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第45話
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王都には様々な人物が住んでいるが、その中でも特にお金持ちとして有名な家があった。先祖代々この地に住まい、自らは財閥としてその影響力を有する、カタリーナ家である。そんなカタリーナ家のもとに、ファーラ伯爵の部下を名乗る二人組が訪れていた。
二人は伯爵家の名前を盾に、強引に中へと入りこんだ。彼らはこの家の主人であるアーロンとの面会を求めたが、今は不在であるという事を知らされると、しぶしぶ家の召し使い長であるルイスを自分たちの前に出すように告げ、その勢いのままに脅迫を始めた…。
「さぁさぁ、この家を壊されたくなかったら早く金を出してくれないかねぇ」
「俺たちだってこんな真似はしたくないんだよ。だがお前たちが素直に応じないというのなら、この飢えた魔獣たちが暴れてしまうかもしれないぜ…?」
二人組の名前はそれぞれボルト、シャルフといい、伯爵家で秘密裏に魔獣の生成を行っていたノドレーの部下である二人だった。彼らはノドレーの目を盗んで一匹の魔獣を連れ出し、お金持ちであるカタリーナ家をゆすって一儲けしようとたくらんだのだった。
「は、伯爵家ともあろう方々がこのような……。ファーラ伯爵様はこのことをご存じなのか?」
この家の長であるアーロンは現在、夫人と娘を連れて外出中であった。アーロンに会う事が叶わなかった二人は、やや口調に怒りを含ませながら言葉を返す。
「知りませんよそんなの。我々は寝る間も惜しんで魔獣の生成をするべく働かされているというのに、ねぎらいの言葉のひとつもありはしない…。そんな伯爵の評判が少々落ちようが、知った事ではないのです」
「大体、ここで一生暮らすに困らない金をもらえたなら、伯爵家がどうなろうとどうでもいいことですしね♪」
部下は自分に仕え、自分のためにすべてを犠牲にするのが当然だと考えている伯爵。そんな彼に愛想を尽かしていたのは、ノドレーだけではなかった様で…。
「向こうで君たちがどんな扱いを受けているかに興味はない。それにここに、君たちに渡すようなものは何もありはしない。その可愛らしい魔獣を連れて、早く帰ってくれ」
「ほう、そうかそうか……」
生み出された魔獣たちは強力な力を持ちながらも、セイラや騎士たちの手によって完全にその存在を封殺されていたために世間では話題になることもなく、ゆえにルイスには目の前の魔獣は可愛らしい動物程度にしか思えなかったのだろう。
そんな彼の反応を見たボルトとシャルフは、視線をあわせて不気味な笑みを浮かべた。
「分かっていただけないようなので、すこし痛い目を見て頂きましょうか……♪」
「っ!?!?」
ボルトがなにやら魔獣に手で合図を送る。それを見た魔獣は目にも止まらない速さで、彼らが話す部屋の隣の部屋に突き進み、そこにある大きな柱や分厚い壁をバキバキと破壊し始めた…。
それを見たルイスが声を上げた瞬間にはすでに、隣の部屋は見るも無残なほどに破壊されていた。その間、一秒にも満たない。
「…ルイスさん、あなた様が仕えるかわいいかわいいご令嬢がいるのでしょう?次はこの魔獣によって、姫様がめちゃくちゃにされてしまうかもしれませんなぁ…♪」
「くすくすくす…。僕らとしてはそれでも楽しめるのでいいですが、あなたはどちらがいいですか?お金を差し出すか、姫様を差し出すか…♪」
「お、お前たち……」
ルイスはその手を震わせながら、必死に怒りを抑える。目の前でいやらしい笑みを浮かべるこの二人に、自らが仕える令嬢を差し出すことなど絶対にありえない。…が、二人の言いなりになってお金を渡すことも到底受け入れがたい…。
一方でボルトとシャルフは苦しむルイスを見つめながら、そこの心を高ぶらせていた。いままで伯爵家で良い思いができなかった事の腹いせを、この場でしているのだろう。
いくばくかの無言の時間が3人を支配した後、カタリーナ家のメイドがこの部屋に現れた。
「…ルイス様、…様の姿がお見えです」
「!?」
メイドにそう耳打ちされた瞬間、ルイスは一瞬のうちにその表情を明るいものにした。そのままメイドに指示を耳打ちで伝えたのち、再び二人の前に向き合った。
「もうお二人ほどお客様がお見えのようです。せっかくですので、あなたたちにも紹介させていただきましょう」
「「はぁ??」」
二人はそろってめんどくさそうな表情を浮かべたものの、それを止める術はない。これもどうせルイスの時間稼ぎだろうと思う事にし、一旦そのまま受け入れこの続きは後にすることとした。
しかし現れた二人の姿を見て、これは時間稼ぎでも何でもないという事を知らされることになる…。
「げっ!!!セイラじゃないか…!!」
「そ、それに隣にいるもう一人の男って……ま、まさか…!?」
二人は伯爵家の名前を盾に、強引に中へと入りこんだ。彼らはこの家の主人であるアーロンとの面会を求めたが、今は不在であるという事を知らされると、しぶしぶ家の召し使い長であるルイスを自分たちの前に出すように告げ、その勢いのままに脅迫を始めた…。
「さぁさぁ、この家を壊されたくなかったら早く金を出してくれないかねぇ」
「俺たちだってこんな真似はしたくないんだよ。だがお前たちが素直に応じないというのなら、この飢えた魔獣たちが暴れてしまうかもしれないぜ…?」
二人組の名前はそれぞれボルト、シャルフといい、伯爵家で秘密裏に魔獣の生成を行っていたノドレーの部下である二人だった。彼らはノドレーの目を盗んで一匹の魔獣を連れ出し、お金持ちであるカタリーナ家をゆすって一儲けしようとたくらんだのだった。
「は、伯爵家ともあろう方々がこのような……。ファーラ伯爵様はこのことをご存じなのか?」
この家の長であるアーロンは現在、夫人と娘を連れて外出中であった。アーロンに会う事が叶わなかった二人は、やや口調に怒りを含ませながら言葉を返す。
「知りませんよそんなの。我々は寝る間も惜しんで魔獣の生成をするべく働かされているというのに、ねぎらいの言葉のひとつもありはしない…。そんな伯爵の評判が少々落ちようが、知った事ではないのです」
「大体、ここで一生暮らすに困らない金をもらえたなら、伯爵家がどうなろうとどうでもいいことですしね♪」
部下は自分に仕え、自分のためにすべてを犠牲にするのが当然だと考えている伯爵。そんな彼に愛想を尽かしていたのは、ノドレーだけではなかった様で…。
「向こうで君たちがどんな扱いを受けているかに興味はない。それにここに、君たちに渡すようなものは何もありはしない。その可愛らしい魔獣を連れて、早く帰ってくれ」
「ほう、そうかそうか……」
生み出された魔獣たちは強力な力を持ちながらも、セイラや騎士たちの手によって完全にその存在を封殺されていたために世間では話題になることもなく、ゆえにルイスには目の前の魔獣は可愛らしい動物程度にしか思えなかったのだろう。
そんな彼の反応を見たボルトとシャルフは、視線をあわせて不気味な笑みを浮かべた。
「分かっていただけないようなので、すこし痛い目を見て頂きましょうか……♪」
「っ!?!?」
ボルトがなにやら魔獣に手で合図を送る。それを見た魔獣は目にも止まらない速さで、彼らが話す部屋の隣の部屋に突き進み、そこにある大きな柱や分厚い壁をバキバキと破壊し始めた…。
それを見たルイスが声を上げた瞬間にはすでに、隣の部屋は見るも無残なほどに破壊されていた。その間、一秒にも満たない。
「…ルイスさん、あなた様が仕えるかわいいかわいいご令嬢がいるのでしょう?次はこの魔獣によって、姫様がめちゃくちゃにされてしまうかもしれませんなぁ…♪」
「くすくすくす…。僕らとしてはそれでも楽しめるのでいいですが、あなたはどちらがいいですか?お金を差し出すか、姫様を差し出すか…♪」
「お、お前たち……」
ルイスはその手を震わせながら、必死に怒りを抑える。目の前でいやらしい笑みを浮かべるこの二人に、自らが仕える令嬢を差し出すことなど絶対にありえない。…が、二人の言いなりになってお金を渡すことも到底受け入れがたい…。
一方でボルトとシャルフは苦しむルイスを見つめながら、そこの心を高ぶらせていた。いままで伯爵家で良い思いができなかった事の腹いせを、この場でしているのだろう。
いくばくかの無言の時間が3人を支配した後、カタリーナ家のメイドがこの部屋に現れた。
「…ルイス様、…様の姿がお見えです」
「!?」
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しかし現れた二人の姿を見て、これは時間稼ぎでも何でもないという事を知らされることになる…。
「げっ!!!セイラじゃないか…!!」
「そ、それに隣にいるもう一人の男って……ま、まさか…!?」
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