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18 溶けてく言葉①
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なんだかぼーっとしたまま席に戻って来た。心ここにあらずのせいか、上手くバッグを開けなくて何度目かでやっとのことでお弁当箱をバッグの中に入れる。
モブの私を可愛いって! ずっと可愛いと思ってたって!
……嘘みたい。
「どうだった?」
「うん、なんか呼び捨てしあうことになったよ」
「そうなんだ。行高、積極的だね。……こっちはやっぱりちょっと様子おかしいわ。鷹羽くん、夕凪の誘いを何度か断っていたみたいなんだけど、結局最後には着いて行っちゃうし、夕凪なんだか強いよ、うちのクラスの女子の抗議の視線を向けられてるけど負けてないわ。よくわからないけど、やっぱり鷹羽くん、夕凪に弱味でも握られてるんじゃない?」
「でも」
「なに?」
「それって、私がどうにか出来ることなのかな? 鷹羽くんが何も言わないなら、もう……」
「澪……」
寧々ちゃんが何か言いかけたところで、チャイムが鳴る。
私は次の授業の教科書とノート、筆記用具なんかを出しながら、鷹羽くんが言ってくれたことを思い出してた。
こんなモブみたいな私を最初に好きになってくれた人。
困っている立場にあるかもしれないのに、そのままにしてしまっても良いの? 後悔しない? 本当に?
なんだか念仏みたいに聞こえる先生の声を聞きながら、私は自分に問いかけていた。
体育の前、今は詳しくは言えないって言ってた。
じゃあ、いつならば言えるのかな? 夕凪さんは何を知っているんだろう?
それって私が聞いてしまっても良いのかな?
行高とこのまま付き合ってしまうにしても、やっぱり鷹羽くんのことは残り続けると思う。じゃあ、私のすべきことって……。
◇◆◇
「澪……帰る?」
放課後、寧々ちゃんが私に遠慮がちに聞いて来た。
「ううん。私ちょっと用事あるから残るね」
私の言葉に意外そうに寧々ちゃんは首を傾げた。
「そうなの? ……大丈夫?」
「うん。寧々ちゃん、ありがとう。また夜に電話すると思う。聞いてくれる?」
私の言葉ににこっと微笑むと、手を振ってドアへと向かって行った。
大きなバッグを持って慌ただしく出ていく運動部の人達を眺めながら、鷹羽くんと話すためにバスケ部の練習終わる時間までどうやって時間を潰そうかな、なんて考えながら、自分も通学バッグを手に取った。
考え事をしながらぼんやりとスマホを触ったり音楽を聞いたりしていたら、時間が過ぎるのが早かった。
それも彼に真相を聞きたいような聞きたくないような、自分でも説明のつかない不思議な気分だったせいなのかもしれない。
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「でも」
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「それって、私がどうにか出来ることなのかな? 鷹羽くんが何も言わないなら、もう……」
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◇◆◇
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私の言葉ににこっと微笑むと、手を振ってドアへと向かって行った。
大きなバッグを持って慌ただしく出ていく運動部の人達を眺めながら、鷹羽くんと話すためにバスケ部の練習終わる時間までどうやって時間を潰そうかな、なんて考えながら、自分も通学バッグを手に取った。
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