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3章 るるさんとコラボ 2人はるるハルって良い響きだね

25話 僕のTSとるるさんの呪い(ガチ)、僕のレベル★10のおかしさ

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「……なるほど。 つまり願いの泉っぽいのは関係ないと」

「恐らくは。 世界で十数例しかありませんが、どれも共通しているのは『ダンジョン内の何かが原因』とだけ。 ダンジョン内で特別なことは起こらず、ごく普通に潜り帰還した後に……です」

「願いの泉……儂も聞いたことはないが、一応手は回しておこう」

るるさんと僕。

おかしなくらいの……特に今日の僕がなったみたいな不運って言う呪いに、男から女の子になる現象。

「これ。 まぁ普通じゃないですよね」
「私の……そんなのだったんだ……」

うん、飛ばしてくるし。

なんか気配あるんだよ……こう、さっきみたいに後ろから抱きつかれた的な?

「るるの明らかな不運のようなものについては事務所の伝手で調べ、推測はしていましたけど……そうですか」

僕はともかく、るるさんとえみさんは普通の女子高生として普通にショック受けてるらしい。

そりゃそうだよね。

下向いちゃったるるちゃんのこと、さっきから静かにしてくれてるえみさんと九島さんが静かに頭とか背中撫でてる。

あ、僕のは要らないって断った。
だって平気だもん。

……でも、るるさんの繋いできた手は離さないでおこっと。

「深谷さんは……ご両親が」
「はい……何年か前に、2人とも別々の場所で大怪我を」

え?

「しかしお母様もお父様も、現在はお元気と」
「はい……でもまたなるって思ったら怖いので、今はえみちゃんちに居させてもらってて」

へー、るるさんってえみさんの家に住んでたんだ。

……それでOK出すって、えみさんってよっぽどるるさんと仲良いんだね。

「……私たちも、るるの不幸体質は知っていました。 ですがしばらく一緒に居ても些細なものでした。 るるの明るい性格と合わせ、ダンジョン配信にはむしろ好都合との判断もあってパーティーに誘ったんです。 経験的に周辺の人間が多いほど些細な不幸……転ぶとか程度になると知っていましたし」

「事務所主導で、ですか」

「はい。 るるが入って来て2年。 大きなケガも起こさず『不幸体質というキャラ付け』というエンターテイメントとして受け入れられて……いたのですが……」

「私が知り合いになる前のるるさんも……そうですね、『ハプニングが良く起きる方で、たまにコラボ先の相手にも飛び火する』程度の認識だったと思いますし」

「でも、この前ハルちゃんに、迷惑かけちゃった。 今日も」

あー。

「……その配信でしたら私たち上層部も。 あまりにも罠の確率がおかしいため、ダンジョンそのものの難易度の設定やレベル表記の修正も兼ねて内密で調査を始めていましたが……」

「あ、そうだったんですかぁ」

「うちの九島もその1人です」
「そうだったんですか……ってちほちゃんも!?」

ちほちゃん?

……あ、九島さん、ちほって名前なんだ。

仲良いね、本当に。

けどさっきさらっと言ってたよ?
さらっと過ぎて聞き逃しそうだったけども。

「……ごめんなさい」
「え?」
「私、みなさんに何も言わず……」

九島さんが立ち上がって僕たちに頭を下げる。

……真面目過ぎる子だよなぁ、この子って。

「いっ、いいの! だって私のためなんでしょ!?」
「そうだ、九島さん。 るるの相手をしてくれたじゃないか」
「えみちゃん!? 私の扱い雑じゃない!?」

「僕も別に平気ですよ。 るるさんを止めてくれてましたし」
「ハルちゃんまで!? ……もーっ!!」

普段はこんなに明るい子が下手に落ち込んでてもこっちが困っちゃう。

だからここはえみさんに乗っかって明るくした方が良いよね。





「現状、解呪手段は見つかっていません。 ……が、同時に悪化したりするなども報告されていませんし、周囲に広がるということもありません――少なくとも現在のところは」

「……そうですか。 良かったぁ」

「じゃあ僕の配信が公開になったりなんかすごいことになったのはるるさんの生き霊じゃないんですね?」

「生き霊って何!?」
「違うの?」

「ああ……コメントではホーミングるるなどと……」
「ぶふっ………………………………失礼しました」

なんか「ホーミングるるさん」ってのが九島さんのツボに入ったらしく、普段そこまで笑わない彼女がむせている。

分かる、なんか変なのでツボるときってあるよね。
普段は冷静な九島さんの顔が、お耳が真っ赤。

「ですが、征矢さんも深谷さんもどちらもこの現象の被害者――と言って良いのかは分かりませんが、とにかく同じ境遇です。 ダンジョン内での魔力の属性や職業ごとのシナジーと同じように、掛かっている力の相乗効果がある可能性は高いです」

「えっ」

「……配信もこちらで拝見していました。 深谷さんの先日のものも、征矢さんの本日のものも、通常ではあり得ない確率のハプニングです」

「……私たちもそう思っていました。 普通ならトラップは多くて1日に2回。 多くてです。 無い方が普通ですから……せいぜいがうっかりモンスターに見つかったり転んだりする程度で」

あ、そうなんだ。

「こほん……救護班としての経験から、私もそう思いました。 確かに階段トラップからの救助要請もあったりしますけど……そこからモンスターハウスとかボスモンスター召喚とか聞いたことありません」

ほっとしてたるるさんが真っ青になって僕のことを見てくる。

「ハ……ハルちゃん……」

「だから平気だって」
「でもっ」

「だいたい僕、ケガすらしてないし。 あの弾代とか魔力が回復するまでだって、マネージャーさんから保障してくれるって連絡あったから別に?」

「そ、そうだよな! ハルはあれだけ強くて可憐だからな!」
「三日月さん、抑えて抑えて……」

本当だよ、こんな偉そうなおじいさんとおじさんの居るところでヘンタイさんばれたらやばいよ?

「――その強さもまた、恐らくは姿が変わったことと関係があるでしょう」

「へ?」

ダンジョン協会の会長さんと公安の人が追撃してくる。

……まだあるの?

僕もう帰ってひと眠りしたいんだけど?

「征矢さん。 ――鑑定アイテムを使用しても?」
「え? あ、はい。 もう1年くらいしてませんけど」

鑑定の水晶。

ダンジョン内でのドロップ品……結構高く買ってくれるんだよね。
これで大雑把なレベルとかスキルとかが分かるすぐれもの。

……これもまたダンジョン内でしか発見できなくて、科学的に作ることはできないらしい。

すごいね、ダンジョンって。

「協会にありますデータ上……まだ男性だった頃の征矢さんの去年のデータは、レベル換算で15。 中級者として専業で生計を立てるには充分、国内全登録者のトップ20%に入っています」

「え!? ハルちゃんそんなに強かったの!?」

「……るるが11、私が13ですから……」
「救護班でも10あればすごい方なのに……」

あれ、そんなに高かったっけ?

……まぁどんなことでも3年くらいやってれば中級者にはなれるもの。

しかもレンジャーとかは隠蔽スキル使用時に経験値貯まりやすいらしいし。
パッシブってやつだね。

「はい、最近の方はレベルが10に上がれる素質があれば本業にしますね。 我々もてっきりそうだと……」

細かいことは分かんないけど、どうやら前の僕はなかなかだったらしい。

趣味と実益を兼ねたのが評価されてて、ちょっと嬉しい。

「伊達にダンジョン潜りを趣味にしてませんでしたから」

なんかダンジョンの中ってゲームみたいで楽しいんだもん。
VRゲームみたいな?

ただしデスゲームでもあるけども……今はほとんど、事故以外じゃそういうのないし、かなり安全な遊びの。

ゲームで生計立てられるなら楽しいよね。
ソロならほとんどの時間、誰とも話さないで居られるし。

「会社員として、会社帰りに毎日のように2、3時間潜り、週末は6時間ほど。 それを3年……こちらを専業にしようと準備されていたのでは?」

「いえ、なんとなく居心地良かっただけです。 ダンジョンで稼いでいれば会社でもそこまでがんばらなくて良いですし」

「居心地……そ、そうですか……」
「はい。 暗くて静かなので」

強面の公安さんが一瞬ドン引きしたのを僕は見た。

だって良い感じじゃない?
あのじめじめして暗くって静かな場所って。

きのことか生えそうで良いよね。

僕のお気に入りは舞茸。
椎茸はちょっと苦手。

「では、失礼して――――!?」

――どっかで見たことある水晶玉が光ったかって思ったら、公安さんが近くにあったごみ箱を被せる。

そうして中でぱりんってガラスの割れる音。

……一瞬でよくここまでできるなぁ……さすがはプロ。

「……予想はしていましたが……」
「これで間違いありませんね」

うなずき合う会長さんと公安さん。

「征矢春海さん」
「はい?」

「あなたは――恐らくは人類の限界を超えています」
「はぁ、そうですか」

「……驚かないのですか?」
「いえ、実感がないだけです」

あ、会長さんも「なにこの子……こわ……」的な表情。

失礼な、こんなにかわいい幼女に対して。





「――★10。 それが、征矢さんのレベルです」
「ほし、じゅう?」

「上位のダンジョンで手に入りました鑑定アイテムを使用した結果です。 この星の意味は……恐らくは限界を突破したという証かと」

「ほぇー」

「うぐっ……」
「三日月さん抑えて……!」

何かゲームみたい。

それが僕の第一印象だ。

「ゲームシステムみたいですね。 限界突破とか」
「る、るる……」

「構いませんよ。 実際、ゲームと酷似していますからね……レベルと良いスキルと言い、ダンジョン関係は」

ゲームっぽいからこそダンジョンが出て来てすぐに人類が馴染んだとも言えるもんね。

一撃死があるところとかもハードなゲームシステムだけども、緊急脱出装置があるからよっぽどのことがなければ大丈夫って言うのもまた「ヌルゲー」らしい。

「つまり、征矢さんは現時点で最高レベルだと言えるでしょう」

「ほぇー」

「ふぐっ……」
「三日月さん……」

僕の声に反応するヘンタイさんの心を九島さんが抑えている。

何がそんなに心くすぐるんだろうね?
確かにかわいい声だとは思うけども、そこまで……?

「これらのことから、今後征矢さんと深谷さんへは必要なサポートと同時に、この現象の解明のために定期的な検査――半日での人間ドック程度のものです――や、非常時の特別警護をさせていただきたく」

「良いですよ」
「ハルちゃん軽すぎ!?」

「だって、そうするしかないじゃん。 僕たちダンジョン関係の未知のなにかに取り憑かれてるんだよ?」
「それはそうだけど……」

なんか気の抜けた顔してる公安さん……僕がぐずるとでも思った?
僕のこと、大人の男って分かってるはずだよね?

「それにるるさんだって呪い解きたいでしょ」
「う、うん……またハルちゃんに迷惑かけちゃうかもだし……」

「僕だって早く元の男に戻りたいし」

「それは駄目だハルたん!!!」

「……ハル、たん?」

「……あっ」
「えみちゃん……」
「三日月さん……」

「あーあ」

この幼女な肉体に心奪われすぎてたせいか、思いっ切り「ハルたん」とか言っちゃったヘンタイさん。

あーあ。

せっかく隠せてたのにね……。





征矢春海――「ハルちゃん」、深谷るる、三日月えみに九島ちほが退席したその部屋。

……いい歳をした男が悶えていた。

「かわゆかった……かわゆかったのうううう……!」
「会長、高血圧、高血圧ですから!」

「何あのちっちゃいの、ぷにぷにほっぺに綺麗なブロンド!」

「1年経ったとは言え内面は男性のままのようで、見えない程度に膝も開いていましたし……ガードが緩かったですね。 と言うか普通にワンピースも着こなしていましたね……」

「わし、決めた! ハルたんは絶対に守ると!」

「ですから抑えて……しかしこちらも『ダンジョン内現象に関する稀少な保護対象』として、1年ごとに交代するようなどうでもいい大臣とかよりも多くの警備を割くよう指示してきます。 るるちゃ、深谷さんと2人分ですから通るでしょう」

「あ。 あのえみちゃんの目つき、わしらと同じだったぞい」
「……始原に加えます?」

「内通者がいるといろいろと都合が良いし、女性陣やあのショタコンとも気が合うじゃろ。 コンタクトを」
「はっ」
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