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17 お昼休みのこと②
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「天気も良いし、ちょうど良い季節だね。この辺りに座る?」
私は二人が座れるくらいの空いたスペースを見つけて示す。虎井くんも頷くと、手でその辺りを払った。
「しまった。ハンカチとか、要るよな。ごめん。持ってない。こんな時に必要だと思いもしなかった」
心底やっちゃった、みたいな顔で俯く虎井くんに私はふっと笑ってそのまま腰掛けた。
「大丈夫だよ、制服だし、あとで払えば平気。お腹すいたしもう食べよ?」
お弁当を膝の上で開いてお箸を出す。手を合わせていただきます、をすると、虎井くんは言いにくそうに口に手を当てて言った。
「……澪って呼んで良い?」
「うん。良いよ」
私は唐揚げを口に入れながら言った。こういう名前って、仲良くなるにつれて自然に呼び捨てになるものだと思うんだけど、わざわざ聞いてくるなんて律儀な人だ。
「俺のことも名前で呼んで欲しいんだけど」
「うん、行高くん?」
そう私が呼ぶと悶えるように自分を抱きしめた。大袈裟だなあ。
「出来たら呼び捨てにして」
「行高……? どうして?」
「だって、その方が付き合ってるっぽいだろ?」
「……えっと、行高。私達って付き合ってるの?」
「え?」
「あの……その、今日話したばかりだし、ねえ、寧々ちゃんからどう聞いてる? 朝も言ってたけど、練習、なんだよね?」
本格的に付き合うという訳でもなく練習だったはずだと私は確認するように言うと、行高は少し拗ねたみたいな顔をすると口を尖らせた。
「うん。練習。つきあってる振りしたら良いんだろ? わかってるよ」
「それなら良いよ。なんだか、私たちの会話を思うと本当に付き合ってるみたいだなって思っただけ」
真顔になった行高だって可愛い顔をしているんだから、モブ並みの私よりもっと可愛くて良い子が他にいくらでも居るはずだ。
「俺は……」
もごもごと言って後の言葉は、やきそばパンと一緒にごくんと飲み込んだみたいだ。そういう仕草もなんか可愛くて、くすくす笑ってしまった。
行高は笑った私の事をじっと見る。もう一度手にしたパンをゆっくりと食べて咀嚼して飲み込むと言った。
「……俺は別にそのまま、付き合っても良いよ。澪のことずっと可愛いと思ってたし」
昼休み、不意打ちの告白は私の耳まで熱くした。
私は二人が座れるくらいの空いたスペースを見つけて示す。虎井くんも頷くと、手でその辺りを払った。
「しまった。ハンカチとか、要るよな。ごめん。持ってない。こんな時に必要だと思いもしなかった」
心底やっちゃった、みたいな顔で俯く虎井くんに私はふっと笑ってそのまま腰掛けた。
「大丈夫だよ、制服だし、あとで払えば平気。お腹すいたしもう食べよ?」
お弁当を膝の上で開いてお箸を出す。手を合わせていただきます、をすると、虎井くんは言いにくそうに口に手を当てて言った。
「……澪って呼んで良い?」
「うん。良いよ」
私は唐揚げを口に入れながら言った。こういう名前って、仲良くなるにつれて自然に呼び捨てになるものだと思うんだけど、わざわざ聞いてくるなんて律儀な人だ。
「俺のことも名前で呼んで欲しいんだけど」
「うん、行高くん?」
そう私が呼ぶと悶えるように自分を抱きしめた。大袈裟だなあ。
「出来たら呼び捨てにして」
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「だって、その方が付き合ってるっぽいだろ?」
「……えっと、行高。私達って付き合ってるの?」
「え?」
「あの……その、今日話したばかりだし、ねえ、寧々ちゃんからどう聞いてる? 朝も言ってたけど、練習、なんだよね?」
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「うん。練習。つきあってる振りしたら良いんだろ? わかってるよ」
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真顔になった行高だって可愛い顔をしているんだから、モブ並みの私よりもっと可愛くて良い子が他にいくらでも居るはずだ。
「俺は……」
もごもごと言って後の言葉は、やきそばパンと一緒にごくんと飲み込んだみたいだ。そういう仕草もなんか可愛くて、くすくす笑ってしまった。
行高は笑った私の事をじっと見る。もう一度手にしたパンをゆっくりと食べて咀嚼して飲み込むと言った。
「……俺は別にそのまま、付き合っても良いよ。澪のことずっと可愛いと思ってたし」
昼休み、不意打ちの告白は私の耳まで熱くした。
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