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夏彦ルート
第28話
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「えっと…」
「実は潜入捜査に向かう為に新しい服が必要で…。でも用意できてないんだ…」
苦笑しながら話す花菜の言葉に、聞きなれない言葉が混ざっていた。
「潜入捜査…?」
「花菜が慌てて話すから、月見ちゃんが混乱しちゃってる。
ごめんね。簡単にしか説明できないんだけど…」
夏彦の話によると、花菜は特殊な任務もこなしているらしい。
そのお仕事を成功させるには色々な服が必要になるので、いつも彼が用意しているのだとか…。
「私にも、作れるんでしょうか…?」
「私がやってほしいの!失敗してもいいから、お願い!」
そんな重要なことが、私なんかにできるのだろうか。
夏彦の方を見ると、背中を押してくれた。
「月見ちゃんが嫌じゃないならやってみてほしいな」
「分かり、ました」
「ありがとう!」
ぎゅっとと両手を握られて、手のひらがじんじん痛む。
「ちょ、そこ怪我してるんだからそんなに強く握っちゃ駄目だよ」
夏彦が慌てて止めてくれたけれど、グローブから血が少し滲んでしまっていた。
「嘘!?知らなかったとはいえ、本当にごめん…」
「だ、大丈夫です」
「すごく痛そうだし、月見の怪我を悪化させたなんて先輩にばれたら絶対に怒られる…」
「【先輩】?」
「ああ、えっと…」
「花菜の憧れの人で俺の知り合い。仕事内容を把握してるから、今の月見ちゃんの状態を知ったら本気で怒るかも」
夏彦が一気に説明した理由が気になったけれど、私はただ感心したように聞き入っていた。
彼のお仕事仲間の人で、警察関係の人がいるのかもしれない。
「あの、どういうデザインの服を作れば…」
「月見ちゃんが作りたいやつ!お姫様みたいな服がいいんだ」
「お姫様…」
困ったことがあったときにすぐ動けるものを想像していたので、この答えは予想外だった。
お姫様というのは一体どんな服を着ているのだろうか。
「サイズはなっちゃんが知ってるし、私もう行くね!出勤時間前にきたからそろそろ本気で大変なことに…」
「えっと…い、いってらっしゃい?」
花菜は笑顔でいってきますと話して、そのまま外へと行ってしまった。
ぼんやりして私を夏彦がすかさず手当てしなおしてくれる。
「本当にごめん。あの子にも悪気はないんだ」
「いえ、私はいいのですが…」
部屋の隅に目をやると、ソルトが困ったような表情をして固まっている。
「あの勢いでこられるとやっぱり怖いよね…。ソルトもごめん」
不機嫌そうににゃんと鳴いた後、思いきり夏彦の背中に飛びつく。
「お?珍しく俺に甘えてる?」
戯れるふたりはやっぱり微笑ましくて、見ているだけで癒される。
手のひらの傷もすぐに痛みが治まった。
「実は潜入捜査に向かう為に新しい服が必要で…。でも用意できてないんだ…」
苦笑しながら話す花菜の言葉に、聞きなれない言葉が混ざっていた。
「潜入捜査…?」
「花菜が慌てて話すから、月見ちゃんが混乱しちゃってる。
ごめんね。簡単にしか説明できないんだけど…」
夏彦の話によると、花菜は特殊な任務もこなしているらしい。
そのお仕事を成功させるには色々な服が必要になるので、いつも彼が用意しているのだとか…。
「私にも、作れるんでしょうか…?」
「私がやってほしいの!失敗してもいいから、お願い!」
そんな重要なことが、私なんかにできるのだろうか。
夏彦の方を見ると、背中を押してくれた。
「月見ちゃんが嫌じゃないならやってみてほしいな」
「分かり、ました」
「ありがとう!」
ぎゅっとと両手を握られて、手のひらがじんじん痛む。
「ちょ、そこ怪我してるんだからそんなに強く握っちゃ駄目だよ」
夏彦が慌てて止めてくれたけれど、グローブから血が少し滲んでしまっていた。
「嘘!?知らなかったとはいえ、本当にごめん…」
「だ、大丈夫です」
「すごく痛そうだし、月見の怪我を悪化させたなんて先輩にばれたら絶対に怒られる…」
「【先輩】?」
「ああ、えっと…」
「花菜の憧れの人で俺の知り合い。仕事内容を把握してるから、今の月見ちゃんの状態を知ったら本気で怒るかも」
夏彦が一気に説明した理由が気になったけれど、私はただ感心したように聞き入っていた。
彼のお仕事仲間の人で、警察関係の人がいるのかもしれない。
「あの、どういうデザインの服を作れば…」
「月見ちゃんが作りたいやつ!お姫様みたいな服がいいんだ」
「お姫様…」
困ったことがあったときにすぐ動けるものを想像していたので、この答えは予想外だった。
お姫様というのは一体どんな服を着ているのだろうか。
「サイズはなっちゃんが知ってるし、私もう行くね!出勤時間前にきたからそろそろ本気で大変なことに…」
「えっと…い、いってらっしゃい?」
花菜は笑顔でいってきますと話して、そのまま外へと行ってしまった。
ぼんやりして私を夏彦がすかさず手当てしなおしてくれる。
「本当にごめん。あの子にも悪気はないんだ」
「いえ、私はいいのですが…」
部屋の隅に目をやると、ソルトが困ったような表情をして固まっている。
「あの勢いでこられるとやっぱり怖いよね…。ソルトもごめん」
不機嫌そうににゃんと鳴いた後、思いきり夏彦の背中に飛びつく。
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戯れるふたりはやっぱり微笑ましくて、見ているだけで癒される。
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