよ!
これ即死技じゃんっ)
ユドラの一撃を薄皮一枚の
ところでサトシは後退し回避。
ユドラはサトシが後退した
スキを見逃さず追撃で
虚空残滅閃《シームレス・ブレイズ》を放つ。
「ちえすとぉお~!」
上下左右から四つの斬撃、
真ん中から突きが繰り出される。
回避不能の五連撃。
「ぬうっ――"沼地《スワム》"!」
息子のあまりに鋭い
剣筋に思わずサトシは
足元を沼地にしてぬかるませる
土属性スキルを発動させる。
「パパ。ずるいっ!」
ユドラの下半身はサトシが
しかけた沼地にずっぽりと
沈んでいる。
「キリッ!……いいか息子よ。
冒険者になるとはこういう事だ。
敵が常に正々堂々と戦う
奴ばかりとは限らないのだ。
パパは木剣を当てれば勝ち、
とは言ったけどスキルを使わない
とは言っていない。ユドラは
まだまだ村で修行が必要だな!
HAHAHAHAHAHAHAHA」
サトシはその日を境に、
息子と娘が寝静まったあとに
両腕に数十キロの土の重しを
つけた状態で木剣の素振り
をするのが日課になるのであった。
サトシの娘のセフィは
こんな感じである。
「パパ。セフィね、
大人になったら……」
(おっ……! さてはこれは
"パパのお嫁さんになりたい"
という嬉しいイベントだな!)
「宇宙を探索したなぁ~。
この世界の最果てを超えて、
その先に行きたいのお」
「おっ。そうか。はは……。
宇宙かぁ……。宇宙ねぇ
お星さんとか光ってるねぇ」
「宇宙にはね。もしかしたら
セフィたちが住んでいる
世界とは違う世界がある
可能性があるんだぁ~」
「へぇええぇ。そっかぁ~。
宇宙は広いからねぇ。
なるほどおぉ……
……たしかにねぇえ」
「セフィの夢はね、
宇宙に飛び立って
外宇宙の生命体と仲良く
なることなんだぁ~」
(セフィさん。それもう
ファンタジーじゃなく
SFの領分なんですが……)
「そっかぁあ……。
セフィちゃんは
とってもかしこいね!
えらい! えらい!」
サトシはセフィを抱えて
頭を優しく撫でる。
「えへへぇ~!
パパだいすきぃ~!」
サトシは自身の娘の賢さに
驚くとともに、娘の成長を
喜ぶのであった。
なお、その日を境にミミと
"いちゃる"前にミミから
宇宙の成り立ちや魔術理論
について個別レッスンを
受けることになるのであった。
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
「子は親がいなくても
育つとはいうが、俺の子たち
の成長早すぎだろ!
まだ半年やぞっ!
俺も親として子供たちに
負けるわけにはいかない!
俺は土属性のスキルを更に
昇華して子どもたちに負けない、
立派なパパになるのじゃ!」
サトシは、息子と娘という
負けては親の沽券に関わる
存在ができたことによって
自身のスキルを極限まで
引き出す事を決意する。
ミミと出会って10ヶ月間
ひそかに挑戦していたその
集大成として生み出した
究極の土属性スキルを発動させる。
「"瘴気《マイアズマ》" "変換《コンバート》" "魔素《マナ》"」
大地が銀色に輝く……。
瘴気をマナに変換に成功。
これによって、サトシは
この世界でスキルによる
瘴気をマナへ変更にした
最初の人間となった。
「おっしっ! 成功!」
「サトシ~。こんな夜中に
どーしたのじゃぁ~?
ほれほれもう外も暗いから一緒に
お布団でオネムなのじゃぞ~」
「っと、その前に!
凄い土属性スキルを
生み出したから
ミミにも見て欲しい!」
「"瘴気《マイアズマ》" "変換《コンバート》" "魔素《マナ》"」
大地の瘴気をマナに変換する。
世界樹でないと不可能だった
瘴気のマナの変換を成し遂げる。
「凄いのじゃ!
まさか瘴気のマナへの変換を
スキルで実現するとはの。
でもどうしてこのようなスキルを
創造しようと思ったのじゃ?」
「世界樹の役割は世界中の
瘴気をマナに変換する役割だ。
確かに大切な仕事だとは
思うんだけどさ……」
「うむ」
「俺たちの息子と娘には
その運命のカセからは解放
したいと思っているんだよ。
ユドラは冒険者に成りたいと
夢をみているし、娘は宇宙
を探索したいって言っている。
世界樹としての役割でこの村に
縛られていたら子どもたちの
その夢は叶えられないからな」
「サトシよ……お主という奴は」
ミミが背伸びをして
サトシの首筋に
チュッとキスをする。
「続きのご褒美は、
お布団のなかでなのじゃ」
=================
【辺境村の開拓状況】
◆住民
土属性:1名
世界樹:1名
ユドラ:1名
セフィ:1名
ドワーフ:52名
魚人族《ディープワン》:43名
魔王:1名
メイド:1名
雪女:41名
四天王:1(2名)
ゴーレム:たくさん
◇特産品
ケチャップ
あいすくりいむ
ワイン(ドワーフ族作)
ココア
チョコレート ←New!
★ペット
混沌の翼竜:1匹
古代の翼竜:1匹
混神の翼竜:1匹 ←New!
☆財政状況
大金貨:2300万枚
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そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。
その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。
前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。
但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。
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これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな?
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