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冬真ルート
第42話
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ふたりきりになった部屋にはまた沈黙が流れる。
どんな話をしていいのか分からなくて、ただ冬真をじっと見つめた。
「本当に怒ってないから、いつもみたいに話しかけてきて」
「え…?」
「なんだか遠慮してるように見えるから、もしかすると訊きたいことがあるんじゃないかって…違った?」
「えっと、間違ってはいないのですが、その…」
結局言葉につまって上手く話せない。
その姿を見て何かを察知したのか、冬真は静かに言葉を発した。
「…あいつとの関係を訊きたいって考えてた?」
「ごめんなさい」
「別に謝らなくていいよ。気になるのは普通だし」
ひと呼吸置いてゆっくり話しはじめる。
「…実は僕、この国の生まれじゃないんだ」
「海外に住んでいらっしゃったんですか?」
「何故か日本国籍があったらしいけどね。だからこの場所まで来るのに秋久さんの協力を得られたわけだし…。
ただ、僕たちはどこにでもいる兄弟だったんだ。住んでいたのはスラムだったから、今くらいの暮らしはできてなかったけど…僕は嫌いじゃなかった」
彼の声は寂しそうで、やっぱり表情はとても明るいとは言えない状態だ。
「ふたりで暮らしていこうなんて話してたこともあったくらい、普通の兄弟だったんだ。
だけど、あいつはひとりでいなくなった」
「いなくなった…?でも、さっきは、」
「何も言わずにいなくなってて、次に会ったときにはもう手品師になってた。
どうしてそんなことをしているのか理由を尋ねようとしたこともあったけど、はぐらかされたんだ」
「これから話すことはできませんか?」
「無理だよ。どうして僕を捨てたのか訊いちゃいそうだから。
それに、あいつにとって僕じゃ救いになれなかったんでしょ?だからああいう反応をする。…今更あんな反応をされても戸惑うだけだよ」
彼の心には私が知らないうちからずっと罅が入っていたのかもしれない。
それでも、私は多分冬香さんの気持ちが少しだけ分かっている。
…聞きたくないと言われてしまったとしても、それだけは伝えておきたい。
「…近くにいい子がいてよかった」
「え?」
「冬香さん、そう話していたんです。私を助けてくれたのも、私がどんな人物なのか見極めたかったみたいでした。
もし私が何か目的があって冬真に近づいた人だったら、冬真の近くにはいられなかったと思います。大切じゃない相手を心配するでしょうか…?」
「あいつがそんなこと言ってたの?」
ゆっくり首を縦にふると、冬真は表情ひとつ変えずに切り捨てた。
「今更兄貴面されても、僕を捨てた事実は変わらない」
どんな話をしていいのか分からなくて、ただ冬真をじっと見つめた。
「本当に怒ってないから、いつもみたいに話しかけてきて」
「え…?」
「なんだか遠慮してるように見えるから、もしかすると訊きたいことがあるんじゃないかって…違った?」
「えっと、間違ってはいないのですが、その…」
結局言葉につまって上手く話せない。
その姿を見て何かを察知したのか、冬真は静かに言葉を発した。
「…あいつとの関係を訊きたいって考えてた?」
「ごめんなさい」
「別に謝らなくていいよ。気になるのは普通だし」
ひと呼吸置いてゆっくり話しはじめる。
「…実は僕、この国の生まれじゃないんだ」
「海外に住んでいらっしゃったんですか?」
「何故か日本国籍があったらしいけどね。だからこの場所まで来るのに秋久さんの協力を得られたわけだし…。
ただ、僕たちはどこにでもいる兄弟だったんだ。住んでいたのはスラムだったから、今くらいの暮らしはできてなかったけど…僕は嫌いじゃなかった」
彼の声は寂しそうで、やっぱり表情はとても明るいとは言えない状態だ。
「ふたりで暮らしていこうなんて話してたこともあったくらい、普通の兄弟だったんだ。
だけど、あいつはひとりでいなくなった」
「いなくなった…?でも、さっきは、」
「何も言わずにいなくなってて、次に会ったときにはもう手品師になってた。
どうしてそんなことをしているのか理由を尋ねようとしたこともあったけど、はぐらかされたんだ」
「これから話すことはできませんか?」
「無理だよ。どうして僕を捨てたのか訊いちゃいそうだから。
それに、あいつにとって僕じゃ救いになれなかったんでしょ?だからああいう反応をする。…今更あんな反応をされても戸惑うだけだよ」
彼の心には私が知らないうちからずっと罅が入っていたのかもしれない。
それでも、私は多分冬香さんの気持ちが少しだけ分かっている。
…聞きたくないと言われてしまったとしても、それだけは伝えておきたい。
「…近くにいい子がいてよかった」
「え?」
「冬香さん、そう話していたんです。私を助けてくれたのも、私がどんな人物なのか見極めたかったみたいでした。
もし私が何か目的があって冬真に近づいた人だったら、冬真の近くにはいられなかったと思います。大切じゃない相手を心配するでしょうか…?」
「あいつがそんなこと言ってたの?」
ゆっくり首を縦にふると、冬真は表情ひとつ変えずに切り捨てた。
「今更兄貴面されても、僕を捨てた事実は変わらない」
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