76 / 319
第2章
突然の事件
しおりを挟む学園に通い出して半年。
僕も学園の環境に慣れてきたので、にぃ様とは馬車の所でお別れするようになった。
友人は相変わらずテトラ君しかいないけど、クラスメイトから遠巻きにされることは無くなった。
わいわいお話する感じではなく、必要な連絡事項をお話するという丁度いい関係だ。
僕はあまりわちゃわちゃ騒がしいのは好かない。
そんな環境に慣れてきた僕は今、必死に不得意な防御魔法を張っている。
何故かって言うと、基礎体力授業の途中、突如大量の悪鬼が襲ってきたからだ。
悪鬼は強いうえに割と話の通じる魔族で、こんな大量に突然学園を理由もなく襲うことなんて考えられない。
それに今防御魔法を壊そうとしている悪鬼は白目を剥き口から泡を吹き出している。
強い力に無理やり支配されることへの強い拒絶反応を起こしているのだと思う。
防御魔法は保護魔法だから何とが使えるけど、あんまり僕に適性はない魔法だ。
長時間の展開は難しい。
僕の防御魔法の中には負傷した生徒と怯えて動けない生徒達、約15人が居る。
15人となるとそこそこ大きく展開する必要があってそれもしんどい。
「回復魔法が得意な子は居ないの!?怪我してる奴治して早く戦力増やして!」
そう叫ぶけど、回復魔法を使える人は少なく、また復活した生徒も怖気付いてしまって戦意喪失していて使い物にならない。
最悪の状況です。
僕も戦闘に参加したいのだけど、防御魔法を悪鬼達に叩き割られない強さで展開することができる子がいないのだ。
他の生徒はボロボロになりながらも戦っている。
中には救助が必要な状態で地に伏せている者もいるけど、そこまで手が回らない。
この自体は直ぐに王家の耳にも入っているだろうし、何よりとーさまの耳に入ればすぐに来てくれるはずだ。
救援が来るまで、なんとか持ちこたえたい。
そして何よりにぃ様が気になる!
無事で居てくれるといいけど…
「…君達戦うことが出来ないなら、防御魔法展開して!」
「む、無理です!!僕達のじゃとても!」
「何人かで合わせてすればいーでしょ!戦わないなら魔力尽きるまで防御しなよ!」
口が悪くなるけど仕方ないよね?
こんな状況で力があるのに他人頼りで何もしない奴に優しくしてやる義理ないし。
「カウントしたら僕防御魔法消すから!やらなきゃ皆死ぬだけだよ!」
「そ、そんな!」
弱音ばかりで五月蝿い奴!
お前の顔覚えたからな!
問答無用で3・2・1とカウントして防御魔法を消す。
僕が走り出すと同時に何とか役立たず共が防御魔法を展開したのを感じた。
「テトラ君!」
近くで戦っていたテトラ君に駆け寄る。
流石辺境伯の子息。
低学年の中で1番悪鬼を抑えている。
でもその分酷い怪我だ。
疲労からか剣を握る手もガタガタと震えている。
「ルナイス!」
「広範囲で暗視魔法を使う!風魔法で悪鬼をなるべく一纏めにできない?」
散らばりすぎてて、下手したら味方に魔法が当たってしまうかもしれないとテトラ君に問う。
「纏めるだけでいいのか?」
「うん。きっともうすぐ救援が来る。頑張ろ!」
ポンとテトラ君の肩を叩くと同時に不得意で微々たるものだけど、擬似回復魔法を掛ける。
「助かる!」
「擬似だから後できちんと治療を受けてね。」
擬似回復魔法は一時的に回復魔法が掛けられた状態にできる言わば応急処置みたいな魔法。
僕回復魔法とかの聖魔法はダメなので、浄化魔法と保護魔法を混ぜ合わせた擬似回復魔法で応急処置程度のことは出来るようにしておいた。
今本当に学んでおいて良かったと思う。
391
お気に入りに追加
3,071
あなたにおすすめの小説
そばかす糸目はのんびりしたい
楢山幕府
BL
由緒ある名家の末っ子として生まれたユージン。
母親が後妻で、眉目秀麗な直系の遺伝を受け継がなかったことから、一族からは空気として扱われていた。
ただ一人、溺愛してくる老いた父親を除いて。
ユージンは、のんびりするのが好きだった。
いつでも、のんびりしたいと思っている。
でも何故か忙しい。
ひとたび出張へ出れば、冒険者に囲まれる始末。
いつになったら、のんびりできるのか。もう開き直って、のんびりしていいのか。
果たして、そばかす糸目はのんびりできるのか。
懐かれ体質が好きな方向けです。今のところ主人公は、のんびり重視の恋愛未満です。
全17話、約6万文字。
転生令息は冒険者を目指す!?
葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。
救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。
再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。
異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!
とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A
僕は悪役令息に転生した。……はず。
華抹茶
BL
「セシル・オートリッド!お前との婚約を破棄する!もう2度と私とオスカーの前に姿を見せるな!」
「そ…そんなっ!お待ちください!ウィル様!僕はっ…」
僕は見た夢で悪役令息のセシルに転生してしまった事を知る。今はまだゲームが始まる少し前。今ならまだ間に合う!こんな若さで死にたくない!!
と思っていたのにどうしてこうなった?
⚫︎エロはありません。
⚫︎気分転換に勢いで書いたショートストーリーです。
⚫︎設定ふんわりゆるゆるです。
王子のこと大好きでした。僕が居なくてもこの国の平和、守ってくださいますよね?
人生1919回血迷った人
BL
Ωにしか見えない一途なαが婚約破棄され失恋する話。聖女となり、国を豊かにする為に一人苦しみと戦ってきた彼は性格の悪さを理由に婚約破棄を言い渡される。しかしそれは歴代最年少で聖女になった弊害で仕方のないことだった。
・五話完結予定です。
※オメガバースでαが受けっぽいです。
婚約破棄は計画的にご利用ください
Cleyera
BL
王太子の発表がされる夜会で、俺は立太子される第二王子殿下に、妹が婚約破棄を告げられる現場を見てしまった
第二王子殿下の婚約者は妹じゃないのを、殿下は知らないらしい
……どうしよう
:注意:
素人です
人外、獣人です、耳と尻尾のみ
エロ本番はないですが、匂わせる描写はあります
勢いで書いたので、ツッコミはご容赦ください
ざまぁできませんでした(´Д` ;)
逆ざまぁされ要員な僕でもいつか平穏に暮らせますか?
左側
BL
陽の光を浴びて桃色に輝く柔らかな髪。鮮やかな青色の瞳で、ちょっと童顔。
それが僕。
この世界が乙女ゲームやBLゲームだったら、きっと主人公だよね。
だけど、ここは……ざまぁ系のノベルゲーム世界。それも、逆ざまぁ。
僕は断罪される側だ。
まるで物語の主人公のように振る舞って、王子を始めとした大勢の男性をたぶらかして好き放題した挙句に、最後は大逆転される……いわゆる、逆ざまぁをされる側。
途中の役割や展開は違っても、最終的に僕が立つサイドはいつも同じ。
神様、どうやったら、僕は平穏に過ごせますか?
※ ※ ※ ※ ※ ※
ちょっと不憫系の主人公が、抵抗したり挫けたりを繰り返しながら、いつかは平穏に暮らせることを目指す物語です。
男性妊娠の描写があります。
誤字脱字等があればお知らせください。
必要なタグがあれば付け足して行きます。
総文字数が多くなったので短編→長編に変更しました。
婚約破棄と言われても・・・
相沢京
BL
「ルークお前とは婚約破棄する!」
と、学園の卒業パーティーで男爵に絡まれた。
しかも、シャルルという奴を嫉んで虐めたとか、記憶にないんだけど・・
よくある婚約破棄の話ですが、楽しんで頂けたら嬉しいです。
***********************************************
誹謗中傷のコメントは却下させていただきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる