王子と内緒の人魚姫

黒蝶

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○○な2人

心友な2人と紅葉狩りに出掛けたら... 黒羽目線

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「わあ...」
そこは、真っ赤な景色だった。
見たこともないような葉が沢山落ちていた。
○「黒羽は紅葉を見るのははじめてですか?」
「うん。すごく綺麗な赤なんだね」
○「そうですね」
私と雪は辺りを見回す。
「渚、いなくなっちゃったね」
○「そうですね...」
「渚?」
○「渚!」
二人で探してみるものの、まったく見当たらない。
○「黒羽、足は大丈夫ですか?」
「うん、全然大丈夫だよ」
○「それなら、道を引き返しましょう。もし痛くなったらすぐに言ってくださいね?」
「ありがとう」
ふわり。
しばらくきた道を引き返していると...
「渚!」
しゃがみこんでいる渚を見つけた。
○「具合でも悪いのか?」
▼「...いや、この辺りでは珍しい雑草を見つけたから観察してた」
渚の意外な答えに、私は少しだけ笑ってしまう。
「これはなんていうの?」
▼「エノコログサ。隣がチカラシバ、その隣がカヤツリグサ...」
「渚、詳しいんだね」
▼「まあな」
その様子を見た雪はため息をつく。
○「折角紅葉狩りにきたのに、そんな普段通りでは意味がないだろう。...もっと紅葉を楽しめよ」
▼「まあ、それもそうか」
二人の会話を聞きながら、心がほっこりとした。
▼「ん」
「?」
▼「足場が悪いから、手」
「ありがとう...」
○「反対側は私と繋ぎましょうか」
「うん!」
私は二人と手を繋ぎ、その手のぬくもりに触れながら、再び歩きだした。
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