土属性を極めて辺境を開拓します~愛する嫁と超速スローライフ~

にゃーにゃ

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第5話『辺境開拓開始!』

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「まずは、っと! 「広域《スケール》」「地動《ムーブ》」「制御《コントロール》」」

雑草に覆われただだっ広い平原の
地中にまるで巨大なミミズが
のたうち回るかのようにウネウネと
動き出し土が撹拌《かくはん》されていく。


いままでクワの入れられたことのない
雨土で固められた固い土壌が畑のように
ふわふわな柔らかい土に変えていく。
超大型のトラクターでも一ヶ月は
かかる地均しじならし作業を僅か一瞬で終えてしまう。


「お主の"土属性"は凄い力なのじゃの。
 あっというまに畑に使える土壌が
 出来上がったのじゃっ!
 種さえうえれば食物を育てられそうじゃの」


「褒めてくれてどうもありがとう!
 んじゃ、次に井戸でも作りましょうかね。
 「狭域《ナロー》」「掘削《マイニング》」「制御《コントロール》」」


土がまるで意志をもったように動き出し、
ちょうど井戸の大きに円形に掘削されていく。
"制御《コントロール》"を使えば、
土の精密な動作も可能である。


「確か、浅い井戸よりも深い井戸の方が
 美味しくて綺麗な水が取れるって話だったな。

 うろ覚えだがボル○ックのペットボトルの
 裏のウンチクにそんなことが
 書いてあった気がするぞ。それじゃ、
 100メートルくらい地中を掘るかな」


サトシは100メートル地点、
深層地下水の地点まで井戸を掘り進める。

この地点にある水は地表の汚染に
影響されていない完全にクリーンな水だ。


「生前は周りの目が気になるので、
 家の水道水をボルビ○クの
 空のペットボトルに詰め込んで
 会社に持っていく生活だったが、
 異世界ならミネラルウオーター
 飲み放題だぜっ!」


地下100メートルの
被圧帯水層にある深層地下水まで
掘削してしまえば、

被圧帯水層の水は自身の圧によって
自動的に地表20メートル地点
くらいまで水が押し出されてくる。


だから水を汲む時の手間は
一般的な浅井戸とそう変わらない。

水を汲むのに100メートル
地点まで、木桶を降ろさなくても
大丈夫ということである。


(嫁が落ちた時に登ってこれないと
 危険だから井戸の内側には、
 取っ手をつけて置こう)


サトシは"制御《コントロール》"で井戸の内部の
作りを微調整しながら落下時の
安全装置として井戸の石壁に
取っ手を作っていく。


「ふむ。こんなものか。あとは、
 水圧に耐えられるように井戸の
 内側を補強しておくか……「石化《ストーン》」」


「ほほぅ……。驚きじゃの……。
 あっという間に立派な井戸が
 出来てしまったのぅ」


「これで当面、水の心配はいらないな。
 欲を言えば、ポンプとか欲しいところだけど
 それはあとあと考えるとするか。
 しばらくは、木桶に縄をくくって水を汲もう」


サトシは馬車の荷台から木桶と
長縄を取り出し桶に長縄をくくりつけ、
井戸から水を汲む。

サトシは井戸の水の満たされた
木桶に直接口をつけ水を飲む。


「うまいっ!!」


「それは、単にサトシがのどが渇いて
 おっただけじゃないかの?」


「ほら、ミミも飲んでみなよ」

「妾はこう見えても水の味に
 関しては厳しいのじゃぞ?
 なんせ元は木じゃからな」


ミミは木桶に口をつけて飲む
……というよりも飲み干す。
5リットルほどはあったのだが……。 


「って……うまーいのじゃ!」


(喜報。ワイの嫁氏チョロかった)


「サトシよ。おかわりをくれるかの?」

「はいはい。ちょっと待ってな」


井戸から水を汲み上げる。


「ほら。飲みな」

「恩にきるのじゃ! 
 やっぱ水は最高なのじゃ」


よほど水がお気にめしたのか
ミミはガブガブと水を飲む。
さすがは元は木だ。


「そういやさ、ミミはなんで
 あの魔物の大群に襲われていたんだ?
 なんか……四天王の一人……えっと、
 エビアンだかボルビックだか
 そんな名前の奴もいたようだけど」

「残念ながらどちらの名前も不正解じゃ。
 ……魔神将"どぼるざあく"じゃ。
 四天王の中でも身体能力はトップ。
 まぁ、もう既に故人じゃがの」


「そうそう、その魔神将いろはすドヴォルザーク
 とやらがなんで、軍勢を連れて
 世界樹、つまりミミを襲撃していたんだ?」

「ヤツは、どこからか妾の存在を知って
 それからは毎日のごとく
 求婚をされておったのじゃ」


「もてもてじゃないか」

「まあ、どぼるざあくは最終的には魔物
 500体も引き連れて『結婚しないと殺す』
 と暴力に訴えてきたのじゃがの。

 あのようなすぐに暴力に訴える男と結婚
 などしたら家庭内"でいぶい"に苦しんどったこと
 間違いなしなのじゃ。セックスレス &家庭内別居の
 仮面夫婦路線一直線じゃったのじゃな」


(……ミミは意外に耳年増だな)


「それにしても、暴力までふるって
 なんでそんなにミミと結婚したがったんだ?
 今の人型のミミなら分かるが、あの時は
 100メートルのただの木だったからな」


「世界樹をただの木よばりは、
 ちょっとムッとするが、
 まぁ……。アヤツの目的は、妾と
 婚姻を結ぶことで、この地域一帯を
 魔族の住みやすい瘴気の沼
 にしようとしておったようじゃ。

 妾は基本的に中立の存在、人族にも
 魔族にも与しないことで、
 世界のバランスを保っておるのじゃ。
 どちらか一方に利すれば、世界の終焉時計を
 早めることになるだけじゃからの」


「なるほど、ね。
 だいたいわかった」


(我が旦那様は……清々しいほどに
 何もわかっとらん顔じゃの)


「それで、中立の立場のミミは
 俺と結婚しても良かったのか?
 俺は、人族だぞ?」

「うむ。うまく言葉では表現できない
 のじゃが……主なら妾を道具として
 利用せずにいてくれる気がしたのじゃな。
 女の勘というやつじゃな」


「女の勘ねぇ」

「まぁ。一言で言うなれば、
 一目惚れというやつじゃの。
 惚れた者の弱みじゃな」

「光栄だ。そして、ミミの女の勘とやらは
 当たっていると思うぞ。俺は、今後は
 ここから一歩も出ずにここを開拓して
 悠々自適なスローライフ生活を楽しもう
 と思っているからな」
 
「ふむふむ」

「ここで俺が暮らしている限りは
 人族にも魔族にも過度な干渉はできない。
 ミミの種族的な信条にも反しない
 から安心してくれ」

「さすが妾が旦那さまなのじゃ。
 して、スローライフとは?」

「おう」

「っ……! タイムじゃ! 間違えたのじゃ~。
 今のは無しじゃ! ノーカンなのじゃ。
 こほん……。して、その"すろお、らあいふ"
 とはなんのことじゃ?」


(のじゃロリも大変だな)


「スローライフとはな、うまいものを
 お腹いっぱい食べて、夜はいっぱい寝て、
 日中は汗を流して働く、楽しい生活のことだ」

「ほう。それは健康的で楽しそうじゃの」


「それに一人はちょっと寂しいかな
 とか思っていたけど、
 今は俺の嫁、ミミも居るしな」

「妾も話し相手ができて嬉しいのじゃ。
 ずっと誰もこない平原で一人ぼっち
 はもう、こりごりなのじゃ。
 末永くよろしくの、
 我が旦那さま、サトシ」


二人は、改めて手を握り合う。


「って、ところで、ミミってあの時
 死んでたらどうなってたんだ?」

「ひところで言うなれば、
 世界がやばかったのじゃな」

「世界がやばい?」


「まぁ。端的にいってこの世界の
 半分くらいの生物が死滅しておったの。
 超高濃度な瘴気に覆われてしまっては
 人族も魔族も生きてはおられんからの
 無論、それは妾の最も避けねば
 ならんことじゃったの」

「半数が死に絶えるのはヤバいな……。
 でも、瘴気が生み出されれば魔族にとっては
 むしろ住みやすくなるんじゃないのか?」


「ふーむ。……程度の問題じゃの。
 軽度の瘴気は魔族にとって都合が良い。
 じゃが、魔族と言えども高濃度の瘴気に
 晒されれば普通に死ぬのじゃな。
 妾から見れば、瘴気の許容度の差は
 人族も魔族もそれほど変わらんのじゃ」


「なるほどねー。魔族が本当に瘴気に
 完全に依存していて、瘴気がない所でしか
 生きられないような存在だったなら、
 人族の村に襲撃なんてできるはずないからな。
 
 グラッ○ラー刃牙という漫画に
 酸素も濃度が少し変えれば致死性の超猛毒
 になるみたいなこと書いたあったしなっ!」


「妾のご先祖様が残した記録を
 読む限りは人族と魔族は長い間、
 双方が勝ったり負けたりと、ずっと
 小競り合いをしておるようじゃのう

 まぁ……妾から見たら人族と
 魔族の違いなど、弱めの瘴気に
 最適化した人族の亜種が魔族
 というくらいのザックリとした
 違いしかないのじゃがな」
 

(人間から見れば、ライオンも家猫も
 同じ猫科に分類するみたいな感じか)


「でもなんで、世界樹……つまりミミが
 死ぬと超高濃度の瘴気が世界を覆う
 なんていうことになるんだ?」

「妾の役目はこの大地に存在する
 膨大な瘴気を吸い上げ、
 マナ魔素に変換して世界に
 拡散する役目をしておるのじゃ。

 この世界の植物にとっても生物
 にとってもマナは必須じゃからの」


「はは。凄い責任重大な役目だな。
 もし枯れてたら勇者と魔王の戦い
 どころの話じゃなかったな」

「そうじゃの。仮にあの四天王とやらと
 結婚していたら妾は魔族にとって
 丁度いい瘴気を放つだけの存在として
 扱われていたと思うと、ぞっとするのじゃな。
 なんせ妾は婚姻を交わした相手の命に
 逆らうことができなくなるのじゃからの」


「俺のことは信頼できるのか?」

「ふふっ。信じておるとも。
 旦那さまなら妾を戦争の道具として
 使うようなことはないとの」

「ありがとう」


「サトシのように見ず知らずの存在……。
 しかもただの木を救うために四天王の
 一人と魔物の軍勢と戦うような者に
 悪いヤツはおらんじゃろ。
 妾は人の見る目はあるつもりじゃぞ?」

「はは。夫としては妻からの過大な
 評価に応えられるだけ頑張るか!」


数秒のあいだ、もじもじとした後に
恥ずかしそうにミミが言葉を発する。


「ところでじゃの……サトシ」

「どうしたんだ。ミミ?」

「そのじゃな……恥ずかしい話なのじゃが
 妾、いくら水を飲んでも、
 その……何故か、お腹が減るのじゃ」


ミミのお腹が「くぅ」っと音を立てていた。
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