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価値・無価値は、人によって違うものなのだと再確認した
第447話:演技力以前の問題w
しおりを挟む「邪魔ってどういう事よ!」
「何度でも言ってやるわ!場所を取り過ぎなのよ!」
チラリ。
「この場所で良いって許可出したのアンタでしょ!」
「こんなに種類増やすって知ってたら、許可しなかったわよ!」
チラリ。
リコンスとココアが何か寸劇をしながら、こちらをチラリチラリと見てくるな。
これは「どうした?」と質問してほしいのだろう。そして、話を聞けと。
嫌だよ、面倒臭い。
ここは【ペットカフェ】のいつもの席。
ガルムがソファになって乗れるように、片側が座敷のようになっている特殊な席で、ペットの飼い主である【sechs(ゼクス)】の指定席だ。
その席で葡萄パフェを食べていたら、件の寸劇が始まったのだ。
「ヨミ、オッサ……魔物葡萄いるか?」
美味しいパフェを食べながら、従魔達と戯れる。至福。
<きゅ!>
葡萄パフェに入っているオッサンをヨミに渡した。
頭から齧られてるのに、満面の笑みなオッサン。
シュールだ。
「シズカも食べるか?」
<いる!>
「プーリは?」
<ぴぃ!>
「ガルムは?」
<主よ、自分の分が無くなるぞ。要らぬのならば、ネルにやるが良い>
ガルムの言葉にネルを見ると、こちらをキラキラした瞳で見上げていた。
どうも猫だという感覚になるから、ネルと果物が結びつかないのだが、魔獣なのだよな。
「ネル、欲しかったら自分から言っても良いのだからな」
<ありがとうにゃ!>
葡萄を渡すと、嬉しそうにお礼を言ってくるネル。
可愛いな。
「ちょっと!何かないわけ!?」
「友人が言い合いしてたら、普通は仲裁に入るでしょう!」
二人がパフェを食べている俺に近寄って来た。
「いや、友人じゃないし」
あ、二人の動きが止まった。
「は?」
怒るリコンス。
「え?」
へこむココア。
「良くて知人だろ?」
だって、リコンスは友人ではなく同僚だし、ココアは咲樹を通じて知り合ったし、特に個人的に交流が無いからなぁ。
「……友人では、無い……かな?」
リコンスが首を傾げながら、疑問系で呟く。
「確かに、友人ではない……かも?」
同じようにココアも納得する。
ココアに至っては、現実どころか幻想世界でさえ連絡先交換してないからな。
「それで、寸劇してまで俺に聞かせたい話とは?」
二人で顔を見合わせてから、テヘッて感じで笑う。
イラッとするから止めろ。
ギロリと睨むと、咳払いしてからリコンスが話し始める。
この辺は現実で付き合いがあるリコンスの方が、俺の性格を知っているので対応が早い。
「軽い気持ちで始めた属性オコジョアクセサリーだけど、予想以上に評判が良くて、本業に支障が出て来ちゃったの」
今も例の寸劇が終わったら、アクセサリーコーナーに人がたむろっている。
諍いは起きていないが、ペットを持った客とアクセサリー目当ての客がぶつかりそうになり「すみません」「こちらこそ」などと、あちらこちらでやっている。
「単独でアクセサリー店を開こうと思って。タカアシガニと斗苫斗的の許可は取ったから、後はオコジョ瑪瑙の仕入れ先であるアンタの許可を取ろうと」
んん?ちょっと待て、リコンス。
お前、何か勘違いしているな。
「オコジョ瑪瑙の所有権は【cinq(サンク)】だぞ」
二人にキョトンとした顔で見られてしまった。
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