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追放後

計画通り・・・・・・・?

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「ゴウキめ・・・どこまでも忌々しい」


リフトは王都に戻る船の上で海面を眺めながらぼやいていた。
彼は今、とても憤慨している。それは自分の思うようにいかないからである。

クリスタルダンジョンでの素材採取の依頼は、これでもかというほど凄惨たる結果に終わった。それも最初の一回目の失敗はリフトの勇み足の失態によるものだった・・・プライドの高いリフトにとって、この事実は相当に堪えた。

調子が悪かったのか、それでも慣れない陣形のために戸惑ってしまったのか・・・いずれにせよリフトは恥も何もかなぐり捨てて、二回目のトライには入念に準備をして臨んだ。
しかし、二回目のトライは一回目よりも悪い結果となった。前日と比較しても更に攻撃が思うように敵に通じず、クリスタルウルフという本来ならば一刀で仕留められるはずの雑魚ですら二度、三度と斬らねば倒せぬようになってしまった。

三回目はもっと苦戦した。
ずっと共に戦ってきたからこそわかるが、見るからに皆の動きが普段とそれを比べて悪かった。良く言えば慎重・・・悪く言うなら臆病で慎重すぎる・・・そう言って差し支えないレベルだった。


そしてマリスに言われてリフトは無意識のうちにわかっていたことを自覚させられる。全てはゴウキがいなくなったことで起きていることなのだと。
馬鹿馬鹿しい話だが、ゴウキがいることによって安心して敵に打ち込めたーーそうした一面もあったことを認めざるを得なかった。


この問題はこのメンバーでの戦闘に慣れるまでは解決しない。リフトはそれを痛感している。リフトはゴウキを嫌ってはいるが、彼がいたことによって得られていたものの大きさは理解出来ていた。

だからクレアがクリスタルダンジョンでの依頼達成を一旦は諦め、出直すと言いだしたときも反射的に反対意見を言いそうになったが、どうにか飲み込んだ。飲み込むしかなかった。
勇者パーティーがゴウキ無しで従来の動きを取り戻すには、時間を要するだろう。解決方としてはゴウキを呼び戻すか、代わりの人間を入れるか。
前者なら解決はすぐだが、後者でも効果が表れるまでに少し時間がかかるだろう。

だが、リフトは再びゴウキをパーティーに入れるつもりなどなかった。あれを受け入れるくらいなら、時間がかかっても新体制が定着するのを待つ、そう考えている。

今回の失敗を受け、クレアは当初の計画を変更し、すぐにでもゴウキを呼び戻そうとしている。
だが、ゴウキはもう勇者パーティーに戻ることなど出来はしない。なぜならリフトがそのように手を回しているからだ。

それを知らぬはクレアとミリアだけであった。
勇者パーティーは一人の男の謀略によって、根底からヒビが入ろうとしている。
皮肉なことにそれを画策した男も、今後押し寄せる己の身の不幸を知らぬのだが。
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