勇者様、推しです!〜溺愛されるのは解釈違いです〜

ぽぽ

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9.勇者様、職場へGO!

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 今まで騎士団を見る時は柵の間から覗くだけだったが、中へ入るのは初めてだ。ここが推しの職場か……聖地のようなものだ。拝んでおこう。
 両手を合わせて頭を下げる俺を見て、ジェイミー様は怪訝な顔をした。
 
「何かあったか?」
「あっ、ぉ、お気にせず……」
 
 恥ずかしい。また俺は前世の癖を出してしまった。ジェイミー様から見れば急に謎のポーズを向けてきた変な奴である。

 無言で廊下を歩いていると色々な人々が挨拶をしてきた。勿論相手はジェイミー様に。恐らく事務の人だろうか。男女関わらずジェイミー様と目を合わせれば嬉しそうに小走りで去っていく。
 彼等は毎日ジェイミー様と会い挨拶を交わしているということか。毎日この美貌を浴びるなんて凄い忍耐力だな。俺は未だ直視するのも躊躇う。美し過ぎて目を合わせる事ですら難しい。
 
 徐々に足を進めると、汗の匂いが漂ってきた。何か音が聞こえると思い視線を移すと、そこには打ち合いをする騎士がいた。この暑い中、重そうな制服を着て体を動かすなんて大変だ。まあそれが仕事だから彼等にとっては普通だろうけど。
 
「頑張ってますね。皆さん」
「……まだ甘い」

 片方の眉を吊り上げて厳しい目で彼等を見る。
き、厳しい……。だがジェイミー様からすれば誰も対等になれる騎士なんていないかもしれない。騎士団長位のレベルだったら匹敵するかも。あそこで大声で指導している人とかなら強いのかな。
見詰めていると彼とパチリと目が合った。そしてそのまま此方に向かって来た。

 な、なんだ?結構離れた所から見ていたにも関わらず段々と顔が近付いてくる。そして俺達の前に現れた男はとんでもない程の大男だった。

 さっきは遠くから見ていたから気付かなかったが想像以上にでかい!胸元のボタンが今にも飛んでしまいそうなほどの大胸筋!キレてるキレてる!ナイスバルク!仕上がってるうー!脳内の小さなミル達が囃し立てる中、大男は鼓膜が破れそうな声でジェイミー様に話し掛けた。
 
「ジェイミー!!何で非番なのに、ん?そいつ誰だ?」
 
 突如現れた大男は目を丸くして俺の腕を握った。痛い痛い痛い、俺の腕を鉄パイプとでも思っているのか。折れてしまうぞ。すると、ジェイミー様が彼の腕を掴み俺から離した。
 
「触るな」
「うお、何でそんな怒ってんだよ。軽く触っただけっつのにって、あーーっ!!!」
 
 何故か俺を二度見した後に目を見開いて叫んだ。余りにも大きな叫び声に思わず両手で耳を塞ぐ。
 
「お前、あの時の奴だろ!」

 あの時?こんな煩い人、見た事なんて……いや待て。そういえば居たような気がする。うろ覚えだが、初めてジェイミー様と生でお会いしたカフェに一緒に入店してきたあの大男だ。
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