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27.勇者様、太っ腹!
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クレイの回復魔法により直ぐに目覚めたが、起きて早々怒鳴られ説教をされた。ジェイミー様も隣で同じく険しい表情で頷いている。二人の圧に身を縮ませて「すみませんでした……」と消えるような声で謝った。
「全く、無駄に魔法使わせないでよ」
「ごめんなさい」
「僕が居なきゃどうするつもりだったわけ?」
クレイの言葉に小さく返事をして、二人に頭を下げた。
その後、ジェイミー様に連れられて武器屋へと向かった。店内に入ると様々な武器が置いてあり、どれも物騒で俺が持つのは恐れ多い。ああ、でもジェイミー様とお揃いみたいなのは欲しいかも。部屋の雑誌の近くで飾って、ってこれじゃ意味無いか。
ジェイミー様の持っている聖剣は本人に似ていて神々しいオーラを放っている。噂によると、どんなに硬い石や盾でも貫き、如何なる呪いや魔法をも弾く加護が宿っているだとか。
俺も生まれ変わったら聖剣になりたいな。ジェイミー様の近くでいれるしジェイミー様のことを守ることが出来るし。あ、これとか聖剣に似てる。ジロジロと見ているとジェイミー様に聞かれた。
「それが欲しいか」
「えっ、いや、見てただけで」
「欲しい物があったら言ってくれ」
ジェイミー様はそう言うが、結局は欲しい欲しくない以前に俺が使いこなせるかが大事だよな。何なら使えるだろう。
悩んでいる俺を見るに見かねたのか、ジェイミー様が武器を持ってきて実際に試してみることになった。
「お、おもっ」
ただの剣だと思ったら想像以上に重かった。五秒も持っていられずジェイミー様に返却した。すると、今まで黙っていたクレイが失笑した。
「ははっ、可笑しい。本しか持った事ないやつに武器なんて扱えるわけないでしょ。それなら魔法とか練習した方がマシだよ」
「……クレイ、俺が魔法使えないの分かってるよな?」
「ああ、そういえばそうだったね。じゃあお前の大好きな分厚い本で殴るとか?まぁそんな馬鹿な真似、僕には絶対無理だけど」
俺は歯を食いしばった。多分コイツは冗談で言ったんだろうけど以前の俺の行動と完全に一致している。
くそっ、それで魔物も撃退出来たって言ってやりたいけど、そんな馬鹿な真似をしたと知られるのは嫌だ。
「いや、あの本の威力を馬鹿にしてはいけない。魔物に不意打ちを食らわせることが出来たからな」
ジェ、ジェイミー様、言わないでください!そんなことを言ったらクレイがきっとまた俺を馬鹿にする。
クレイは訝しげに眉を顰めてまさかミルかと聞いた。ジェイミー様は平然と頷くと、クレイは冷酷な表情を浮かべた。
「……いつ、そんな馬鹿な真似をした?」
クレイの声が低くなり、怒りを感じさせた。思わずビクッとして言葉を失う。その様子に気付いたのか、クレイはハッとしたように表情を変えた。
なんだか気まずくなった空気の中、ジェイミー様が話題を変えてくれた。そして今度こそ本当に武器を選ぶことになったのだが、中々決められなかった。
「どれが良いか?」
「えっと……」
さっき選んだ剣よりも軽いのはあるけれど、どれもこれも重いのだ。こんな武器で戦えるわけがない。しかし、ジェイミー様がせっかくここまで連れてきてくれたし何か良いものを選んで買わなければ……。
悩んでいるとずっと黙っていた店主が恐る恐るといった様子で話しかけてきた。
「お客さんの体格的に、これがよろしいんじゃないでしょうかねぇ」
店主が持ってきたものは短剣だった。普通のナイフよりも短く小さい。試しに持たせてもらうと、さっきまでの武器と比べ軽くて持ちやすい。俺は剣術なんてやったことないし、ましてや運動神経が良い方ではないからこれくらいが丁度いい。
なんだ、最初からお店の人に聞いておけば良かった。これにしよう。そして買おうとしたが、何故かジェイミー様が財布を取り出した。
「えっ、ジェイミー様?」
「なんだ?」
「俺が買うので大丈夫ですよ」
「気にするな」
「いえ、流石に悪いです!」
俺の言葉を聞いてもジェイミー様は聞く耳を持たず会計へと行ってしまった。後を追いかけると、既にお金を払い終えたようで、ジェイミー様は満足そうな顔をしていた。
「ありがとうございます」
「構わない」
俺たちは顔を見合わせて頬を緩めた。その様子を見て、つまらない顔をしていたクレイに気付かなかった。
「全く、無駄に魔法使わせないでよ」
「ごめんなさい」
「僕が居なきゃどうするつもりだったわけ?」
クレイの言葉に小さく返事をして、二人に頭を下げた。
その後、ジェイミー様に連れられて武器屋へと向かった。店内に入ると様々な武器が置いてあり、どれも物騒で俺が持つのは恐れ多い。ああ、でもジェイミー様とお揃いみたいなのは欲しいかも。部屋の雑誌の近くで飾って、ってこれじゃ意味無いか。
ジェイミー様の持っている聖剣は本人に似ていて神々しいオーラを放っている。噂によると、どんなに硬い石や盾でも貫き、如何なる呪いや魔法をも弾く加護が宿っているだとか。
俺も生まれ変わったら聖剣になりたいな。ジェイミー様の近くでいれるしジェイミー様のことを守ることが出来るし。あ、これとか聖剣に似てる。ジロジロと見ているとジェイミー様に聞かれた。
「それが欲しいか」
「えっ、いや、見てただけで」
「欲しい物があったら言ってくれ」
ジェイミー様はそう言うが、結局は欲しい欲しくない以前に俺が使いこなせるかが大事だよな。何なら使えるだろう。
悩んでいる俺を見るに見かねたのか、ジェイミー様が武器を持ってきて実際に試してみることになった。
「お、おもっ」
ただの剣だと思ったら想像以上に重かった。五秒も持っていられずジェイミー様に返却した。すると、今まで黙っていたクレイが失笑した。
「ははっ、可笑しい。本しか持った事ないやつに武器なんて扱えるわけないでしょ。それなら魔法とか練習した方がマシだよ」
「……クレイ、俺が魔法使えないの分かってるよな?」
「ああ、そういえばそうだったね。じゃあお前の大好きな分厚い本で殴るとか?まぁそんな馬鹿な真似、僕には絶対無理だけど」
俺は歯を食いしばった。多分コイツは冗談で言ったんだろうけど以前の俺の行動と完全に一致している。
くそっ、それで魔物も撃退出来たって言ってやりたいけど、そんな馬鹿な真似をしたと知られるのは嫌だ。
「いや、あの本の威力を馬鹿にしてはいけない。魔物に不意打ちを食らわせることが出来たからな」
ジェ、ジェイミー様、言わないでください!そんなことを言ったらクレイがきっとまた俺を馬鹿にする。
クレイは訝しげに眉を顰めてまさかミルかと聞いた。ジェイミー様は平然と頷くと、クレイは冷酷な表情を浮かべた。
「……いつ、そんな馬鹿な真似をした?」
クレイの声が低くなり、怒りを感じさせた。思わずビクッとして言葉を失う。その様子に気付いたのか、クレイはハッとしたように表情を変えた。
なんだか気まずくなった空気の中、ジェイミー様が話題を変えてくれた。そして今度こそ本当に武器を選ぶことになったのだが、中々決められなかった。
「どれが良いか?」
「えっと……」
さっき選んだ剣よりも軽いのはあるけれど、どれもこれも重いのだ。こんな武器で戦えるわけがない。しかし、ジェイミー様がせっかくここまで連れてきてくれたし何か良いものを選んで買わなければ……。
悩んでいるとずっと黙っていた店主が恐る恐るといった様子で話しかけてきた。
「お客さんの体格的に、これがよろしいんじゃないでしょうかねぇ」
店主が持ってきたものは短剣だった。普通のナイフよりも短く小さい。試しに持たせてもらうと、さっきまでの武器と比べ軽くて持ちやすい。俺は剣術なんてやったことないし、ましてや運動神経が良い方ではないからこれくらいが丁度いい。
なんだ、最初からお店の人に聞いておけば良かった。これにしよう。そして買おうとしたが、何故かジェイミー様が財布を取り出した。
「えっ、ジェイミー様?」
「なんだ?」
「俺が買うので大丈夫ですよ」
「気にするな」
「いえ、流石に悪いです!」
俺の言葉を聞いてもジェイミー様は聞く耳を持たず会計へと行ってしまった。後を追いかけると、既にお金を払い終えたようで、ジェイミー様は満足そうな顔をしていた。
「ありがとうございます」
「構わない」
俺たちは顔を見合わせて頬を緩めた。その様子を見て、つまらない顔をしていたクレイに気付かなかった。
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