最低なふたり

白夜

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最低な人を好きになりました。

11話 認めたくない真実

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11話 認めたくない真実




だいきside



『姫川さんのお陰です!!ほんとにありがとうございました!!』


ほんの少しだけ心が痛んだ。

蓮くんの気持ちがあべちゃんに無いことは、見ていてよくわかっている。

あべちゃんと一緒にいる時の蓮くんは余所行きの顔して、面倒見の良いお兄さんを演じているように見えるから…


【付き合っているのに、心がここにない】

そんな苦しい想いを…あべちゃんにも味わわせてしまうかもしれない

それでも、蓮くんが少しでも大和と距離を置いてくれさえすれば

そんな自分勝手な思いで、あべちゃんをたきつけた。


一度相談に乗ってあげたからなのか…それから、は


【キスの仕方を教えて欲しい】
【えっちまでの流れを教えて欲しい】
【えっちの仕方を教えて欲しい】

…と、ことあるごとに俺に相談に来た

初心で一生懸命なあべちゃんの姿は、ほんとに可愛くて、俺がわかることなら、なんでも教えてあげたいと思った。

ここをこうしたら、ネコちゃんは気持ちいいとか、こんなふうに触れられるとゾクゾクするとか、こんなキスが気持ちいいとか…

今考えてみれば、けっこう恥ずかしいこと平気で言ってった(笑)

でも、あべちゃんがあまりにも真剣だから、俺もそれに応えなくちゃって、俺の持ってる知識の全てをあべちゃんに教え込んだ。



そして…
『初めてれくんとえっちしました』って、報告をもらった時は、なんとも言えないくらい嬉しかった。

自分の育てた子供の成長を喜ぶ親の心境に近かったったと思う。

でも、
『…なんか、蓮くん余裕があって…あんまり気持ちよくさせてあげられ無くて…』
と、がっくり肩を落とすあべちゃんに

『俺だって、初めての時は自分だけ気持ちよくさせられてて、全然気持ちよくしてあげられなかったよ』
なんて、自分の苦しかった事も失敗談として話した


『そんなんですか…次、頑張ります!!』

次頑張る…
俺がなくしてたものなのかも?

俺も、もっともっと頑張って
大和を俺の虜にさせてやるっ!!

って、そう思った矢先の出来事だった。



俺を抱いた次の日は必ずと言っていいほど…蓮くんと同じ匂いをさせている大和

…どれだけ頑張っても、俺に望みはないのだろうか?

キスマークや露骨な形跡は残っていないけど、たぶん、蓮くんと大和はえっちをしている。

なんとなくそんな気がしていた。

そして、やめればいいのに…
『俺、帰るね。』って、えっちを終えて帰って行く、大和の後を尾行してしまった。

何度も自分に、そんな事は止めろって言ったけど…

どうしても、自分を止められなくて…

もしかしたら蓮くんと大和はそんなんじゃなくて、俺の勘違いかもしれないって、大和を信じたくて…

大和が玄関を出て行った後、えっちを終えてだるい体を急いで起こして、後を追った。

尾行するなんて、なかなか最低なヤツだよね?

でも、
蓮くんと浮気しているのは、大和だ!!
…いや、相手が蓮くんとは限らない…

いや、もう!!蓮くんしか考えられない。

どっちかと言えば、蓮くんが本命なのかもしれない。


そんな事を考えながら、遠くに見える大和がスマホにメッセージを打ち込んでいる様子を見ていた。

すると、すぐに返信が来ているようで

方向を変えて大和は歩き出した。

そんな大和を数十メートル離れた所で見て

どうか…蓮くんとは会わないで。

神様に祈った。

このまま、自分の家に帰って!

お願い…お願いだから…



それから、大和はコンビニに入って、何か買い物してすぐに出て来た。

大和はレシートをコンビニのレジに備え付けてあるゴミ箱に捨てる癖があるから…
俺も慌ててコンビニに入って、飲み物を買った。
レシート捨てるフリして、大和のものと思われるレシートを覗き見た。


プリン ¥158
 2点
コンドーム ゼロワン ¥972


プリン2個?
自分で食べるのかもしれない!
誰かと食べるって決まったわけじゃない!

コンドーム…次回俺と使う為に買ったのかもしれない…

否定材料探して、嫌な予感を打ち消すのに必死だった

でも、その甲斐も虚しく

尾行を続けると、大和は蓮くんの家の中へ消えて行った。

しっかりとこの目で真実を見てしまった。

俺、馬鹿だ。


こんな事しなければ、憶測や勘違いで済んだのに…わざわざ真実を確かめにいくなんて。

ホントに…馬鹿だ。
涙かポロリと頬を伝った。


真実は、何よりも俺の心をえぐっていった。

どんなに苦しくても、俺は大和に何も言えないし、言って【めんどくさい別れよう】と言われるより我慢している方がよっぽどいい。

わかっていたことだから。
【やっぱり】と【そうだよな】しかでてこないのは、自分でも認めたくないけど、認めていたのかもしれない。

あのふたりはそういう関係だって…。

それが…真実。
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