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春人ルート
第9話
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「今日はこれから、雪乃のカフェに行こうと思う。修理したものを渡しに行くだけだから、つまらないかもしれないけど…もしよければ一緒に行こう」
「ご迷惑に、なりませんか?」
誘ってもらえたのはすごく嬉しい。
いつもラビたちと留守番ばかりしているのは、少しだけ寂しかった。
ただ、私がいるせいで春人が不利益を被るなら話は別になってくる。
「迷惑なんかじゃない。…君だって、たまには外を歩きたいでしょ?」
「それなら、ありがたくお言葉に甘えさせていただきます」
「…まだ堅いね」
「ごめんな、」
「好きな話し方でいいって言ったのは俺なんだから、別に謝る必要はない。君に悪気がないのはちゃんと分かってるつもりだしね。
ただ…なんとなく距離を感じてしまうだけ」
どうしても敬語が染みついてしまっている私には、敬語ではない話し方をするのがものすごく難しい。
「どんな服でもいいから、できるだけ急いで出掛けよう」
「は…うん」
急いで支度を終えると、春人がすっと手を前に出す。
「迷子になるといけないから」
「う、うん」
「このあたりは初めて?」
「来たことがありませんでした」
あの家にいる頃は、自由に出掛けることさえ許されなかった。
買い出しでさえ許可が必要で、もし時間を過ぎれば…できれば思い出したくない。
そのせいか、今歩きながら見える何もかもが輝いている。
「ここから見える星は綺麗なんだ。それから、もうすぐそっちの丘が花園になる。ただ…」
「ただ?」
「いや、なんでもない。着いた、ここだよ」
春人は段ボール片手に、そのまま扉に向かって呼び掛けた。
「こんにちは。頼まれたものを直してきました」
中から出てきたのはこの前会った雪乃で、まだ少しだけ眠そうに瞼をこすっている。
「もうできたの?流石【便利屋】なだけはある」
「【便利屋】…?」
「その話は置いておいて、一先ず休ませていただいてもよろしいでしょうか?」
「どうぞ。今ならお客様は誰も来ていないし、サービスくらいできると思う」
また私が知らない言葉が出てきた。
どうすればいいのか分からずに混乱する頭を抱えながら、春人に腕をひかれるままついていく。
お店は可愛い小物で溢れていて、雪乃は早速段ボールを開けていた。
「このパソコン、とても大切なものだからとても助かった」
「…満足いただけたようで何よりです」
仕事の話に踏みこんではいけないことは分かっている。
けれど、どうしても知りたいと思ってしまうのは何故だろう。
「これ、好きなだけ食べてね」
「ありがとう、ございます…いただきます」
「いただきます」
マナーに気をつけながら、少しずつフォークで切れ目をいれていく。
目の前に出てきたホットケーキのようなものは甘いはずなのに、どうしてか独りで食べていたものよりほろ苦く感じた。
「ご迷惑に、なりませんか?」
誘ってもらえたのはすごく嬉しい。
いつもラビたちと留守番ばかりしているのは、少しだけ寂しかった。
ただ、私がいるせいで春人が不利益を被るなら話は別になってくる。
「迷惑なんかじゃない。…君だって、たまには外を歩きたいでしょ?」
「それなら、ありがたくお言葉に甘えさせていただきます」
「…まだ堅いね」
「ごめんな、」
「好きな話し方でいいって言ったのは俺なんだから、別に謝る必要はない。君に悪気がないのはちゃんと分かってるつもりだしね。
ただ…なんとなく距離を感じてしまうだけ」
どうしても敬語が染みついてしまっている私には、敬語ではない話し方をするのがものすごく難しい。
「どんな服でもいいから、できるだけ急いで出掛けよう」
「は…うん」
急いで支度を終えると、春人がすっと手を前に出す。
「迷子になるといけないから」
「う、うん」
「このあたりは初めて?」
「来たことがありませんでした」
あの家にいる頃は、自由に出掛けることさえ許されなかった。
買い出しでさえ許可が必要で、もし時間を過ぎれば…できれば思い出したくない。
そのせいか、今歩きながら見える何もかもが輝いている。
「ここから見える星は綺麗なんだ。それから、もうすぐそっちの丘が花園になる。ただ…」
「ただ?」
「いや、なんでもない。着いた、ここだよ」
春人は段ボール片手に、そのまま扉に向かって呼び掛けた。
「こんにちは。頼まれたものを直してきました」
中から出てきたのはこの前会った雪乃で、まだ少しだけ眠そうに瞼をこすっている。
「もうできたの?流石【便利屋】なだけはある」
「【便利屋】…?」
「その話は置いておいて、一先ず休ませていただいてもよろしいでしょうか?」
「どうぞ。今ならお客様は誰も来ていないし、サービスくらいできると思う」
また私が知らない言葉が出てきた。
どうすればいいのか分からずに混乱する頭を抱えながら、春人に腕をひかれるままついていく。
お店は可愛い小物で溢れていて、雪乃は早速段ボールを開けていた。
「このパソコン、とても大切なものだからとても助かった」
「…満足いただけたようで何よりです」
仕事の話に踏みこんではいけないことは分かっている。
けれど、どうしても知りたいと思ってしまうのは何故だろう。
「これ、好きなだけ食べてね」
「ありがとう、ございます…いただきます」
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マナーに気をつけながら、少しずつフォークで切れ目をいれていく。
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