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第2章

突然の事件

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学園に通い出して半年。
僕も学園の環境に慣れてきたので、にぃ様とは馬車の所でお別れするようになった。


友人は相変わらずテトラ君しかいないけど、クラスメイトから遠巻きにされることは無くなった。

わいわいお話する感じではなく、必要な連絡事項をお話するという丁度いい関係だ。




僕はあまりわちゃわちゃ騒がしいのは好かない。


そんな環境に慣れてきた僕は今、必死に不得意な防御魔法シールドを張っている。



何故かって言うと、基礎体力授業の途中、突如大量の悪鬼あっきが襲ってきたからだ。

悪鬼は強いうえに割と話の通じる魔族で、こんな大量に突然学園を理由もなく襲うことなんて考えられない。


それに今防御魔法シールドを壊そうとしている悪鬼は白目を剥き口から泡を吹き出している。



強い力に無理やり支配されることへの強い拒絶反応を起こしているのだと思う。




防御魔法シールドは保護魔法だから何とが使えるけど、あんまり僕に適性はない魔法だ。

長時間の展開は難しい。


僕の防御魔法シールドの中には負傷した生徒と怯えて動けない生徒達、約15人が居る。

15人となるとそこそこ大きく展開する必要があってそれもしんどい。




回復魔法ヒールが得意な子は居ないの!?怪我してる奴治して早く戦力増やして!」


そう叫ぶけど、回復魔法ヒールを使える人は少なく、また復活した生徒も怖気付いてしまって戦意喪失していて使い物にならない。

最悪の状況です。




僕も戦闘に参加したいのだけど、防御魔法シールドを悪鬼達に叩き割られない強さで展開することができる子がいないのだ。

他の生徒はボロボロになりながらも戦っている。
中には救助が必要な状態で地に伏せている者もいるけど、そこまで手が回らない。



この自体は直ぐに王家の耳にも入っているだろうし、何よりとーさまの耳に入ればすぐに来てくれるはずだ。

救援が来るまで、なんとか持ちこたえたい。



そして何よりにぃ様が気になる!

無事で居てくれるといいけど…





「…君達戦うことが出来ないなら、防御魔法シールド展開して!」


「む、無理です!!僕達のじゃとても!」




「何人かで合わせてすればいーでしょ!戦わないなら魔力尽きるまで防御しなよ!」


口が悪くなるけど仕方ないよね?

こんな状況で力があるのに他人頼りで何もしない奴に優しくしてやる義理ないし。




「カウントしたら僕防御魔法シールド消すから!やらなきゃ皆死ぬだけだよ!」


「そ、そんな!」


弱音ばかりで五月蝿い奴!
お前の顔覚えたからな!


問答無用で3・2・1とカウントして防御魔法シールドを消す。



僕が走り出すと同時に何とか役立たず共が防御魔法シールドを展開したのを感じた。





「テトラ君!」


近くで戦っていたテトラ君に駆け寄る。

流石辺境伯の子息。
低学年の中で1番悪鬼を抑えている。

でもその分酷い怪我だ。




疲労からか剣を握る手もガタガタと震えている。


「ルナイス!」


「広範囲で暗視魔法を使う!風魔法で悪鬼をなるべく一纏めにできない?」


散らばりすぎてて、下手したら味方に魔法が当たってしまうかもしれないとテトラ君に問う。


「纏めるだけでいいのか?」


「うん。きっともうすぐ救援が来る。頑張ろ!」



ポンとテトラ君の肩を叩くと同時に不得意で微々たるものだけど、擬似回復魔法ヒールを掛ける。


「助かる!」

「擬似だから後できちんと治療を受けてね。」



擬似回復魔法ヒールは一時的に回復魔法が掛けられた状態にできる言わば応急処置みたいな魔法。

回復魔法ヒールとかの聖魔法はダメなので、浄化魔法と保護魔法を混ぜ合わせた擬似回復魔法ヒールで応急処置程度のことは出来るようにしておいた。

今本当に学んでおいて良かったと思う。




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