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第2章
複雑な気持ちsideルグノス
しおりを挟む「ルグノスです。非礼をお許しください。」
「構いません。寧ろ悪魔と名乗った私に本命を伝えず警戒したその知識と警戒心の強さに好感を抱きました。」
ホルス殿の丸を信じ、名を告げ、非礼を詫びれば、マルコシアス殿は首を横に振り柔らかい視線を向けてくれた。
その視線から元は天使であったという言葉を思い出す。
なぜ堕天使となってしまったのか…気になるがそれは今聞くことではないし、聞かない方がいいのだろう。
時に好奇心は身を亡ぼす原因となりうるのだから。
「ふふ…やはり貴方は聡い人ですね。いいでしょう。今回の件、報酬は頂きません。」
にんまりと目を笑わせたマルコシアスは私の思考を読めるのか、私が先ほど抑えた好奇心を知っているように笑いそう言った。
その表情は先ほどの天使のような穏やかなものと違い、新しい悪戯を思いついたような…悪魔と呼ばれるに相応しい笑みだ。
「今回の件、どうやら夢魔と厄介な人間が手を組んでいるようです。貴方の子を取り戻す為に一番確実で最速、そして面白くなるおすすめの方法がひとつ。バグと呼ばれる上位夢魔に協力をしてもらうことです。幸いなことに彼は最近同じ夢魔が次々と問題を起すことで自身の商売に影響が出て苛立っているので快く協力してくださることでしょう。悪魔のことは悪魔に任せて、あなた達は人間の方に罰を与えればいいでしょう。」
ニコニコと笑ってそうマルコシアス殿。
″面白くなる″という言葉と″悪魔のことは悪魔に″という言葉が引っかかる。
面白くなる…は悪魔の性と受け取ろう。
面白くないことに悪魔は手を伸ばさないことは有名なことだ。
只、後者についてはよくよく確認しておく必要がある。
「悪魔の使う魔法がどういったものか分かっていない今、詳しい者が協力してくれるのはとても助かる。だが、悪魔の事を悪魔に任せた場合、今回の主犯であろう夢魔がそちらでいいように処分されるのはこちらとしては大変困る。」
「もちろんです。そもそも悪魔の中では犯罪なんて言葉はありません。こちらでいう処分は本当の意味での処分。つまり死です。気に食わない奴を処分する、なんてこと悪魔界では日常的な事ですので。半死の状態でそちらへ引き渡すよう私からバグにお伝えしておきます。それからこれは余談なのですが…悪魔が使うのは大体が魔術です。魔法を扱うものもいますが、そういうのはスピリットに近い者が使うくらいでしょうか。」
私の疑問や不安は最もだと言うように頷いたマルコシアス殿は悪魔についてさらりと教えてくれた。
「こんな時でもなければ詳しく聞きたいところだ。」
「ふふ。」
特にノヴァなんかは飛びつきそうな内容だ。
恐らく今のノヴァにこの事を伝えてもそれで?と言うだろうが…。
父親はおらず、母親はノヴァが小さい頃に儚くなり、半魔が故の差別や優れた魔法を扱う能力を狙う輩から逃れる為にまだ小さかったノヴァは一人、人間が容易には立ち入れない森にひっそりと身を隠した。
定期的にアリアと様子を見に行ったりしていたが、寂しい幼少期であっただろう。
あまり人と関わりたがらないノヴァをルナイスの為屋敷に呼んでから、ノヴァがルナイスをとても気にしてくれているとは感じていたが…
最近のノヴァはアドルファスと同じくらいルナイスを溺愛しているように思う。
アドルファスがあそこまで弟馬鹿になるとは思ってなかったが、ノヴァは本当に予想外だ。
ルナイスの為に人と関わる機会が増えて、口数も増えたのは良いことだがノヴァの気持ちに気づいた私はルナイスの父親として複雑な気持ちだ。
_________________________
謝罪
一瞬だけ誤って世界観などをまとめるページを公開してしまいましたがすぐに非公開に設定しました。
もし通知が入る設定をしてくださっている方がおりましたら、大変申し訳ございません。
まったくまとめれてないのですが…
このページがないとちょっと分かりづらい世界観になっているなと感じるので、なるべく早く公開します。
しばらくはルナイス以外の人物からの視点になる予定です。
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