灰色の人生は異世界(MMORPG仕様)への転移で、虹色の人生に

ぎたー

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第72話・地獄と引っ越し1

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白龍のアテンとの約束だし、諦めよう・・・
あのドラゴン達は規格外だ、逆らう事自体が建設的じゃない。
切り替えよう!俺のところに毎日くるわけじゃないし、我慢すればいいだけと自分に言い聞かせる。



でも、アテンがいつ来るのか分からないんだけど、どうしようか。
うーん、茜色の砂浜に行くと往復で金貨4枚とられるけど行くか~?いや、LVを上げたいなら行くしかないか!

ヘイストを掛けて、キシャルの街に転移し茜色の砂浜に着いた。
いつ来てもいい景色だ、デートとかに最適だろうな。

レイナの顔が思い浮かぶ。

正直に言って、この世界の住人が全員高性能AIと思うほうが現実的に思う。ようはMMOの世界に閉じ込められてしまった、だ。ただおかしなところが多々あり、本当に異世界なのではないかとも思えてきている。
俺がMMOを遊んでいるだけのオッサンだというなら、この世界で恋愛する気なんて絶対に起きないと思う。でも、ここが本当に異世界だったら・・・
はっ!いかんいかん、答えのないことに頭を使ってる場合じゃない。
ゼロは頭を振って、雑念を飛ばす。

「狩りをするぞー!」

「ごめんごめん、お待たせ~」

ゼロはコケる。

はい~!白龍様がおみえになられました!
キシャルの街へ来る前だったら転移費用払わなくて済んだのに、この白龍め。

「ゼロは、茜色の砂浜が本当に好きなのね」

アテンが、夕焼けがかった砂浜を見回して俺に語りかけてくる。

「俺はこの狩場を終えて、次に行きたいんですけどね」

「そうなんだ、行けばいいのに」

お前のせいだろ!

「それでは~、稽古をはじめます。ゼロは、正直なところ火力不足で悩んでいるんじゃないかしら?」

「まあ、ソロ狩りメインの俺としては火力は欲しいですね」

「じゃあ、今日は火力を上げます」

「はい」

「ゼロ~、龍が教えるんだから泣いて喜ぶところよ」

アテンはすり寄ってくる。
本来であれば、めちゃめちゃいい香りのする白髪の美人が、Tシャツに短パン姿ですり寄ってきたら狂喜乱舞ものだが、騙されないぞ。こいつは間違いなく俺を地獄へ落とす死神だ。
この後を考えればげんなりとするが、アテンの機嫌を損なうのはもっと危ない。

「是非、ご教示ください!」

「任せなさい。じゃあ今日は、火力を上げるために全種類の魔法を放ち続けることにしましょう。ゼロは特に強くしたい魔法を頭に思い浮かべることを忘れずに」

「はい」

「もーう、感情がないよ!」

俺、がんばる。

「よろしくお願いします!」

「では、私に向けて魔法をどんどん放ってきなさい。受け止めてあげるわ」

なにを強くしたいか、ウインドキラーか?
いや火力対決もいずれくるだろう、ならウインドブレイドより強い魔法を想定して思い浮かべよう!

爆風の杖に風が纏いだす。
「ダブルウインドブレイド!」
「ダブルウインドランス!」
「ダブルキラーウインド!」
「ダブルウインドランス!」
「ダブルサドゥンウインド!」
「ダブルウインドカッター!」

爆風の杖で強化された魔法を、アテンに立て続けに飛んでいく。
ゼロの魔法は相当強化されており、なにも知らないひとがみればオーバーキルを行っているようにしか見えないだろう。

「ふふん」

バンッと全ての風魔法を吹き飛ばし、悠々と佇むアテン。
ぐっ、やはり規格外か・・・

「ゼロー!休むの禁止ね。クールタイム中は、ウインドカッターを打てるだけ打つこと。MPはポーションを使って、切れたら私のギフトで回復させるから」

地獄・・・だ。

「ダブルウインドカッター!」

「ダブルウインドカッター!」

「ダブルウインドランス!」

・・・

「ウ・・イン・ド・・・ランス」

「まだ昼を越えたぐらいだよ?まだまだ頑張れるよ」

このチートドラゴンめ。

「・・・」

「ゲホ、ウ・・イ・・・ン・ド・ブ・・レ・・イ・ド」

ドサ。

ゼロはポーションを死ぬほど飲み、アテンのスキルギフトでMPを回復させられながら1日中魔法を撃ち続けた。

「今日はここまでかな。ゼロ、これじゃあ極炎に勝てないよ?」

うつ伏せになり、口にも砂が入っていながら聞き捨てならないことを聞いた。
今の俺では極炎に勝てない?
分かり切っていることだ。
だが、言葉にされれば話しが違ってくる、負けられねえ!
力を振り絞って立ち上がる。

「師、匠・・・もう少し、だけ・・・付き合ってください」

「へぇ~、ゼロも男ということかな?」

俺は夜になっても魔法を放ち続け身動きが取れず倒れこんでいると、アテンに背負われ宿まで帰ってきた。当然、アテンは無傷だ。

ゼロはベッドへ投げられる。

「ゼロ、ドラゴンが人を背負うなんて前代未聞だからね。貸しだからね~」

満面の笑みでほほ笑む。
俺はかろうじて腕だけ上げた。



----26日目表世界----
チュンチュン。

コンコン。

「ゼロさん、おはようございます。朝食ができましたよ」

ルリの声が聞こえてくる。

「い、今行きます・・・」

昨日、俺精算していないな・・・ドロップ品を持たないと。
フラフラになりながら食堂に降りて朝食をとる。

「ゼロさん、本当に大丈夫ですか?顔ゲッソリですが」

「昨日の稽古がハードだっただけなので、大丈夫です」

「でも、昨日は一緒に宿へ帰られたのにいつ稽古へ?」

あ、そうだった。隠していることを忘れてた。

「実は、師匠は転移魔法の使い手なのです」

「そ、そうなのですね。もの凄い師匠ですね」

嘘はついていない。
レイナとアシュレイが訪ねてくる。

「ゼロどうしたの!?」

「ゼロ、どうしたんですの?!」

「大丈夫だから」

俺、そんなにひどい顔をしているのか。
俺も荷物をまとめて、ギンさんにお世話になった事への挨拶をし鳥アパートへ引っ越す。

「私、共同生活楽しみすぎですわー!昨日なんて眠れなかったんですの!あ、ゼロもそういうことですの?」

「俺は稽古があって」

「夜も稽古するなんて、ゼロは努力家ですのね」

レイナからジト目で見られる。
うん、疑うほうが普通だと思う。
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