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春人ルート
第29話
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「お疲れ様です」
「おう、お疲れ」
そのまま暮らしている場所まで戻ると、そこには何故か秋久さんがいた。
「あ、あの…」
「無事だったか。お嬢ちゃん、怪我は…ふたりともこっちで待ってろ」
慣れた手つきで黙々と手当て道具を準備してくれるのはありがたいけれど、どうして秋久さんがここにいるのだろう。
首を傾げていると、その答えを春人がくれた。
「秋久は優秀な捜査官なんですよ」
「捜査官…?」
「まあ、ちょっと訳ありな部署で働いてる。警察関係者、ということにしておこうか」
さっき春人が話していた知り合いというのは、秋久さんのことを指していたのだ。
それならどうして私を匿うことを手伝ってくれているのだろう。
お巡りさんなら家に帰るように言われてもおかしくないのに、私は今もこうして春人の側で生きている。
「言っておくが、俺はお嬢ちゃんに家に帰れなんて言うつもりはない。
…誰だって、暴力を振るうような奴等と暮らしたくないだろ?それに、毎日家事もこなしながら最近は春人の修理の仕事も手伝ってるって聞いてるしな」
「え…?」
秋久さんが笑顔で説明してくれたことは私が知らなかったことで、呆然と立ち尽くしてしまう。
「秋久、それは言わない約束だったでしょう?」
「悪い。春人があんなに楽しそうに話しているのを視るのは珍しかったから…つい、な」
春人は俯いているけれど頬が真っ赤になっているのが目にはいる。
そんな姿を見た秋久さんは笑いながらわしわしと頭を撫でた。
「悪かった。少しからかうつもりが、楽しくなってな」
「…秋久の悪いところですよ」
そう話しながらぱっと顔をあげた春人は、小さな子どもみたいに頬を膨らませていた。
こんなふうに少しむくれた表情の彼は初めて見たような気がする。
「なあ、お嬢ちゃん。疲れてるとこ悪いんだが、ひとつだけ教えてくれないか?」
「わ、私に答えられることなら…」
それから秋久さんは真剣な声ではっきり告げた。
「この家に来たのはこの男で間違いないか?」
見せられた写真には間違いなく先程の男性が写っていて、叫んでいた姿がフラッシュバックする。
なんとか頷いてみせると、秋久さんはそうかと一言呟いた。
「協力感謝する。手当てが終わるまで好きに使ってくれて構わないから、楽にしててくれ」
「ありがとう、ございます…」
ただ、部屋の中は予想以上に荒れていて生活ができる状態ではない。
「あの、春人…ごめんなさい」
「君が悪い訳じゃない。目をつけられてるのは俺だから」
どういう意味かと訊く前に本格的な処置が施される。
消毒液がいつもより滲みるような気がした。
「おう、お疲れ」
そのまま暮らしている場所まで戻ると、そこには何故か秋久さんがいた。
「あ、あの…」
「無事だったか。お嬢ちゃん、怪我は…ふたりともこっちで待ってろ」
慣れた手つきで黙々と手当て道具を準備してくれるのはありがたいけれど、どうして秋久さんがここにいるのだろう。
首を傾げていると、その答えを春人がくれた。
「秋久は優秀な捜査官なんですよ」
「捜査官…?」
「まあ、ちょっと訳ありな部署で働いてる。警察関係者、ということにしておこうか」
さっき春人が話していた知り合いというのは、秋久さんのことを指していたのだ。
それならどうして私を匿うことを手伝ってくれているのだろう。
お巡りさんなら家に帰るように言われてもおかしくないのに、私は今もこうして春人の側で生きている。
「言っておくが、俺はお嬢ちゃんに家に帰れなんて言うつもりはない。
…誰だって、暴力を振るうような奴等と暮らしたくないだろ?それに、毎日家事もこなしながら最近は春人の修理の仕事も手伝ってるって聞いてるしな」
「え…?」
秋久さんが笑顔で説明してくれたことは私が知らなかったことで、呆然と立ち尽くしてしまう。
「秋久、それは言わない約束だったでしょう?」
「悪い。春人があんなに楽しそうに話しているのを視るのは珍しかったから…つい、な」
春人は俯いているけれど頬が真っ赤になっているのが目にはいる。
そんな姿を見た秋久さんは笑いながらわしわしと頭を撫でた。
「悪かった。少しからかうつもりが、楽しくなってな」
「…秋久の悪いところですよ」
そう話しながらぱっと顔をあげた春人は、小さな子どもみたいに頬を膨らませていた。
こんなふうに少しむくれた表情の彼は初めて見たような気がする。
「なあ、お嬢ちゃん。疲れてるとこ悪いんだが、ひとつだけ教えてくれないか?」
「わ、私に答えられることなら…」
それから秋久さんは真剣な声ではっきり告げた。
「この家に来たのはこの男で間違いないか?」
見せられた写真には間違いなく先程の男性が写っていて、叫んでいた姿がフラッシュバックする。
なんとか頷いてみせると、秋久さんはそうかと一言呟いた。
「協力感謝する。手当てが終わるまで好きに使ってくれて構わないから、楽にしててくれ」
「ありがとう、ございます…」
ただ、部屋の中は予想以上に荒れていて生活ができる状態ではない。
「あの、春人…ごめんなさい」
「君が悪い訳じゃない。目をつけられてるのは俺だから」
どういう意味かと訊く前に本格的な処置が施される。
消毒液がいつもより滲みるような気がした。
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