裏世界の蕀姫

黒蝶

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秋久ルート

第13話

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また車に乗って、今度は見覚えがある道を走り出す。
「なんか、どっと疲れたな…」
「ごめんなさい」
「お嬢ちゃんのせいじゃない。俺はただ、お嬢ちゃんの洋服を用意したって夏彦から連絡が来て、ついでに飯でもって思ってただけなんだ。
なのに、結局あんなことになっちまって…寛げなかっただろ?悪かった」
「いえ。初めて見るものばかりで楽しめました」
秋久さんを困らせたくないし、今言ったことも嘘じゃない。
「お嬢ちゃんは優しいんだな」
「そんなこと、ないです。私なんかより、秋久さんの方が優しいです」
「そいつはありがたい」
しばらくそんな他愛のない話をしていると、いつもの家に戻っていた。
「先に休んでてくれ。車を停めたらすぐ行く。荷物はそのまま置いておいてくれ」
「分かりました。ありがとうございます」
玄関に入ると、何かが勢いよく走ってきた。
「あ、甘栗…」
じゃれているのか、私の足に早くと言わんばかりにかきついてくる。
本当はだっこしたいけれど、少し肩が痛くてそのまま抱きあげることはできなかった。
「もう少しだけ待ってくださいね」
先に手を洗ってから床に座ると、するすると膝の上に乗った。
少しくすぐったかったけれど、そのまま体を丸めて寝はじめた姿を見てそのままの体勢を維持する。
「悪い。甘栗は結構寂しがり屋でな…最近は仕事で構えてなかったから、余計に甘えたかったのかもしれない」
「このまま支えておいた方がいいでしょうか?」
手を添えるべきか迷いながら質問すると、できればと笑いながら答えてくれた。
一緒にいるだけでこんなに癒されるのはどうしてだろう。
「疲れてないか?」
「はい。とても楽しかったので…」
「それならよかった」
秋久さんはふっと笑って、私の頭を優しく撫でてくれた。
その手の温かさを感じていると、だんだん心がぽかぽかしていく。
「お詫びと言っちゃなんだが、何か甘いものでも作らせてくれ」
「そんな素敵なものをいただくわけには…。私が作ってもいいですか?」
今日ももらってばかりで、このままでは申し訳ない。
せめて甘いものくらいは私の手で完成させたかった。
食べたことはないけれど、作ったことは何度もあるのでレシピは頭に入っている。
「お嬢ちゃんはそいつを甘やかしてやってほしい。甘栗にとって、あんたもきっと大事な家族だろうから」
「家族…」
それが落ち着く場所という意味なら、私にとって甘栗といるのは安心する。
秋久さんは、私のことをどう思っているのだろうか。
私にとっては恩人だけれど、彼にとっては迷惑なだけだろう。
さらさらと砂時計の砂が落ちる音がして、不安から逃げるように甘栗の背中を撫でた。
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