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冬真ルート
第3話
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目を開けると、昨日と同じ真っ白な天井が見えた。
いつの間に眠っていたんだろうなんて考えながら、勢いよく体を起こす。
「ごめん、起こした?」
「いえ、大丈夫です。あの、ごめんなさい」
「なんで謝るの?」
「こんなに寝てしまって…」
「まだ2時間くらいしか経ってない。いつもこのくらいだった?」
「え、あ、多分…?」
「…そう。ご飯持ってくる」
どうして少し複雑そうな顔をしたのか気になったけれど、直接訊く勇気はない。
なんだかよく分からないまま待っていると、両手に巻きつけていた包帯が換えられていることに気づく。
「食べたら好きにしてていいから」
「あ、あの…」
「なに?」
「色々と、ありがとうございます」
「…別に。鍵のかかった部屋以外なら自由にしてて。ちょっと出掛けてくる」
腕についていたはずの管は抜かれていて、体が少しだけ動かしやすくなった気がする。
誰かが作ってくれたものを食べるという経験は少ないから、こういう感情をどう表現すればいいのか分からない。
取り敢えず残さず食べようと少しずつ口に入れた。
「ごちそうさまでした」
こんなに美味しい白粥を食べたのは初めてだったかもしれない。
どうやって作ったのか訊いたら、教えてもらえるだろうか。
せめて片づけくらいはと食器を運ぶ。
すると、そこに翼を大きく動かして飛んでくる白い鳥が見えた。
「…おはようございます、スノウ」
スノウはホー、とひと鳴きしてくちばしに何かをくわえて運んでくる。
見てもいいのか首を傾げていると、封筒に読むことと書かれていた。
「【注意事項:誰かが来ても勝手に開けないこと】…」
他にも少しだけ注意事項が書かれていて、最後には【無理をしないこと】とあった。
怒っているのかと思っていたけれど、そういうわけではなかったらしい。
「ありがとうございます、スノウ」
何かを見つけたのか、すぐにどこかへと飛んでいってしまった。
冷蔵庫の食品については特に何も書かれていなかったので、取り敢えずお昼ご飯を作ってみることにする。
昔から、料理も掃除も洗濯もちゃんとやってきたつもりだ。
お世話になりっぱなしじゃなく、せめて何かお礼をしないと気がすまない。
そのとき、テーブルの上にある1冊のノートのようなものが目に入る。
勝手に中を見ないようにしながら、風で頁が捲れたり料理で汚してしまわないように然り気なく場所を移動させた。
「…これで大丈夫でしょうか」
「いいにおいがすると思ったら、お客さん?」
ぱっと顔をあげると、そこには見たことがない女性が立っていた。
「あの、えっと、」
「そんなに慌てなくていい。あなたのことは冬真から聞いてる。用があってきたけど、まだ帰ってない?」
「はい。…すみません」
「謝らなくていい。私が早く来ただけだから」
その女性をどうもてなすのがいいか分からなくて、そのまま固まってしまう。
呆然と立ち尽くしていると、扉が勢いよく開かれた。
「…どういう状況?」
いつの間に眠っていたんだろうなんて考えながら、勢いよく体を起こす。
「ごめん、起こした?」
「いえ、大丈夫です。あの、ごめんなさい」
「なんで謝るの?」
「こんなに寝てしまって…」
「まだ2時間くらいしか経ってない。いつもこのくらいだった?」
「え、あ、多分…?」
「…そう。ご飯持ってくる」
どうして少し複雑そうな顔をしたのか気になったけれど、直接訊く勇気はない。
なんだかよく分からないまま待っていると、両手に巻きつけていた包帯が換えられていることに気づく。
「食べたら好きにしてていいから」
「あ、あの…」
「なに?」
「色々と、ありがとうございます」
「…別に。鍵のかかった部屋以外なら自由にしてて。ちょっと出掛けてくる」
腕についていたはずの管は抜かれていて、体が少しだけ動かしやすくなった気がする。
誰かが作ってくれたものを食べるという経験は少ないから、こういう感情をどう表現すればいいのか分からない。
取り敢えず残さず食べようと少しずつ口に入れた。
「ごちそうさまでした」
こんなに美味しい白粥を食べたのは初めてだったかもしれない。
どうやって作ったのか訊いたら、教えてもらえるだろうか。
せめて片づけくらいはと食器を運ぶ。
すると、そこに翼を大きく動かして飛んでくる白い鳥が見えた。
「…おはようございます、スノウ」
スノウはホー、とひと鳴きしてくちばしに何かをくわえて運んでくる。
見てもいいのか首を傾げていると、封筒に読むことと書かれていた。
「【注意事項:誰かが来ても勝手に開けないこと】…」
他にも少しだけ注意事項が書かれていて、最後には【無理をしないこと】とあった。
怒っているのかと思っていたけれど、そういうわけではなかったらしい。
「ありがとうございます、スノウ」
何かを見つけたのか、すぐにどこかへと飛んでいってしまった。
冷蔵庫の食品については特に何も書かれていなかったので、取り敢えずお昼ご飯を作ってみることにする。
昔から、料理も掃除も洗濯もちゃんとやってきたつもりだ。
お世話になりっぱなしじゃなく、せめて何かお礼をしないと気がすまない。
そのとき、テーブルの上にある1冊のノートのようなものが目に入る。
勝手に中を見ないようにしながら、風で頁が捲れたり料理で汚してしまわないように然り気なく場所を移動させた。
「…これで大丈夫でしょうか」
「いいにおいがすると思ったら、お客さん?」
ぱっと顔をあげると、そこには見たことがない女性が立っていた。
「あの、えっと、」
「そんなに慌てなくていい。あなたのことは冬真から聞いてる。用があってきたけど、まだ帰ってない?」
「はい。…すみません」
「謝らなくていい。私が早く来ただけだから」
その女性をどうもてなすのがいいか分からなくて、そのまま固まってしまう。
呆然と立ち尽くしていると、扉が勢いよく開かれた。
「…どういう状況?」
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