295 / 385
秋久ルート
第57話
しおりを挟む
「秋久さん…?」
その声はなんだか辛そうで、じっと秋久さんを見つめる。
彼があまり眠れないことと関係があるのだろうか。
「悪い、しんみりしたな」
「私は大丈夫です。でも、秋久さんは…」
全然大丈夫そうじゃない。
その言葉を呑みこんだのは、お客さんがやってきたからだ。
「先輩、いませんか?」
「…悪い、ちょっと行ってくる」
その声は花菜のもので間違いないみたいだ。
ふたりが話している声が、扉の隙間から入ってきた。
「どうした?急ぎの報告か?」
「カルナが来てほしいって…。だけど変なんです。
いつもならカッキーや渋さんを通さずに連絡が来るのに、今回はふたりのところに連絡が来たらしいんです」
「…分かった。花菜は渋沢と一緒にホーソーンのアジトへ向かってくれ。そろそろ証拠を集め終わらないと大惨事になりかねない。
柿田には署で待機しろと伝えておいてほしい」
「先輩はどうするんですか?」
「いいから行け」
秋久さんの声を聞いていれば分かる。
ひとりで呼び出そうとしていた相手のところに行くつもりなんだ。
花菜が帰っていったのを確認して、彼のところへ駆け寄る。
「…私も行きます」
「何の話だ?」
「そのメモに書かれた場所に行くつもり、なんですよね?」
何も答えてもらえないということは、多分当たりだ。
「私も、」
「駄目だ」
「それじゃあ、秋久さんが傷つけられてしまいます」
今だけは聞き分けの悪い子でいたい。
秋久さんがひとりで何かを背負っているのは分かる。
分かっているからこそそれを少しでも分けてほしいと考えるのは、間違いだろうか。
「月見が傷つくのを見たくない」
「私は、秋久さんに傷ついてほしくないんです。足手まといにならないように頑張ります。
だから、どうか私も連れていってください」
どうしても離れたくなくて、何度も頭を下げる。
秋久さんは困った顔をしていたけれど、大きく息を吐いた。
「命がけになるかもしれないが、それでも来るのか?」
「はい」
「分かった。それなら月見には後方支援を頼む。誰か来たらこれを使って知らせてくれ」
「キャンディー、ですか?」
「これがカルテットの便利屋の秘密兵器なんだ。
一見ただの飴に見えるが、本当は──」
秋久さんに丁寧に説明してもらったおかげで、なんとか使い方を理解した。
「いけるか?」
「はい。頑張ります」
寝ている甘栗の頭を撫でて、秋久さんの後をついていく。
これからどんな人たちが現れるのかなんて分からないけれど、とにかく見つけたら彼にちゃんと知らせよう。
「ここに隠れててくれ」
「分かりました」
誰も傷つけずに、秋久さんを護ってみせる。
今の私にできるかどうかなんて分からないけれど、とにかくやってみるしかない。
その声はなんだか辛そうで、じっと秋久さんを見つめる。
彼があまり眠れないことと関係があるのだろうか。
「悪い、しんみりしたな」
「私は大丈夫です。でも、秋久さんは…」
全然大丈夫そうじゃない。
その言葉を呑みこんだのは、お客さんがやってきたからだ。
「先輩、いませんか?」
「…悪い、ちょっと行ってくる」
その声は花菜のもので間違いないみたいだ。
ふたりが話している声が、扉の隙間から入ってきた。
「どうした?急ぎの報告か?」
「カルナが来てほしいって…。だけど変なんです。
いつもならカッキーや渋さんを通さずに連絡が来るのに、今回はふたりのところに連絡が来たらしいんです」
「…分かった。花菜は渋沢と一緒にホーソーンのアジトへ向かってくれ。そろそろ証拠を集め終わらないと大惨事になりかねない。
柿田には署で待機しろと伝えておいてほしい」
「先輩はどうするんですか?」
「いいから行け」
秋久さんの声を聞いていれば分かる。
ひとりで呼び出そうとしていた相手のところに行くつもりなんだ。
花菜が帰っていったのを確認して、彼のところへ駆け寄る。
「…私も行きます」
「何の話だ?」
「そのメモに書かれた場所に行くつもり、なんですよね?」
何も答えてもらえないということは、多分当たりだ。
「私も、」
「駄目だ」
「それじゃあ、秋久さんが傷つけられてしまいます」
今だけは聞き分けの悪い子でいたい。
秋久さんがひとりで何かを背負っているのは分かる。
分かっているからこそそれを少しでも分けてほしいと考えるのは、間違いだろうか。
「月見が傷つくのを見たくない」
「私は、秋久さんに傷ついてほしくないんです。足手まといにならないように頑張ります。
だから、どうか私も連れていってください」
どうしても離れたくなくて、何度も頭を下げる。
秋久さんは困った顔をしていたけれど、大きく息を吐いた。
「命がけになるかもしれないが、それでも来るのか?」
「はい」
「分かった。それなら月見には後方支援を頼む。誰か来たらこれを使って知らせてくれ」
「キャンディー、ですか?」
「これがカルテットの便利屋の秘密兵器なんだ。
一見ただの飴に見えるが、本当は──」
秋久さんに丁寧に説明してもらったおかげで、なんとか使い方を理解した。
「いけるか?」
「はい。頑張ります」
寝ている甘栗の頭を撫でて、秋久さんの後をついていく。
これからどんな人たちが現れるのかなんて分からないけれど、とにかく見つけたら彼にちゃんと知らせよう。
「ここに隠れててくれ」
「分かりました」
誰も傷つけずに、秋久さんを護ってみせる。
今の私にできるかどうかなんて分からないけれど、とにかくやってみるしかない。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる