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追放後
勇者達は失敗の原因を理解する
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その頃、クリスタルダンジョンにてお目当ての素材を手に入れるために奔走していた勇者パーティーことクレア達は、三度目の失敗を迎えていた。
最初の失敗の翌日、「今度はしっかり戦術を組み立て、慎重に臨もう」とのリフトの言葉通り、最初のアタックと違ってきちんと準備し、それぞれの役目を確認しあった上で二度目のアタックに臨んだ。流石に前日に大恥をかいたせいか、リフトも勇み足になることなく慎重に動いた。
これなら流石に依頼を今度こそクリアできるだろう・・・パーティーの誰もがそう考えていたが、結果は同じく惜敗。
「ヨシッ!倒した・・・」
「リフト!そいつまだ動けているわ!!」
「えっ!?ぐっ・・・」
また思うように魔物に攻撃が通用せず、素材を回収する余裕なくダンジョンから撤退することになった。
そして本日の三度目の失敗・・・。
またも攻撃がうまくいかず、クレアの判断でクリスタルゴーレムに遭遇することなく撤退を決めた。
最初はこの決定にリフトも物申そうと口を開きかけたが、明らかなパーティーの不調を自身も痛感していたようで、結局は撤退の判断を受け入れた。
「皆さん、踏み込みが浅くなっています。私もですが」
ダンジョンから戻り、野営している陣で反省会をしているときにマリスが言った。
「気のせいかとも思いましたが、初回、昨日、そして本日ともに全員の踏み込みが浅く、攻撃が敵を捕らえ切れていないのです」
焦って攻撃のタイミングが早いと、もう少し冷静に引き付けるべきだということだ。タイミングが早いのでどうしても攻撃が浅いものになってしまう。それはここ数日の失敗でクレアもリフトもなんとなく感じていたことだった。
もう少し難易度の低いダンジョンの魔物であるのなら、多少タイミングがズレたとて問題なく敵を倒すことが出来ただろう。だが、B級でかつ斬撃の通りづらいクリスタルダンジョンの魔物は、今のクレア達ではしっかりとした攻撃を加えないと倒しきれない相手だったのだ。
なんとなくだが、クレアには心当たりがあった。いや、この場にいるメンバー全員が同じ結論に行きつこうとしていた。
ゴウキがいないーー。
先陣切って突撃し、敵を翻弄し、最も危険な敵を抑え込む。
ただの壁役を超えた、今にして思えば守護神とも近い存在が今のパーティーにいない。これまではゴウキがいたからこそ、ある程度安心して戦える面があったのではないか。泥臭いスタイルながらも、その力強い戦いぶりに勇気を貰っていたのではないか。そのゴウキがいなくなったことで、無意識のうちに恐怖心が芽生え、焦りから攻撃のタイミングが早くなってしまっているのではないか。より危険なタイミングまで踏み込む勇気がないのではないか。
一度そう考えると、もうそれが原因だとしか考えられなくなった。
このクリスタルダンジョンは、ゴウキ抜きではとても手心加えて挑めるようなものではない。クレアはそう結論づけた。きっと攻略するだけならギリギリなんとかなるだろう。だが特定の魔物を極力無傷で制圧するなどと、そういったことは無理だろう。そこまでの余裕はないだろう。そう考えた。
いずれにせよ、再度アタックするだけの食料も体力も尽きかけていたので、王都に一度戻らねばならない。
「今回の依頼は失敗よ。一度戻りましょう」
クレアは有無を言わせぬ迫力で、そう言い切った。リフトは沈痛な表情で渋々ながら、マリスとミリアは目を瞑り素直にその判断に従った。
(やはり、ゴウキがいないとダメね。依頼の期限までまだギリギリ間があるから、ゴウキを連れて再アタックすれば間に合うかしら)
最初の失敗の翌日、「今度はしっかり戦術を組み立て、慎重に臨もう」とのリフトの言葉通り、最初のアタックと違ってきちんと準備し、それぞれの役目を確認しあった上で二度目のアタックに臨んだ。流石に前日に大恥をかいたせいか、リフトも勇み足になることなく慎重に動いた。
これなら流石に依頼を今度こそクリアできるだろう・・・パーティーの誰もがそう考えていたが、結果は同じく惜敗。
「ヨシッ!倒した・・・」
「リフト!そいつまだ動けているわ!!」
「えっ!?ぐっ・・・」
また思うように魔物に攻撃が通用せず、素材を回収する余裕なくダンジョンから撤退することになった。
そして本日の三度目の失敗・・・。
またも攻撃がうまくいかず、クレアの判断でクリスタルゴーレムに遭遇することなく撤退を決めた。
最初はこの決定にリフトも物申そうと口を開きかけたが、明らかなパーティーの不調を自身も痛感していたようで、結局は撤退の判断を受け入れた。
「皆さん、踏み込みが浅くなっています。私もですが」
ダンジョンから戻り、野営している陣で反省会をしているときにマリスが言った。
「気のせいかとも思いましたが、初回、昨日、そして本日ともに全員の踏み込みが浅く、攻撃が敵を捕らえ切れていないのです」
焦って攻撃のタイミングが早いと、もう少し冷静に引き付けるべきだということだ。タイミングが早いのでどうしても攻撃が浅いものになってしまう。それはここ数日の失敗でクレアもリフトもなんとなく感じていたことだった。
もう少し難易度の低いダンジョンの魔物であるのなら、多少タイミングがズレたとて問題なく敵を倒すことが出来ただろう。だが、B級でかつ斬撃の通りづらいクリスタルダンジョンの魔物は、今のクレア達ではしっかりとした攻撃を加えないと倒しきれない相手だったのだ。
なんとなくだが、クレアには心当たりがあった。いや、この場にいるメンバー全員が同じ結論に行きつこうとしていた。
ゴウキがいないーー。
先陣切って突撃し、敵を翻弄し、最も危険な敵を抑え込む。
ただの壁役を超えた、今にして思えば守護神とも近い存在が今のパーティーにいない。これまではゴウキがいたからこそ、ある程度安心して戦える面があったのではないか。泥臭いスタイルながらも、その力強い戦いぶりに勇気を貰っていたのではないか。そのゴウキがいなくなったことで、無意識のうちに恐怖心が芽生え、焦りから攻撃のタイミングが早くなってしまっているのではないか。より危険なタイミングまで踏み込む勇気がないのではないか。
一度そう考えると、もうそれが原因だとしか考えられなくなった。
このクリスタルダンジョンは、ゴウキ抜きではとても手心加えて挑めるようなものではない。クレアはそう結論づけた。きっと攻略するだけならギリギリなんとかなるだろう。だが特定の魔物を極力無傷で制圧するなどと、そういったことは無理だろう。そこまでの余裕はないだろう。そう考えた。
いずれにせよ、再度アタックするだけの食料も体力も尽きかけていたので、王都に一度戻らねばならない。
「今回の依頼は失敗よ。一度戻りましょう」
クレアは有無を言わせぬ迫力で、そう言い切った。リフトは沈痛な表情で渋々ながら、マリスとミリアは目を瞑り素直にその判断に従った。
(やはり、ゴウキがいないとダメね。依頼の期限までまだギリギリ間があるから、ゴウキを連れて再アタックすれば間に合うかしら)
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