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7章 最下層、そして「泉」とるるさんと僕
110話 最後の夜2
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もう少しストックがあるのでまだ1日2話投稿。
こちらは本日1回目の投稿です。昨日の2話目がまだの方は前話からお楽しみください。
◆◆◆
僕たちがイスに乗り始めてからのるるさんは、すごく安定してる。
多分僕が1日中ひっつかれてるからだと思う。
女の子って、子犬とか子猫とかハムスターとかみたいにみんなでひっつくと落ち着くんだってね。
だからお風呂にも……いやいやあれは違うでしょ。
あのときのこともそのうち聞かないとなぁ……なんかちょっと怖いし気まずいし。
はぐられながらそういうことを考えていたら、ぽつりと話しかけて来る彼女。
「ハルちゃんと最初に会ってから……あっという間だった気がするね」
「そうですね。 あれってまだ1ヶ月くらい前のことなのに」
【おい、るるハルがアオハルし出したぞ!】
【草】
【るるハルアオハル】
【語呂良すぎない?】
【そこはふたりはるるハルあおハルだろ】
【いいね】
【尊】
【分かるかいノーネームちゃん】
【てえてえ】
【ノーネームちゃんイチオシのるるハル】
【なんだかんだ1番仲良いのってるるハルだよな】
【いつもるるちゃんが抱きついてるのもあるけど、なんて言うか距離が1番近いんだよな】
【まぁな、えみちゃんは自制してるからかあんまり抱きついたりしないし】
【視線を送る程度だよね】
【けど、えみちゃんの配信で観ると……】
【ハルちゃんの首元とか腰とか脚なんだよね……】
【完全に目線が俺ら】
【でもるるちゃんとか他の子にはそういうことしてない】
【やはり同類】
【おかげでファンになった】
【くしまさぁんは普段から距離取ってるもんな】
【ハルちゃんのお世話するときだけすすっと近づいてくる感じ】
【メイドさん?】
【メイド長とかじゃね?】
【それだ】
【で、リリちゃんならどっちかって言うと1歩引いて】
【髪の毛の匂い嗅いでるしな】
【リリちゃんはクンカー】
【でもそれが?】
【最高】
【草】
【あ、ノーネームちゃん的にクンカーはOKなのね】
【ノーネームちゃんの判定がよく分からん……】
【ノーネームちゃん的にはリリちゃんも推しなの?】
【遠】
【過去】
【近】
【未来】
【尊】
【推】
【へ?】
【何言ってるのノーネームちゃん】
【草】
【唐突に別のこと言ってて草】
【と、とにかく尊いから押してるってこと……だよね?】
【ノーネームちゃんも結構気分屋よね……】
それにしても……本当に怒濤の1ヶ月だった。
こんなの新入社員時代だって経験したことない気がする。
多分小学生のときくらいの密度だった気がする。
あ、この体になったときは……気持ち的には近かったかも?
「……………………………………」
……もしかして、ちっちゃくなったから時間感覚まで若返ってる?
ほら、小学生のときの時間感覚と大人とお年寄りでは全然違うって言うしさ、あとは象とネズミでもまるで違うって言うし。
【もう目がとろんとしてるハルちゃん】
【もうおねむ?】
【1日中あのイスを操作しながら索敵しつつ偏差射撃しつつだもんな】
【それに比べて3人の手持ち無沙汰感よ】
【ま、まぁ、3人とも遠距離スキル無いし……】
【代わりに俺たちの相手とかしてくれてたし……】
【もしかして:やっぱハルちゃん単体でも攻略できた】
【えぇ……】
【できたかもな 代わりに終始無言の2週間になってただろうけどな】
【あと、今よりもっと無茶して俺たちがひやひやさせられてた】
【それはそれで】
【始原はそれが良かった】
【始原!】
【始原しょんぼり】
【草】
【3年も無言配信見てた奴ら、いい加減自分たちもちょっとおかしいって自覚しろ】
「……ハルさん」
「あ、えみさん、踏まなくて大丈夫ですか?」
「……………………………………大丈夫です」
「えみちゃん……」
【草】
【めっちゃ迷ってて草】
【今すっごく目が泳いでたよえみちゃん】
【それをとろんと見上げるハルちゃん】
【ジトッと見てるるるちゃん】
【こわいよー】
何かを思いっ切り我慢してる顔のえみさん。
我慢は良くないと思うけどなぁ……でも確かに、今踏んであげちゃったりすると全世界生中継だしガマンするしかないっか。
帰ったら思いっ切りふみふみしてあげよっと。
この体軽いし、背中からおしりなら大丈夫でしょ。
【えみちゃん】
【俺たちの同志】
【ハルちゃんという存在がすぐそばにいるのに触れられない気持ち……分かる、分かるぞ……】
【がんばって抑えられてえらい】
【えらすぎる】
【えみちゃんの人気がた落ちかと思いきや「欠点がなさ過ぎて推せなかった」って連中が大量に群がってて草】
【あの魂の叫びが拡散された結果、登録者は何と1.5倍】
【お姉様呼びの老若男女が群がった結果だな】
【えみお姉様!】
【しゅごい】
【やっぱりギャップが大切だってよく分かるな】
【分かる この前までのえみちゃんって完璧すぎて近寄りがたい印象だったし……】
「……体調の方はどうでしょうか。 なにしろ明日ですし」
「んー」
両手をぐーぱーしてみる。
「大丈夫みたいです」
「ぐっ……」
「あ、これもダメなんですかえみさん」
「すみません……でも、幼い子のそういう仕草が……!」
「えみちゃん……」
「ロリコンさんって大変ですね」
「はうっ!?」
「あ、抑えてください、これ配信です」
「えみちゃん、簀巻きにする?」
【草】
【ハルちゃんが心配してて草】
【俺もロリコンさんって罵られたい】
【いや、今みたいに冷静に分析されるのもまたなかなか】
【どうしよう、えみちゃんのおかげでハルちゃんのロリコン発言が豊富になって来た】
【たまらないだろう?】
【ああ……!】
【けどほんと、なんでいちいちぐーぱーするのよハルちゃん】
【多分これが大丈夫ですアピなんだろ……ハルちゃんなりの】
【かわいすぎて草】
【ついでになんかるるちゃん冷たくない?】
【簀巻きにするとか冗談よね??】
僕は男だったけども、いや、いずれ男に戻るけども……えみさんみたいな深刻な性癖は持ち合わせてなかったからなぁ。
確かに衝動を抑えるのは大変だってのは分かるけども……男のときから「とりあえず寝ちゃえば収まるし」で過ごしてきたしなぁ。
「……ハル様。 明日攻略されたらですが」
「あ、はい、リリさん」
いつも通りに僕の真後ろに……いや、ほんと何でなのか分かっちゃうけども、別に害はないし、うるさすぎたら注意すればおとなしくなるしで放置気味のリリさん。
君もえみさんほどじゃないけど充分やばいよね?
【リリちゃん……】
【ちくしょう……俺も女だったら合法的に……!】
【いや、まずはハルちゃんとパーティー組めるだけの実力無いと無理だぞ?】
【後は最大の難関、ノーネームちゃんによる審査だ】
どうやら、僕に触ってるとるるさんがダークモードになるのは学習済みらしく、髪の毛の匂い嗅ぐとき以外は普通の距離感な彼女。
同時翻訳で普通に話せてる気がするけども、やっぱりときどき語彙がおかしくってよく分かんないから適当にスルーしてる。
特に問題はなさそうだから別にいいけどね。
「この攻略の後――私の国へ来ませんか?」
「リリちゃん」
「もちろんるる様やえみ様、ちほ様も」
「ならいいよ」
「いえ、別に僕、行くとは……」
【一瞬曇りかけたるるちゃん】
【リリちゃんも慣れっこだね】
【すっかり手懐けておる】
そもそも僕、パスポートとか……いくらダンジョン協会の人がいろいろしてくれてるとは言っても外国の身分証とかは無理だろうし、海外行けないでしょ。
だって幼女だよ?
成人男性vs幼女だよ?
いくら何でも無理でしょ……外国人なら余計に分かりづらいだろう僕の名前だけならともかくさぁ……。
……あれ?
もしかしてこの体のままだと……一生海外旅行、できない……?
えぇ――……。
【このるるハルあおハルな会話、外のこと分かってないからこそできるのよね】
【ああ……】
【今や世界中がハルちゃんを求めてるってな】
【おっと気をつけろ、詳細を語ろうとすると消されるぞ】
【大丈夫、ノーネームちゃんのおもちゃにされるだけだから】
【むしろ大歓げいいいいいいいいい】
【無茶しやがって……】
【本望なんじゃない?】
【まぁ返してくれるらしいし……】
【返してくれたお前が元のお前と同一人物かは分からないけどな】
【怖いこと言わないで!!】
【草】
【結局最後まで締まらなくて草】
【まぁハルちゃんの配信って最初からこうだし……】
こちらは本日1回目の投稿です。昨日の2話目がまだの方は前話からお楽しみください。
◆◆◆
僕たちがイスに乗り始めてからのるるさんは、すごく安定してる。
多分僕が1日中ひっつかれてるからだと思う。
女の子って、子犬とか子猫とかハムスターとかみたいにみんなでひっつくと落ち着くんだってね。
だからお風呂にも……いやいやあれは違うでしょ。
あのときのこともそのうち聞かないとなぁ……なんかちょっと怖いし気まずいし。
はぐられながらそういうことを考えていたら、ぽつりと話しかけて来る彼女。
「ハルちゃんと最初に会ってから……あっという間だった気がするね」
「そうですね。 あれってまだ1ヶ月くらい前のことなのに」
【おい、るるハルがアオハルし出したぞ!】
【草】
【るるハルアオハル】
【語呂良すぎない?】
【そこはふたりはるるハルあおハルだろ】
【いいね】
【尊】
【分かるかいノーネームちゃん】
【てえてえ】
【ノーネームちゃんイチオシのるるハル】
【なんだかんだ1番仲良いのってるるハルだよな】
【いつもるるちゃんが抱きついてるのもあるけど、なんて言うか距離が1番近いんだよな】
【まぁな、えみちゃんは自制してるからかあんまり抱きついたりしないし】
【視線を送る程度だよね】
【けど、えみちゃんの配信で観ると……】
【ハルちゃんの首元とか腰とか脚なんだよね……】
【完全に目線が俺ら】
【でもるるちゃんとか他の子にはそういうことしてない】
【やはり同類】
【おかげでファンになった】
【くしまさぁんは普段から距離取ってるもんな】
【ハルちゃんのお世話するときだけすすっと近づいてくる感じ】
【メイドさん?】
【メイド長とかじゃね?】
【それだ】
【で、リリちゃんならどっちかって言うと1歩引いて】
【髪の毛の匂い嗅いでるしな】
【リリちゃんはクンカー】
【でもそれが?】
【最高】
【草】
【あ、ノーネームちゃん的にクンカーはOKなのね】
【ノーネームちゃんの判定がよく分からん……】
【ノーネームちゃん的にはリリちゃんも推しなの?】
【遠】
【過去】
【近】
【未来】
【尊】
【推】
【へ?】
【何言ってるのノーネームちゃん】
【草】
【唐突に別のこと言ってて草】
【と、とにかく尊いから押してるってこと……だよね?】
【ノーネームちゃんも結構気分屋よね……】
それにしても……本当に怒濤の1ヶ月だった。
こんなの新入社員時代だって経験したことない気がする。
多分小学生のときくらいの密度だった気がする。
あ、この体になったときは……気持ち的には近かったかも?
「……………………………………」
……もしかして、ちっちゃくなったから時間感覚まで若返ってる?
ほら、小学生のときの時間感覚と大人とお年寄りでは全然違うって言うしさ、あとは象とネズミでもまるで違うって言うし。
【もう目がとろんとしてるハルちゃん】
【もうおねむ?】
【1日中あのイスを操作しながら索敵しつつ偏差射撃しつつだもんな】
【それに比べて3人の手持ち無沙汰感よ】
【ま、まぁ、3人とも遠距離スキル無いし……】
【代わりに俺たちの相手とかしてくれてたし……】
【もしかして:やっぱハルちゃん単体でも攻略できた】
【えぇ……】
【できたかもな 代わりに終始無言の2週間になってただろうけどな】
【あと、今よりもっと無茶して俺たちがひやひやさせられてた】
【それはそれで】
【始原はそれが良かった】
【始原!】
【始原しょんぼり】
【草】
【3年も無言配信見てた奴ら、いい加減自分たちもちょっとおかしいって自覚しろ】
「……ハルさん」
「あ、えみさん、踏まなくて大丈夫ですか?」
「……………………………………大丈夫です」
「えみちゃん……」
【草】
【めっちゃ迷ってて草】
【今すっごく目が泳いでたよえみちゃん】
【それをとろんと見上げるハルちゃん】
【ジトッと見てるるるちゃん】
【こわいよー】
何かを思いっ切り我慢してる顔のえみさん。
我慢は良くないと思うけどなぁ……でも確かに、今踏んであげちゃったりすると全世界生中継だしガマンするしかないっか。
帰ったら思いっ切りふみふみしてあげよっと。
この体軽いし、背中からおしりなら大丈夫でしょ。
【えみちゃん】
【俺たちの同志】
【ハルちゃんという存在がすぐそばにいるのに触れられない気持ち……分かる、分かるぞ……】
【がんばって抑えられてえらい】
【えらすぎる】
【えみちゃんの人気がた落ちかと思いきや「欠点がなさ過ぎて推せなかった」って連中が大量に群がってて草】
【あの魂の叫びが拡散された結果、登録者は何と1.5倍】
【お姉様呼びの老若男女が群がった結果だな】
【えみお姉様!】
【しゅごい】
【やっぱりギャップが大切だってよく分かるな】
【分かる この前までのえみちゃんって完璧すぎて近寄りがたい印象だったし……】
「……体調の方はどうでしょうか。 なにしろ明日ですし」
「んー」
両手をぐーぱーしてみる。
「大丈夫みたいです」
「ぐっ……」
「あ、これもダメなんですかえみさん」
「すみません……でも、幼い子のそういう仕草が……!」
「えみちゃん……」
「ロリコンさんって大変ですね」
「はうっ!?」
「あ、抑えてください、これ配信です」
「えみちゃん、簀巻きにする?」
【草】
【ハルちゃんが心配してて草】
【俺もロリコンさんって罵られたい】
【いや、今みたいに冷静に分析されるのもまたなかなか】
【どうしよう、えみちゃんのおかげでハルちゃんのロリコン発言が豊富になって来た】
【たまらないだろう?】
【ああ……!】
【けどほんと、なんでいちいちぐーぱーするのよハルちゃん】
【多分これが大丈夫ですアピなんだろ……ハルちゃんなりの】
【かわいすぎて草】
【ついでになんかるるちゃん冷たくない?】
【簀巻きにするとか冗談よね??】
僕は男だったけども、いや、いずれ男に戻るけども……えみさんみたいな深刻な性癖は持ち合わせてなかったからなぁ。
確かに衝動を抑えるのは大変だってのは分かるけども……男のときから「とりあえず寝ちゃえば収まるし」で過ごしてきたしなぁ。
「……ハル様。 明日攻略されたらですが」
「あ、はい、リリさん」
いつも通りに僕の真後ろに……いや、ほんと何でなのか分かっちゃうけども、別に害はないし、うるさすぎたら注意すればおとなしくなるしで放置気味のリリさん。
君もえみさんほどじゃないけど充分やばいよね?
【リリちゃん……】
【ちくしょう……俺も女だったら合法的に……!】
【いや、まずはハルちゃんとパーティー組めるだけの実力無いと無理だぞ?】
【後は最大の難関、ノーネームちゃんによる審査だ】
どうやら、僕に触ってるとるるさんがダークモードになるのは学習済みらしく、髪の毛の匂い嗅ぐとき以外は普通の距離感な彼女。
同時翻訳で普通に話せてる気がするけども、やっぱりときどき語彙がおかしくってよく分かんないから適当にスルーしてる。
特に問題はなさそうだから別にいいけどね。
「この攻略の後――私の国へ来ませんか?」
「リリちゃん」
「もちろんるる様やえみ様、ちほ様も」
「ならいいよ」
「いえ、別に僕、行くとは……」
【一瞬曇りかけたるるちゃん】
【リリちゃんも慣れっこだね】
【すっかり手懐けておる】
そもそも僕、パスポートとか……いくらダンジョン協会の人がいろいろしてくれてるとは言っても外国の身分証とかは無理だろうし、海外行けないでしょ。
だって幼女だよ?
成人男性vs幼女だよ?
いくら何でも無理でしょ……外国人なら余計に分かりづらいだろう僕の名前だけならともかくさぁ……。
……あれ?
もしかしてこの体のままだと……一生海外旅行、できない……?
えぇ――……。
【このるるハルあおハルな会話、外のこと分かってないからこそできるのよね】
【ああ……】
【今や世界中がハルちゃんを求めてるってな】
【おっと気をつけろ、詳細を語ろうとすると消されるぞ】
【大丈夫、ノーネームちゃんのおもちゃにされるだけだから】
【むしろ大歓げいいいいいいいいい】
【無茶しやがって……】
【本望なんじゃない?】
【まぁ返してくれるらしいし……】
【返してくれたお前が元のお前と同一人物かは分からないけどな】
【怖いこと言わないで!!】
【草】
【結局最後まで締まらなくて草】
【まぁハルちゃんの配信って最初からこうだし……】
応援ありがとうございます!
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