物置小屋

１人向け・イベント系

贈り愛(元・執事シリーズです)

起きて。ご飯できたよ。
...お嬢様、お食事の時間ですよ。
やっぱり。こう言ったら起きるんじゃないかと思って試してみたんだけど、効果抜群だったみたいだ。
傷、痛む？包帯を巻き直した方がよさそうだね。
それから...この甘いにおいは何ですか？
分からない？...キッチンは片づけておきました。
気にしないで。久しぶりにぐっすり眠れたみたいでよかった。
それに、寝言で名前を呼ばれたときは吃驚した。
君はやっぱり可愛いね。
ご飯を食べたらおやつにしようか。
夜食の代わりというか、あの屋敷にいた頃はよくやってたでしょ？
...周りに恋人同士だと堂々と言えなかったから。
今日は特に急ぎの仕事もないし、君が家事をしてくれるおかげで休めているわけだし...ほら、取り敢えずご飯食べよう？

前から思っていたけど、もやしスープが好き？
そうか、お嬢様が食べていると変に見られるから表立っては食べられなかった料理だから...。
それから、ふたりで内緒で食べていた料理だから俺も好き。
あの時間があって今があるわけだけど、本当はもっと早く君のことをこうして連れ出したかった。
遅くなってごめん。奥さまがなくなられてから、なかなか苦戦することがあって...。
結局あの人たちに奴隷のように扱われる君の手当てをすることくらいしかできなかった。
今もこうして傷が残っているのは、俺の判断が遅かったからだ。
...こんな俺でも、君からの贈り物を受けとる権利はありますか？
実は数日前から気づいてた。
今日食器を片づけたときまで確信はなかったけど、チョコレートを用意してくれていたんじゃない？
...そうやって照れているところも好き。
少し早いけど、俺からのプレゼントを受け取ってもらえますか？
マフラー、新しいのが欲しいって言ってたから買ってきちゃいました。
喜んでもらえたならよかった。
ほつれているものも一応直して使えるようにはしておいたけど、こっちも使ってもらえると嬉しいな。
紅茶を淹れるけど...どうして元気がないの？
料理が俺より下手...そんなことはないと思う。
というより、上手い下手ではなくその気持ちが嬉しい。
毎年俺だけにこっそりチョコレートを作ってもらえるのが嬉しかったけど、これからはこうして堂々ともらえることがもっと嬉しい。
ありがとう。これだけで、今年1年幸せになれそう。
ううん、一緒に幸せになろう。
もし追っ手がやってきたとしても、絶対に手を離さない。
...まさか照れ屋さんな君から愛してるだなんて言ってもらえるとは思ってなかった。
お茶の準備も整ったし、今夜は夜更かししよう。
その前に、ちょっと耳かして。
...世界中で誰よりも、君を愛してるよ。
ｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ
想いとチョコレート、そして愛。
それをお互い届ける内容にしました。
最近、小説なり台本なりを綴るときのお供に紅茶やほうじ茶の温かいものを飲んでいます。
...何もないより捗ったりします。