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最低な人を好きになりました。
10話 どんな手を使ってでも
しおりを挟む10話 どんな手を使ってでも
だいきside
大和を手に入れる為なら…
『お待たせしました』
あべちゃんが爽やかな笑顔で隣の席に座った。
大和の誘いを断ってでも、あべちゃんとしなくちゃいけない会話があったから。
『何飲む?』
ゆっくり話をしたかったので、少し落ち着いた雰囲気の居酒屋で待ち合わせをした。
あべちゃんもなんとなく、これから話す事を予想していたみたいで
『すみません。俺の為に時間割いてもらったみたいで…』
『いいよ。相談にのるって言ったじゃん!』
俺は、半分になったジョッキを一気に飲み干して、あべちゃんの分と一緒に二杯目のビールを注文
直ぐにビールが目の前に置かれ、乾杯!っと小さくジョッキを合わせ、ゴクゴクと喉に流し込んだ。
『はぁーーっ。…で?告白した?』
呑み終えて直ぐに俺が言うと
『ごふぉごふぉっ///…そんな、言うわけないですよ!!』
『でも、言わないと蓮くん気が付かないとおもうよ?』
『そうですよね…俺、けっこうアピールしているつもりなんですけど???』
気が付くわけがない!!
会社では蓮くんリアコなんて言われてるけど、そっちに関しては鈍すぎるくらいに鈍いんだから!!
『そうだね。俺にはバレバレだったけどね。周囲だって、きっと気づいてる人は多いと思うよ』
『えっ///マジですか??』
『気が付かないのはあのふたりくらいじゃないかな!』
『あぁ~蓮くんと、速水さんですね』
『…なんか、あのふたりイイ感じなんで…でも、姫川さんが速水さんとつきあってるんですよね?』
『……付き合っては…いる。』
『???なんですか?その言い方?』
付き合っているという事実だけで、実際大和の気持ちがどこにあるのか?
俺を好きなのかは…わからない。
あのふたりは甘い雰囲気だけど、実際にふたりがそういう関係なのか定かではない。
まぁ、ホテルに一緒に行くくらいだから…ヤっていると考えるのが妥当だよね。
『蓮くんは付き合ってる人いるって言ってた?』
『いないって言ってました。もう長い事、フリーだって言ってましたよ』
フリー…
なんて便利な言葉なんだろ。
お付き合いはしてないけど…そういうことはしている…そういう時にも使える言葉。
『でも、この前あべちゃんと蓮くん一緒に野球観戦してなかった?』
『はいっ!休みの日一緒に出掛けようって誘ったら、野球見に行こうって言われてっ///』
『脈あり?』
あべちゃんには悪いけど、あべちゃんをうまくのせて蓮くんをくっつければ…
大和の気持ちが例え蓮くんにあっても…蓮くんは大和から離れていくはず!
そんな浅はかな考えだった。
そんな考えしか浮かばない程、俺は追い詰められていたのかもしれない
『やっぱり!そうですかね?』
『そう!そう!絶対そうたよ!嫌いなヤツと野球行かないでしょ?蓮くん野球好きだし!』
『っ///やっぱり、そうですかね♡』
露骨に喜ぶ初心なあべちゃんを可愛いと思う。
このまま、俺の誘導に上手く乗って欲しい…ごめんね、あべちゃん。でも、うまくいけばあべちゃんだって、好きな人と付き合えるんだから。
俺はその背中をちょっと強引に押しただけ。
『蓮くんあんまりお酒呑まないから、呑ませてヤっちゃう?』
『っ///なっ///なに言ってるんですか!!そんな事できませんって///』
わかりやすく赤くなるあべちゃん、可愛い♡
『そっかぁ。でも、お酒呑ませて誘うって、いいよ。酔ったフリして<好き>って言ってみるとか?』
まぁ、これで俺は付き合うってことになった訳たから…アドバイスとしてギリギリ成立してるんじゃないかな?
『なるほど…』
『蓮くん外だと呑まないかも?だから、家呑みにしたらいいじゃん!』
『なるほどっ!!さすが姫川さんですね。』
俺が使った卑怯な手なんたけどね…。
上手くいけばなんでもいい。
『良い報告待ってるね』
『頑張りますっ!!』
あべちゃんは爽やかな笑顔で俺に笑いかけた。
あべちゃんは、めちゃくちゃかっこいいし、背も高いくて、申し分ないくらいのイケメン!
会社の女子がキャーキャー言うほど、今どきのスラッとしたモデル体型で、モテモテだ。
蓮くんも、あべちゃんをかわいがってる様に見える。
でも、可愛い後輩…そんな雰囲気。
そう、先輩と後輩。上司と部下。そんな感じ。
でも、あべちゃんに上手くいってもらわないと困る。
蓮くんがあべちゃんと付き合えば、大和は俺のものになる。
俺だけのものに!!
それから、数日後の事だった。
『姫川さんっ!!ありがとうございます!!蓮くんと付き合うことになりました』
と嬉しそうに報告してくれた。
『え?』
あれだけ応援していたけれど、まさか本当に蓮くんがあべちゃんと付き合うなんて思ってなかったから、すごく驚いた。
『姫川さんのお陰です!!ほんとにありがとうございました!!』
『よかった!ほんとによかったね!!』
これで、俺だけの大和になった。
そう、思ったのに…。
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