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第一章、魔王を粛清するまで
第29話・魔王戦5「魔王粛清」
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魔王はソルの言葉に魔王という憧れの存在を思い出した。心を入れ替えた魔王は闇魔法で仕掛けるが、シャーロットの闇魔法に迎撃されて満身創痍となる。
「あなたがどれほど強い存在だとしても、闇魔法で戦うのならわたくしに勝つことはできません」
静かにシャーロットは告げる。
「で、では、お約束、を、見せよう、魔王の、真の、姿を」
「ええ。最後くらい魔王らしいことをして見せなさい」
魔王が一瞬笑みを浮かべ体を反らす。
「ぐぉおおおおおおおおお!!!!」
魔王の体に亀裂が走り解き放たれたかのように真の姿を現す。
真の姿となる前は筋肉ムキムキでガタイのいい魔王といった感じだったが、解き放たれた姿は細マッチョという感じだ。ヴィジュアル的には前のほうが魔王っぽいが、今の魔王からは強者の匂いが漂う。
うーむ、無駄な筋肉を削ぎ落して小さく凝縮した感じだろうか?顔立ちもスッキリとしている。
「格好良くなったじゃない?」
「おかげさまでな」
シャーロットが後輩を見守るような視線を向けている気がす・・・?
いやいや、今考えるのはよそう。
シャーロットが魔王に口止めをしていたことから、話したくないのだろう。それに、いつかはシャーロットが教えてくれる気がする。
さて、魔王の第2形態は誰でいくか。
「ソル様、お願いがございます。わたくしにお任せできませんでしょうか?」
「分かった、シャーロットお前に任せる」
「はい!」
シャーロットはソルに向かって満面の笑みで返事をする。
「ソ、ソル兄!」
ソルに向かってアンが抗議してくるので後ろから抱きしめてやる。駄々をこねる子供は抱きしめるのが効果的だと誰かが言っていた気がする。
「今回はシャーロットに譲ってやってくれ」
「わ、分かったよぉ」
アンは恥ずかしいのか顔を薄っすら赤くしている。よしよしだな。
「では始めましょうか」
「ああ、胸を借りるつもりでいく」
魔王が腕を振るだけで先ほどと同じ辺り一面を覆いつくす闇魔法が放たれる。先ほどと違うのは腕に魔力を溜める時間が全くないこと、さらに腕を何度も振るっているところを見るにあの規模の魔法を何十発も放つようだ。魔王はシャーロット同様に闇魔法で戦うスタイルなのか。
魔王は全く見えなくなり視界には魔王の魔法しか見えない。
シャーロットは口角を上げると腕や手を動かすことなく、先ほどと同じような辺り一面を覆いつくす魔力を放つ。
両者の魔法は前回と違い、拮抗する。
「我の全力を見よ!!!!!」
魔王の言葉が聞こえると、シャーロットの魔法が押し込まれていく。
「これほどの闇魔法を連続で、しかもノータイムで放つなんてやるじゃない。でも、あなたの最大出力ではいくら放とうがそこまでよ。闇魔法の極致を見せてあげる」
シャーロットは片方の手の平を迫ってくる魔法に向け、魔王の魔法を受けとめるような態勢をとる。
魔王の魔法がシャーロットの手の平にぶつかるとその魔法は飴玉ほどの大きさに収縮され手の平へ留まる。依然、魔王からの攻撃が続いているようだが、シャーロットは涼し気な顔で手の平の飴玉のようなもので魔法を吸い続けていく。手の平の飴玉のようなものは、艶やかで幻想的な色へと変化していく。
魔王は攻撃を止めてシャーロットを見ると驚愕の表情を浮かべる。
「まさか、完成していたのか」
「ええ、闇魔法の真髄は全てを飲み込むことにあるわ」
シャーロットは微妙な顔をしながら語る。
「なんだけど、私のこれは魔法にしか効果がないのよね」
「それほどの力を見せていただき感謝します」
魔王はシャーロットに向けてお辞儀をする。
シャーロットの魔法を吸収する闇魔法は相当にヤバイらしい、あの魔王が敬意を払っているぞ。やはり、シャーロットは闇魔法なら誰にも負けないと自負するほどの腕らしい。そんなものが、何故俺の配下に選ばれているのか分からない。
「これで終わりよ、あなたの力がどれほどだったか身をもって体験しなさい」
「ヴァッッハァァガッ・・・グゥグググググ」
シャーロットが手の平から飴玉のようになった魔力を放つと、飴玉のような魔力が分裂して4つとなり魔王の右手、左手、右足、左足を粉砕した。シャーロットはソルへと振り返る。
「ソル様、魔王はいずれ死ぬでしょう。ソル様へ吐いた言葉の報いとして両腕、両足は消滅させておきました」
「そ、そうか。ありがとな」
シャーロットは笑顔をソルへと向ける。ソルの心境としては、配下達は皆えげつないと思った。
俺は一人でボロボロの魔王のところまで歩いていく。
「ソル、よ、楽しかった、ぞ」
「俺も最初は輩だと思ったが、戦っている姿は本物の魔王に思えたぞ」
「ふ、では、魔王、らしく」
「ソル様!!!魔王は自爆する気です!!!」
シャーロットが叫ぶ。
「奥の手を、出す。我の、魔力を、暴走させれば、全て、吹き、飛ばせる」
魔王がやりきった顔で笑う。
我は最後まで魔王として戦い抜いたぞ・・・・・・?
魔王は笑っていた顔が真顔になる、肩に手が置かれた気がしたのだ。
「生贄召喚」
ソルは自身に生贄召喚を使用し魔王の背後に回り、魔王へ生贄召喚を行う。魔王は床に書かれた魔法陣の中へ沈み、出てきた状態は四つん這いで荒い息をしている。その肩へ手をのせて容赦なく言う。
「生贄召喚」
「生贄召喚」
「生贄召喚」
「生贄召喚」
「魔王、俺へ忠誠を誓うのならやめてやる。どうする?」
ソルの目は狂気に輝く。
「ち、忠誠を誓いますから!!!!どうか!お願いします!!!」
魔王は先ほどまでの人生やり切ったという笑顔や威厳やらを投げ捨て、必死に俺へと忠誠を誓った。
「あなたがどれほど強い存在だとしても、闇魔法で戦うのならわたくしに勝つことはできません」
静かにシャーロットは告げる。
「で、では、お約束、を、見せよう、魔王の、真の、姿を」
「ええ。最後くらい魔王らしいことをして見せなさい」
魔王が一瞬笑みを浮かべ体を反らす。
「ぐぉおおおおおおおおお!!!!」
魔王の体に亀裂が走り解き放たれたかのように真の姿を現す。
真の姿となる前は筋肉ムキムキでガタイのいい魔王といった感じだったが、解き放たれた姿は細マッチョという感じだ。ヴィジュアル的には前のほうが魔王っぽいが、今の魔王からは強者の匂いが漂う。
うーむ、無駄な筋肉を削ぎ落して小さく凝縮した感じだろうか?顔立ちもスッキリとしている。
「格好良くなったじゃない?」
「おかげさまでな」
シャーロットが後輩を見守るような視線を向けている気がす・・・?
いやいや、今考えるのはよそう。
シャーロットが魔王に口止めをしていたことから、話したくないのだろう。それに、いつかはシャーロットが教えてくれる気がする。
さて、魔王の第2形態は誰でいくか。
「ソル様、お願いがございます。わたくしにお任せできませんでしょうか?」
「分かった、シャーロットお前に任せる」
「はい!」
シャーロットはソルに向かって満面の笑みで返事をする。
「ソ、ソル兄!」
ソルに向かってアンが抗議してくるので後ろから抱きしめてやる。駄々をこねる子供は抱きしめるのが効果的だと誰かが言っていた気がする。
「今回はシャーロットに譲ってやってくれ」
「わ、分かったよぉ」
アンは恥ずかしいのか顔を薄っすら赤くしている。よしよしだな。
「では始めましょうか」
「ああ、胸を借りるつもりでいく」
魔王が腕を振るだけで先ほどと同じ辺り一面を覆いつくす闇魔法が放たれる。先ほどと違うのは腕に魔力を溜める時間が全くないこと、さらに腕を何度も振るっているところを見るにあの規模の魔法を何十発も放つようだ。魔王はシャーロット同様に闇魔法で戦うスタイルなのか。
魔王は全く見えなくなり視界には魔王の魔法しか見えない。
シャーロットは口角を上げると腕や手を動かすことなく、先ほどと同じような辺り一面を覆いつくす魔力を放つ。
両者の魔法は前回と違い、拮抗する。
「我の全力を見よ!!!!!」
魔王の言葉が聞こえると、シャーロットの魔法が押し込まれていく。
「これほどの闇魔法を連続で、しかもノータイムで放つなんてやるじゃない。でも、あなたの最大出力ではいくら放とうがそこまでよ。闇魔法の極致を見せてあげる」
シャーロットは片方の手の平を迫ってくる魔法に向け、魔王の魔法を受けとめるような態勢をとる。
魔王の魔法がシャーロットの手の平にぶつかるとその魔法は飴玉ほどの大きさに収縮され手の平へ留まる。依然、魔王からの攻撃が続いているようだが、シャーロットは涼し気な顔で手の平の飴玉のようなもので魔法を吸い続けていく。手の平の飴玉のようなものは、艶やかで幻想的な色へと変化していく。
魔王は攻撃を止めてシャーロットを見ると驚愕の表情を浮かべる。
「まさか、完成していたのか」
「ええ、闇魔法の真髄は全てを飲み込むことにあるわ」
シャーロットは微妙な顔をしながら語る。
「なんだけど、私のこれは魔法にしか効果がないのよね」
「それほどの力を見せていただき感謝します」
魔王はシャーロットに向けてお辞儀をする。
シャーロットの魔法を吸収する闇魔法は相当にヤバイらしい、あの魔王が敬意を払っているぞ。やはり、シャーロットは闇魔法なら誰にも負けないと自負するほどの腕らしい。そんなものが、何故俺の配下に選ばれているのか分からない。
「これで終わりよ、あなたの力がどれほどだったか身をもって体験しなさい」
「ヴァッッハァァガッ・・・グゥグググググ」
シャーロットが手の平から飴玉のようになった魔力を放つと、飴玉のような魔力が分裂して4つとなり魔王の右手、左手、右足、左足を粉砕した。シャーロットはソルへと振り返る。
「ソル様、魔王はいずれ死ぬでしょう。ソル様へ吐いた言葉の報いとして両腕、両足は消滅させておきました」
「そ、そうか。ありがとな」
シャーロットは笑顔をソルへと向ける。ソルの心境としては、配下達は皆えげつないと思った。
俺は一人でボロボロの魔王のところまで歩いていく。
「ソル、よ、楽しかった、ぞ」
「俺も最初は輩だと思ったが、戦っている姿は本物の魔王に思えたぞ」
「ふ、では、魔王、らしく」
「ソル様!!!魔王は自爆する気です!!!」
シャーロットが叫ぶ。
「奥の手を、出す。我の、魔力を、暴走させれば、全て、吹き、飛ばせる」
魔王がやりきった顔で笑う。
我は最後まで魔王として戦い抜いたぞ・・・・・・?
魔王は笑っていた顔が真顔になる、肩に手が置かれた気がしたのだ。
「生贄召喚」
ソルは自身に生贄召喚を使用し魔王の背後に回り、魔王へ生贄召喚を行う。魔王は床に書かれた魔法陣の中へ沈み、出てきた状態は四つん這いで荒い息をしている。その肩へ手をのせて容赦なく言う。
「生贄召喚」
「生贄召喚」
「生贄召喚」
「生贄召喚」
「魔王、俺へ忠誠を誓うのならやめてやる。どうする?」
ソルの目は狂気に輝く。
「ち、忠誠を誓いますから!!!!どうか!お願いします!!!」
魔王は先ほどまでの人生やり切ったという笑顔や威厳やらを投げ捨て、必死に俺へと忠誠を誓った。
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