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追放後
冒険者狩り
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「あいつ・・・まさか本当にいるなんて、噂には聞いていたけど・・・」
甲冑男を睨みつけながら、スミレは緊迫した表情で呟いた。
「知っているのかスミレ・・・?」
ゴウキは甲冑男と対峙したまま問う。
「ダンジョン内で冒険者相手に狩りをしてるっていうロクデナシだよ。被害者は全員死んでるって話だし、目撃証言もほとんどないから噂程度だったけど」
スミレがそう答えると、それを聞いた甲冑男はクックッと低い声で笑った。
「ほぉ、やはり知られていたか。目撃者は出来るだけ消すようにしていたんだがな」
そう言ってブンッと大型の剣を半周させるように振り回す。甲冑男はゴウキ以上の巨漢であったが、それでも通常なら考えられないほどの重量のあろう剣を軽々と扱っていた。
それだけでかなりの腕前の戦士であることは容易に想像が出来る。
「お前たち冒険者は大事な飯の種だ。私のことを触れ回られて、恐れるあまりに引き籠られては食い上げだからな。そこの娘を大人しく差し出せば生かしてやってもと思ってはいたが・・・」
甲冑男は先ほど剣を振り抜いた体勢のまま体を捻り、溜めの姿勢を取る。
「やはり不安の種は消さねばならんな。どちらにしたってお前達には全員死んでもらう!」
そう言い終えた瞬間、溜めの姿勢から一気に甲冑男は大型剣を横なぎに振り回す。そのスイングは恐ろしく高速であったが、それは今最も近くにいるはずのゴウキにすらギリギリ届くか届かないかの距離での斬撃であった。
「!」
その微妙な距離感の斬撃を、ゴウキはバックステップで難なく躱す。だが、甲冑男の攻撃はこれで終わらなかった。
振り抜いたその剣を止めることなく、そのままコマのように回転し続け、やがて竜巻のように・・・否、竜巻そのものとなって空気と砂塵を纏う。
「細切れになるがいい!」
甲冑男は笑い声を上げながら、勢いを増してゴウキ達に向かっていった。
「高速回転しながら良く喋れるよな。流石高レベルの戦士」
「しかも笑い続けてますね」
スミレとリノアは妙なところで感心していた。
「おいおい、お目当てのリノアごと切り刻むつもりかよ。相当な馬鹿だね」
そう言い、ゴウキはその場から動こうとはせず、構えを取る。
拳を握り、体を捻り、視線は甲冑男から外さない。
「無茶だぁ!」
それを見ていた遭難冒険者達はうわぁと悲鳴を上げた。
逃げるしかない。いや、逃がしてはもらえないかもしれない。だが、それでも彼らにとって圧倒的な力と迫力を持つ「災難」そのものになっている甲冑男に正面からぶつかろうという選択は全く及びもつかなかった。
だが一方でゴウキには逆に退くという選択肢がなかった。
自分が避けたらその先には冒険者達が腰を抜かしている。彼らを巻き込んでしまうから・・・ などということではなく、単純に避ける必要もなかったからなのだ。
そして、ゴウキが動き出した。
甲冑男を睨みつけながら、スミレは緊迫した表情で呟いた。
「知っているのかスミレ・・・?」
ゴウキは甲冑男と対峙したまま問う。
「ダンジョン内で冒険者相手に狩りをしてるっていうロクデナシだよ。被害者は全員死んでるって話だし、目撃証言もほとんどないから噂程度だったけど」
スミレがそう答えると、それを聞いた甲冑男はクックッと低い声で笑った。
「ほぉ、やはり知られていたか。目撃者は出来るだけ消すようにしていたんだがな」
そう言ってブンッと大型の剣を半周させるように振り回す。甲冑男はゴウキ以上の巨漢であったが、それでも通常なら考えられないほどの重量のあろう剣を軽々と扱っていた。
それだけでかなりの腕前の戦士であることは容易に想像が出来る。
「お前たち冒険者は大事な飯の種だ。私のことを触れ回られて、恐れるあまりに引き籠られては食い上げだからな。そこの娘を大人しく差し出せば生かしてやってもと思ってはいたが・・・」
甲冑男は先ほど剣を振り抜いた体勢のまま体を捻り、溜めの姿勢を取る。
「やはり不安の種は消さねばならんな。どちらにしたってお前達には全員死んでもらう!」
そう言い終えた瞬間、溜めの姿勢から一気に甲冑男は大型剣を横なぎに振り回す。そのスイングは恐ろしく高速であったが、それは今最も近くにいるはずのゴウキにすらギリギリ届くか届かないかの距離での斬撃であった。
「!」
その微妙な距離感の斬撃を、ゴウキはバックステップで難なく躱す。だが、甲冑男の攻撃はこれで終わらなかった。
振り抜いたその剣を止めることなく、そのままコマのように回転し続け、やがて竜巻のように・・・否、竜巻そのものとなって空気と砂塵を纏う。
「細切れになるがいい!」
甲冑男は笑い声を上げながら、勢いを増してゴウキ達に向かっていった。
「高速回転しながら良く喋れるよな。流石高レベルの戦士」
「しかも笑い続けてますね」
スミレとリノアは妙なところで感心していた。
「おいおい、お目当てのリノアごと切り刻むつもりかよ。相当な馬鹿だね」
そう言い、ゴウキはその場から動こうとはせず、構えを取る。
拳を握り、体を捻り、視線は甲冑男から外さない。
「無茶だぁ!」
それを見ていた遭難冒険者達はうわぁと悲鳴を上げた。
逃げるしかない。いや、逃がしてはもらえないかもしれない。だが、それでも彼らにとって圧倒的な力と迫力を持つ「災難」そのものになっている甲冑男に正面からぶつかろうという選択は全く及びもつかなかった。
だが一方でゴウキには逆に退くという選択肢がなかった。
自分が避けたらその先には冒険者達が腰を抜かしている。彼らを巻き込んでしまうから・・・ などということではなく、単純に避ける必要もなかったからなのだ。
そして、ゴウキが動き出した。
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