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帝国歴50年
商会
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現代日本では普通の女子高生だった私、市綱エリカは、目覚めたらゲーム世界の蒸騎、主人公機ロボのAIへ転生していた。
いま私のいる帝国は島国の帝国本土があり、海を挟んだ南方の大陸には大きな領域の旧共和国の帝国領があり、それ以外にも海を渡って現在領土を拡大中である。
さて話は戻って大陸内には旧共和国の帝国領を取り囲む様に西の王国、東の連邦、
そして南には司教を始め帝国内でも信仰する神の、総本山がある聖国がある。
更にややこしい事に島と大陸の帝国領、その中間に挟まれた大陸側の海沿いに、まだ帝国領になっていない小さな地域が存在する。
商売を主な生業とする都市の集まりで緩やかに連合を結成するこの一帯は共和国が帝国領になった後も、文字通り「金の力」で独立を勝ち取った。
人呼んでフォックトロット通商連合。
豪商フォクシー・フォックストロットを代表とする商会の集合体である。
さてゲームには人間以外の種族、いわゆる亜人が登場するのだが、豪商フォクシーもその亜人の一人、狐耳を持つ狐人であった。
狐人と言っても人間の数倍生きる長寿と狐の様な耳と尻尾を除けば人間と大差なく、狐に化けるなどといった特殊能力も持っていない。
しかしフォクシー個人で言えば外見こそ化けないが相手は良く化かす、強かで食えない男と評判であり、ゲーム内でも各国の要人を手玉に取る描写があり、直接的な言及こそないが帝国皇子ヴァーリの闇落ちに関わってる可能性もある(と考察サイトにも書かれていた)要注意人物である。
故に今後排除するか友好関係を結ぶかを思案していたキャラの一人でもあったのだが。
うん、いつものパターンでだんだん慣れつつある私が怖いが、何でここにいるのフォクシー・フォックストロット?!
「そりゃあ商売人は、商売の臭いのする所に現れるモノですコン」
見た目と声は子供にしか思えないフォクシーは、実は100歳越えのショタジジイであった。
ただ確か狐人の平均寿命が300歳って聞いてるから、人間年齢だと33歳?それでもオッサンだけど。
そもそも商売の臭いって別に私は商売人じゃ……あ、ひょっとして。
「先日帝国の魔法使い殿から、面白い物を見せてもらったでコン」
あの転生者エンジニア何してんの!
まあフォクシーとのコネが出来て、ラッキーと思う事にしよう。
「つきましては、他にもお金になりそうな面白い物を見せて頂けないかとお邪魔した次第ですコン」
って言われても……だったら私と知恵比べする?
「知恵比べ、ですコン?」
うん、あなたが私の一番欲しい物を当てる。
それが出来たら商売のネタになりそうなアイデアをあげるという事で。
「面白そうですね、その知恵比べ乗ったですコン」
そう言ってフォクシーは、狐耳をヒョコヒョコ動かしながら思案する。
「ふむ……今までのモンステラ女史の行動や作った物から察するに、深い帝国愛が感じられますコン。
いや帝国愛というよりもっと、特定の人への想いですコン?」
すげえな商会のボス、推理がもうかなり核心まで食い込んでる。
「となると一番の協力者であるマグノリア女史、いや愛情と言えば異性の婚約者ヴァーリ殿下ですコン?
しかしあなたの性格的に婚約者の横取りなどは考えてないでしょうから恋愛感情というよりはもっと、慈愛や仁愛に近いコン?」
おいおい怖いな核心に迫り過ぎだ、ほぼ正解を導いてるぞ。
「確かモンステラ女史は未来が見えるとか。
でしたらヴァーリ殿下に何らかの危機が迫っていて、それを回避するのが一番の望み?」
あーもう降参、大正解。
ただ殿下本人にはその話は内緒だよ?
「了解……と言うより、話したところで信じないですコン」
まあ現状その兆候もないし、何言ってんだと思われるよなあ。
「さて、モンステラ女史は対価に何を提供してくれるですコン?」
提供というかカミングアウトだけどね。
実は私は転生者だ。
「ええっ、転生者!!」
と派手に驚くフォクシー。
「……って何ですコン?」
いや知らんで驚いたんかい!
「なるほど、外の世界から。
そしてゲームだったこの世界の知識を持ってるですコン……」
どう、対価になりそう?
「むしろお釣りが出るくらいですコン!
聞けばこの世界より進んだ技術もちらほら、それだけでも金のなる木がザックザクですコン」
そう?
じゃあそのお釣りとやらで、幾つか有益な情報教えてよ。
「んー、では二つほど」
二つも!?
「まず一つ、旧共和国には気をつけた方がいいですコン」
今は帝国領の?
「はい、大人しく従っている様に見えて実は反乱の火種が燻っていますコン」
あれゲームでそんな展開あった?
んー、この世界にきて色々改変してる影響かも。
まあいい、もう一つは?
「辺境の村が魔物に襲われた件、もう一度調べる事をおすすめしますコン」
えー、確かにゲーム展開と変わったけど村が救われて結果主人公トールも村を出た事で解決済みでは。
「そもそもあの襲われ方が不自然ですコン。
もし人為的に強い魔物を発生させる術があるのだとしたら……」
他の場所が被害に遭う、何なら帝都も危ないって事か。それは調べ直すべきかな。
かくして豪商フォクシーと顔繋ぎと情報交換をした私達。彼とは長い付き合いになりそうだ。
いま私のいる帝国は島国の帝国本土があり、海を挟んだ南方の大陸には大きな領域の旧共和国の帝国領があり、それ以外にも海を渡って現在領土を拡大中である。
さて話は戻って大陸内には旧共和国の帝国領を取り囲む様に西の王国、東の連邦、
そして南には司教を始め帝国内でも信仰する神の、総本山がある聖国がある。
更にややこしい事に島と大陸の帝国領、その中間に挟まれた大陸側の海沿いに、まだ帝国領になっていない小さな地域が存在する。
商売を主な生業とする都市の集まりで緩やかに連合を結成するこの一帯は共和国が帝国領になった後も、文字通り「金の力」で独立を勝ち取った。
人呼んでフォックトロット通商連合。
豪商フォクシー・フォックストロットを代表とする商会の集合体である。
さてゲームには人間以外の種族、いわゆる亜人が登場するのだが、豪商フォクシーもその亜人の一人、狐耳を持つ狐人であった。
狐人と言っても人間の数倍生きる長寿と狐の様な耳と尻尾を除けば人間と大差なく、狐に化けるなどといった特殊能力も持っていない。
しかしフォクシー個人で言えば外見こそ化けないが相手は良く化かす、強かで食えない男と評判であり、ゲーム内でも各国の要人を手玉に取る描写があり、直接的な言及こそないが帝国皇子ヴァーリの闇落ちに関わってる可能性もある(と考察サイトにも書かれていた)要注意人物である。
故に今後排除するか友好関係を結ぶかを思案していたキャラの一人でもあったのだが。
うん、いつものパターンでだんだん慣れつつある私が怖いが、何でここにいるのフォクシー・フォックストロット?!
「そりゃあ商売人は、商売の臭いのする所に現れるモノですコン」
見た目と声は子供にしか思えないフォクシーは、実は100歳越えのショタジジイであった。
ただ確か狐人の平均寿命が300歳って聞いてるから、人間年齢だと33歳?それでもオッサンだけど。
そもそも商売の臭いって別に私は商売人じゃ……あ、ひょっとして。
「先日帝国の魔法使い殿から、面白い物を見せてもらったでコン」
あの転生者エンジニア何してんの!
まあフォクシーとのコネが出来て、ラッキーと思う事にしよう。
「つきましては、他にもお金になりそうな面白い物を見せて頂けないかとお邪魔した次第ですコン」
って言われても……だったら私と知恵比べする?
「知恵比べ、ですコン?」
うん、あなたが私の一番欲しい物を当てる。
それが出来たら商売のネタになりそうなアイデアをあげるという事で。
「面白そうですね、その知恵比べ乗ったですコン」
そう言ってフォクシーは、狐耳をヒョコヒョコ動かしながら思案する。
「ふむ……今までのモンステラ女史の行動や作った物から察するに、深い帝国愛が感じられますコン。
いや帝国愛というよりもっと、特定の人への想いですコン?」
すげえな商会のボス、推理がもうかなり核心まで食い込んでる。
「となると一番の協力者であるマグノリア女史、いや愛情と言えば異性の婚約者ヴァーリ殿下ですコン?
しかしあなたの性格的に婚約者の横取りなどは考えてないでしょうから恋愛感情というよりはもっと、慈愛や仁愛に近いコン?」
おいおい怖いな核心に迫り過ぎだ、ほぼ正解を導いてるぞ。
「確かモンステラ女史は未来が見えるとか。
でしたらヴァーリ殿下に何らかの危機が迫っていて、それを回避するのが一番の望み?」
あーもう降参、大正解。
ただ殿下本人にはその話は内緒だよ?
「了解……と言うより、話したところで信じないですコン」
まあ現状その兆候もないし、何言ってんだと思われるよなあ。
「さて、モンステラ女史は対価に何を提供してくれるですコン?」
提供というかカミングアウトだけどね。
実は私は転生者だ。
「ええっ、転生者!!」
と派手に驚くフォクシー。
「……って何ですコン?」
いや知らんで驚いたんかい!
「なるほど、外の世界から。
そしてゲームだったこの世界の知識を持ってるですコン……」
どう、対価になりそう?
「むしろお釣りが出るくらいですコン!
聞けばこの世界より進んだ技術もちらほら、それだけでも金のなる木がザックザクですコン」
そう?
じゃあそのお釣りとやらで、幾つか有益な情報教えてよ。
「んー、では二つほど」
二つも!?
「まず一つ、旧共和国には気をつけた方がいいですコン」
今は帝国領の?
「はい、大人しく従っている様に見えて実は反乱の火種が燻っていますコン」
あれゲームでそんな展開あった?
んー、この世界にきて色々改変してる影響かも。
まあいい、もう一つは?
「辺境の村が魔物に襲われた件、もう一度調べる事をおすすめしますコン」
えー、確かにゲーム展開と変わったけど村が救われて結果主人公トールも村を出た事で解決済みでは。
「そもそもあの襲われ方が不自然ですコン。
もし人為的に強い魔物を発生させる術があるのだとしたら……」
他の場所が被害に遭う、何なら帝都も危ないって事か。それは調べ直すべきかな。
かくして豪商フォクシーと顔繋ぎと情報交換をした私達。彼とは長い付き合いになりそうだ。
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