記憶を無くしている俺が、この世界に蔓延る輩を一人残らず粛清するまで(第一章、魔王を粛清するまで完結)

ぎたー

文字の大きさ
29 / 40
第一章、魔王を粛清するまで 

第29話・魔王戦5「魔王粛清」

しおりを挟む
 魔王はソルの言葉に魔王という憧れの存在を思い出した。心を入れ替えた魔王は闇魔法で仕掛けるが、シャーロットの闇魔法に迎撃されて満身創痍となる。





 「あなたがどれほど強い存在だとしても、闇魔法で戦うのならわたくしに勝つことはできません」 

 静かにシャーロットは告げる。

 「で、では、お約束、を、見せよう、魔王の、真の、姿を」

 「ええ。最後くらい魔王らしいことをして見せなさい」

 魔王が一瞬笑みを浮かべ体を反らす。

 「ぐぉおおおおおおおおお!!!!」

 魔王の体に亀裂が走り解き放たれたかのように真の姿を現す。
 真の姿となる前は筋肉ムキムキでガタイのいい魔王といった感じだったが、解き放たれた姿は細マッチョという感じだ。ヴィジュアル的には前のほうが魔王っぽいが、今の魔王からは強者の匂いが漂う。
 うーむ、無駄な筋肉を削ぎ落して小さく凝縮した感じだろうか?顔立ちもスッキリとしている。
 
 「格好良くなったじゃない?」

 「おかげさまでな」

 シャーロットが後輩を見守るような視線を向けている気がす・・・?
 いやいや、今考えるのはよそう。
 シャーロットが魔王に口止めをしていたことから、話したくないのだろう。それに、いつかはシャーロットが教えてくれる気がする。
 さて、魔王の第2形態は誰でいくか。

 「ソル様、お願いがございます。わたくしにお任せできませんでしょうか?」

 「分かった、シャーロットお前に任せる」

 「はい!」

 シャーロットはソルに向かって満面の笑みで返事をする。

 「ソ、ソル兄!」

 ソルに向かってアンが抗議してくるので後ろから抱きしめてやる。駄々をこねる子供は抱きしめるのが効果的だと誰かが言っていた気がする。

 「今回はシャーロットに譲ってやってくれ」

 「わ、分かったよぉ」

 アンは恥ずかしいのか顔を薄っすら赤くしている。よしよしだな。 

 「では始めましょうか」

 「ああ、胸を借りるつもりでいく」

 魔王が腕を振るだけで先ほどと同じ辺り一面を覆いつくす闇魔法が放たれる。先ほどと違うのは腕に魔力を溜める時間が全くないこと、さらに腕を何度も振るっているところを見るにあの規模の魔法を何十発も放つようだ。魔王はシャーロット同様に闇魔法で戦うスタイルなのか。

 魔王は全く見えなくなり視界には魔王の魔法しか見えない。
 シャーロットは口角を上げると腕や手を動かすことなく、先ほどと同じような辺り一面を覆いつくす魔力を放つ。

 両者の魔法は前回と違い、拮抗する。
 
 「我の全力を見よ!!!!!」

 魔王の言葉が聞こえると、シャーロットの魔法が押し込まれていく。

 「これほどの闇魔法を連続で、しかもノータイムで放つなんてやるじゃない。でも、あなたの最大出力ではいくら放とうがそこまでよ。闇魔法の極致を見せてあげる」

 シャーロットは片方の手の平を迫ってくる魔法に向け、魔王の魔法を受けとめるような態勢をとる。
 魔王の魔法がシャーロットの手の平にぶつかるとその魔法は飴玉ほどの大きさに収縮され手の平へ留まる。依然、魔王からの攻撃が続いているようだが、シャーロットは涼し気な顔で手の平の飴玉のようなもので魔法を吸い続けていく。手の平の飴玉のようなものは、艶やかで幻想的な色へと変化していく。
 魔王は攻撃を止めてシャーロットを見ると驚愕の表情を浮かべる。

 「まさか、完成していたのか」

 「ええ、闇魔法の真髄は全てを飲み込むことにあるわ」

 シャーロットは微妙な顔をしながら語る。
 
 「なんだけど、私のこれは魔法にしか効果がないのよね」

 「それほどの力を見せていただき感謝します」

 魔王はシャーロットに向けてお辞儀をする。
 
 シャーロットの魔法を吸収する闇魔法は相当にヤバイらしい、あの魔王が敬意を払っているぞ。やはり、シャーロットは闇魔法なら誰にも負けないと自負するほどの腕らしい。そんなものが、何故俺の配下に選ばれているのか分からない。

 「これで終わりよ、あなたの力がどれほどだったか身をもって体験しなさい」

 「ヴァッッハァァガッ・・・グゥグググググ」

 シャーロットが手の平から飴玉のようになった魔力を放つと、飴玉のような魔力が分裂して4つとなり魔王の右手、左手、右足、左足を粉砕した。シャーロットはソルへと振り返る。

 「ソル様、魔王はいずれ死ぬでしょう。ソル様へ吐いた言葉の報いとして両腕、両足は消滅させておきました」

 「そ、そうか。ありがとな」

 シャーロットは笑顔をソルへと向ける。ソルの心境としては、配下達は皆えげつないと思った。
 俺は一人でボロボロの魔王のところまで歩いていく。
 

 「ソル、よ、楽しかった、ぞ」

 「俺も最初は輩だと思ったが、戦っている姿は本物の魔王に思えたぞ」

 「ふ、では、魔王、らしく」

 「ソル様!!!魔王は自爆する気です!!!」

 シャーロットが叫ぶ。

 「奥の手を、出す。我の、魔力を、暴走させれば、全て、吹き、飛ばせる」

 魔王がやりきった顔で笑う。
 我は最後まで魔王として戦い抜いたぞ・・・・・・?
 魔王は笑っていた顔が真顔になる、肩に手が置かれた気がしたのだ。

 「生贄召喚」

 ソルは自身に生贄召喚を使用し魔王の背後に回り、魔王へ生贄召喚を行う。魔王は床に書かれた魔法陣の中へ沈み、出てきた状態は四つん這いで荒い息をしている。その肩へ手をのせて容赦なく言う。

 「生贄召喚」

 「生贄召喚」

 「生贄召喚」

 「生贄召喚」

 「魔王、俺へ忠誠を誓うのならやめてやる。どうする?」

 ソルの目は狂気に輝く。

 「ち、忠誠を誓いますから!!!!どうか!お願いします!!!」

 魔王は先ほどまでの人生やり切ったという笑顔や威厳やらを投げ捨て、必死に俺へと忠誠を誓った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

湖畔の賢者

そらまめ
ファンタジー
 秋山透はソロキャンプに向かう途中で突然目の前に現れた次元の裂け目に呑まれ、歪んでゆく視界、そして自分の体までもが波打つように歪み、彼は自然と目を閉じた。目蓋に明るさを感じ、ゆっくりと目を開けると大樹の横で車はエンジンを止めて停まっていた。  ゆっくりと彼は車から降りて側にある大樹に触れた。そのまま上着のポケット中からスマホ取り出し確認すると圏外表示。縋るようにマップアプリで場所を確認するも……位置情報取得出来ずに不明と。  彼は大きく落胆し、大樹にもたれ掛かるように背を預け、そのまま力なく崩れ落ちた。 「あははは、まいったな。どこなんだ、ここは」  そう力なく呟き苦笑いしながら、不安から両手で顔を覆った。  楽しみにしていたキャンプから一転し、ほぼ絶望に近い状況に見舞われた。  目にしたことも聞いたこともない。空間の裂け目に呑まれ、知らない場所へ。  そんな突然の不幸に見舞われた秋山透の物語。

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

スライムに転生した俺はユニークスキル【強奪】で全てを奪う

シャルねる
ファンタジー
主人公は気がつくと、目も鼻も口も、体までもが無くなっていた。 当然そのことに気がついた主人公に言葉には言い表せない恐怖と絶望が襲うが、涙すら出ることは無かった。 そうして恐怖と絶望に頭がおかしくなりそうだったが、主人公は感覚的に自分の体に何かが当たったことに気がついた。 その瞬間、謎の声が頭の中に鳴り響いた。

処理中です...