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32:結婚式
しおりを挟む結婚式の会場に足を踏み入れる。
荘厳な雰囲気で、思わず背筋が伸びてしまう。
隣の父にばれてしまったようで、小さく笑われてしまった。
後ろで私のベールを持っている可愛い姉妹など「ふわぁ」と声をあげている。
やっぱり練習と本番は違うわよね。
微笑ましくて、肩の力がいい感じで抜けました。
「こら、私語禁止」
姉妹の父である従兄弟が小声で注意するのも微笑ましい。
帝国では結婚の儀ではなく、結婚式と言うそうです。
新郎新婦、双方が白を基調にした服を着ます。差し色に相手の色を使うのは同じなようで、私のドレスの裾には藤色のそれは見事な刺繍がされています。
殿下はサッシュベルトが私の瞳の色である明るい青です。所々地味に紺色を差し込んでますけどね。刺繍とか、ボタンとか、小物とか。
制作をお願いした方に「愛されてますね」と冷やかされたのは、一生忘れてやらない。
会場の隅に、場に不似合いなピンクと黄色があった気がしますけど、気のせいでしょう。
まさか他国の式典に参加するのに、あの品性下劣な色合いで参加しないでしょう。うん、気のせい。
滞りなく式は進み、誓いのくちづけをしました。
前回とは違い、ちゃんと唇です。
凄く近くに綺麗な藤色の瞳が見えて、思わず照れてしまいました。
プラチナシルバーの睫毛やサラサラの髪も1本1本まで見えます。
「目は閉じようか」
苦笑されてしまいました。
来賓客の方へ向き直り、腕を組んで祭壇の階段を降ります。
一番下まで行くと、また可愛い姉妹がチョコチョコと寄って来て、ベールの裾を持ってくれました。
それをとても幸せな気持ちで見守ります。
そういえば、普通は結婚って幸せなものなのでしたね。
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