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春人ルート
第8話
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その後、どうやって朝食をすませたかよく覚えていない。
「少し出掛けてくる」
「……」
「掃除ばかりしなくても大丈夫だから、君が過ごしたいように過ごしてくれればそれでいい」
「……」
「月見」
「あ、えっと、」
どうやら、ぼんやりしていて話しかけられていることに全く気づいていなかったらしい。
何度も話しかけてくれていたのかと思うと、申し訳なさでいっぱいになる。
「ごめんなさ、」
「別にいい。具合が悪い訳じゃないなら、それでいいんだ。…いってきます」
「あ…」
黒柿色の髪が揺れて、がちゃりと虚しい音が鳴り響く。
ちゃんと話を聞いていないといけないのに、余計なことを考えていたせいで傷つけてしまったのではないだろうか。
「…ここにいて」
ラビとチェリーの頭を交互に撫で、そのまま朝食の片づけに取り掛かる。
…今日はもっと掃除を頑張ろうと心に決めた。
「ただいま」
「お、おかえりなさい」
「……何やってるの」
首を傾げていると、ぐっと腕を掴まれる。
やっぱり、朝のことを怒っているのだろうか。
「掃除ばかりしなくてもいいって、朝言わなかった?」
「…ごめんなさい」
「こっちに来て」
「え?」
「雪乃と話していたことが気になってるんでしょ?…今日のは見られて困るものじゃないから、静かにしててくれるなら俺の仕事を見せてあげる」
予想外の言葉に心が羽のように軽くなる。
真っ暗になりかけていた目の前は一気に明るくなり、ただ春人の後ろをついていった。
「今日の依頼は、これを修理すること」
「これって、何に使うものなんですか?」
「…直してみれば分かるかもしれない」
近くに座り、そのまま黙って作業を見学させてもらう。
春人の表情はかなり真剣味を帯びていて、見ているだけで圧倒されそうになる。
色々な歯車を組み合わせたり、逆にばらばらにして組み立て直したり…それがどれだけすごいことなのか、機械に疎い私でも理解できた。
「これで完成。やっぱりノートパソコンだった」
「ノート…?」
「パソコンっていうのは、結構色々なことができるこの機械のこと。
ここを押すと電源が入るけど、見られたくないものがあるといけないから勝手に中身を覗くのはまずい」
「すごい…。そっちの懐中時計は見たことがあるけど、パソコン?は初めて見ました」
春人はただそうなんだと一言話し、パソコンだけを入れ物に入れていく。
「この時計は、俺の大切なものなんだ」
「大切…」
私はまだ、春人という人について知らないことが多い。
ラビのときもそうだったけれど、彼は大切なものを触るときに何故か寂しそうな…哀しみがこもった目をしているような気がする。
そのうち、理由を知ることができるだろうか。
……教えてもらえるといいな。
「少し出掛けてくる」
「……」
「掃除ばかりしなくても大丈夫だから、君が過ごしたいように過ごしてくれればそれでいい」
「……」
「月見」
「あ、えっと、」
どうやら、ぼんやりしていて話しかけられていることに全く気づいていなかったらしい。
何度も話しかけてくれていたのかと思うと、申し訳なさでいっぱいになる。
「ごめんなさ、」
「別にいい。具合が悪い訳じゃないなら、それでいいんだ。…いってきます」
「あ…」
黒柿色の髪が揺れて、がちゃりと虚しい音が鳴り響く。
ちゃんと話を聞いていないといけないのに、余計なことを考えていたせいで傷つけてしまったのではないだろうか。
「…ここにいて」
ラビとチェリーの頭を交互に撫で、そのまま朝食の片づけに取り掛かる。
…今日はもっと掃除を頑張ろうと心に決めた。
「ただいま」
「お、おかえりなさい」
「……何やってるの」
首を傾げていると、ぐっと腕を掴まれる。
やっぱり、朝のことを怒っているのだろうか。
「掃除ばかりしなくてもいいって、朝言わなかった?」
「…ごめんなさい」
「こっちに来て」
「え?」
「雪乃と話していたことが気になってるんでしょ?…今日のは見られて困るものじゃないから、静かにしててくれるなら俺の仕事を見せてあげる」
予想外の言葉に心が羽のように軽くなる。
真っ暗になりかけていた目の前は一気に明るくなり、ただ春人の後ろをついていった。
「今日の依頼は、これを修理すること」
「これって、何に使うものなんですか?」
「…直してみれば分かるかもしれない」
近くに座り、そのまま黙って作業を見学させてもらう。
春人の表情はかなり真剣味を帯びていて、見ているだけで圧倒されそうになる。
色々な歯車を組み合わせたり、逆にばらばらにして組み立て直したり…それがどれだけすごいことなのか、機械に疎い私でも理解できた。
「これで完成。やっぱりノートパソコンだった」
「ノート…?」
「パソコンっていうのは、結構色々なことができるこの機械のこと。
ここを押すと電源が入るけど、見られたくないものがあるといけないから勝手に中身を覗くのはまずい」
「すごい…。そっちの懐中時計は見たことがあるけど、パソコン?は初めて見ました」
春人はただそうなんだと一言話し、パソコンだけを入れ物に入れていく。
「この時計は、俺の大切なものなんだ」
「大切…」
私はまだ、春人という人について知らないことが多い。
ラビのときもそうだったけれど、彼は大切なものを触るときに何故か寂しそうな…哀しみがこもった目をしているような気がする。
そのうち、理由を知ることができるだろうか。
……教えてもらえるといいな。
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