鉱夫剣を持つ 〜ツルハシ振ってたら人類最強の肉体を手に入れていた〜

犬斗

文字の大きさ
298 / 414
第十七章

第286話 世界会議にて

しおりを挟む
 世界会議ログ・フェス五日前になると、イーセ王国一行が到着。
 ヴィクトリアは、ついに王族としてレイに会えると歓喜していた。
 暇を見つけては俺たちの部屋に来て、お茶会を楽しむヴィクトリア。
 もちろんファステルも一緒だ。

 そして世界会議ログ・フェス開催日を迎えた。
 世界会議ログ・フェスは公平を期するために、出席者は各国三人までと決められている。
 参加国は現加盟国の七カ国と、俺たちのラルシュ王国だ。

 ◇◇◇

 エマレパ皇国
 皇帝 宰相 皇軍大将軍

 イーセ王国
 女王 宰相 騎士団団長

 フォルド帝国
 皇帝 宰相 騎士団団長

 クリムゾン王国
 国王 宰相 騎士団団長

 ジェネス王国
 国王 王妃 宰相

 エ・ス・ティエリ大公国
 大公 騎士団団長 大司教

 デ・スタル連合国
 国王 宰相 騎士団団長

 ラルシュ王国
 国王 王妃 宰相
 
 ◇◇◇

 議長は開催国でもあるエマレパ皇国が担当。
 つまり皇帝キルスだ。

 今回は臨時世界会議ログ・フェスのため、議題は全てラルシュ王国に関する内容だ。
 最初の議題はラルシュ王国の建国可否について。
 最も難航されると思った建国だが、三カ国の承認があれば建国を認めるというルールの元、イーセ、フォルド、エマレパの三カ国が承認したためスムーズに可決。
 我々ラルシュ王国の建国が承認された。
 俺は全員に感謝を述べる。

「建国の承認、誠にありがとうございます。世界の平和と発展に貢献できるよう努めてまいります」
「何を仰るのやら。アル陛下はすでに平和に貢献してますわ? 竜種ヴェルギウスを討伐して、イーセ王国を救ってくださったもの」

 ヴィクトリアが発言した。

「フォルド帝国もダーク・ゼム・イクリプスを討伐していただいたしのう。随分と助けられたものじゃ」

 フォルド帝国のシルヴィア皇帝だ。
 フォルド帝国は初代皇帝が女性だったこともあり、代々女性が皇帝を努めている。
 皇帝は妖艶な笑みを浮かべていた。

 そして、キルスが挙手。
 
「それに関連した話なのですが、マルソル内海に生息する竜種ルシウスの活動が確認されたことは皆様御存知でしょう」
「そうじゃ。我がクリムゾンも無関係ではないぞ。どうするのじゃ」

 クリムゾン王国の老王であるロート陛下が、白い顎髭を触っている。
 キルスが大きく息を吸う。

「皆様、竜種ルシウスは、すでにラルシュ王国アル陛下が討伐されました。私も討伐を確認しております」
「と、討伐? な、なんじゃと! あ、あり得んじゃろ!」
「はい、そのあり得ないことが起こったのです」

 会議場の空気が固まったかのように皆言葉を失っていた。
 ヴィクトリアは両手を口に当て驚いている。
 その横に座る騎士団団長のジル・ダズは、両目を見開いて俺を見ていた。

 だが、デ・スタル連合国の老宰相だけは口元が笑っていることに気付く。
 レイもその様子に気付いた様子だった。

 ◇◇◇

 世界会議ログ・フェス開催直前、キルスが俺に話しかけてきた。

「アルよ。デ・スタル連合国に気をつけろ。あそこは勢力争いが強く主権国家が頻繁に変わるのだ。今はメルデスが主権を握っている。デ・スタル連合国でもっとも危険な国だ。まあレイが詳しいと思うがな」
「デ・スタル連合国が危険?」

 レイが俺の肩を軽く叩いてきた。

「デ・スタル連合国には黒い噂がつきまとうわ。そしてその中でもメルデスが最も過激と言われてるの。以前イーセ王国に進出しようとした犯罪組織は、メルデスが母体になっている可能性が高いのよ」
「そ、それって犯罪国家ってこと?」
「まあそうなるわね。でも確証がないのよ。調査に送って帰ってきた者がいないから……」
「それって……」
「警戒が強くて慎重なのよ。息のかかった犯罪組織を潰しても、メルデスまでは辿り着けないわ」
「分かった。注意するよ」

 ◇◇◇

 ざわつく会場をキルスが制する。

「皆様、今回の討伐は内海での出来事。どの国の領地にも属していない領域のため、ルシウスの素材はラルシュ王国の所有となります。このルールは覆りません」

 キルスの発言もあり、各国がルシウス素材の所有を認めてくれた。
 まず一つ目のミッションクリアだ。
 続いて領土について主張する。

「ラルシュ王国の領土に関しては、アフラ火山とその麓の都市アフラを主張します」
「それは軽い空気も含めてですかな?」

 デ・スタル連合国の若い国王が発言した。

「仰る通りです。国家の資源は国家の資産。これは世界の理と条約ログ・ロックで定められてます。この領地はすでに私の管理地として認められておりますし、それをもって建国しております。宣言書にも記載があります」
「その点は問題ございませぬ。どうせ入手しても我々では飛空船は作れぬでしょう」

 意味深な言葉と、含みをもたせたような笑顔を見せる若い国王。
 だが、どうやら隣に座る老宰相に操られているような印象を受ける。

 結局ラシュア王国の領土は、アフラ火山から隣接する国家の国境までという、かなり広大な土地が認められた。
 これで最後に残った議題は飛空船だ。

「空の移動はまさに革命です。例えばイーセ王国の王都からフォルド帝国の帝都を街道で移動すると、馬車でも最短で四十日かかります。ですが飛空船なら四日で移動可能なのです」

 会場がざわつく。

 旅する宮殿ヴェルーユは昼夜問わず飛行が可能なため、一日二千キデルトの移動が可能となる。
 だが、実際に販売する飛空船は夜間飛行ができない。
 そのため、大型の飛空船は一日五百キデルト、中型や小型船で一日三百キデルトの移動距離を想定していた。

 すると、クリムゾン王国のロートが挙手。

「それは領土を超えて飛行するということじゃろ?」
「仰る通りです」
「現在は出入国を厳しく取り締まっておる。空だと取り締まりできないじゃろ?」
「その対策も講じます。シド宰相」
「ハッ!」

 シドが立ち上がる。

「飛空船については私からご説明します」
「なんじゃシド殿。お主が一国の宰相になったのは本当なんじゃな」
「仰る通りですロート陛下。今後はラルシュ王国の臣下として働きます」
「信じられぬが、まずは就職を祝おうぞ。ふぉっふぉっ」

 さすが各国の君主と面識のあるシドだ。
 気難しそうなクリムゾン国王とも気軽に話している。

「飛空船を導入される国は、新たに設立する航空連盟に加入していただきます。連盟国間であれば往来は自由とします。出入国の取り締まりに関しては、空港を作り、乗船時に現在の国境と同じ審査を行います。その際、通行税も徴収します」

 全員がシドの話を真剣に聞いている。
 特にクリムゾン国王ロートは興味津津という印象だ。
 続いて、エ・ス・ティエリ大公国の大公が挙手。

「航空連盟に加盟の際は料金が発生するのですか?」
「加盟は無料ですし、取りまとめる組織はこちらで編成します」
「貿易や通信にも革命が起こるということですな?」
「左様でございます。現在の手紙は大鋭爪鷹ハーストが運ぶので速さはありますが、飛空船の場合は人が移動できます。より確実に、より正確に情報を伝えることができます。貿易も迅速かつ大量に輸送することができます。新鮮な食材も輸送できるでしょう」
「なるほど。まさに革命ですな」

 細かいところはこれから詰めることにはなるが、概ね好評で、全ての国が航空連盟へ加入することになった。
 それはラルシュ工業の飛空船製造が、本格的に稼働することを意味する。
 忙しくなるだろう。

 これで今回の世界会議ログ・フェスは終了。
 俺たちの要望は全て承認され大成功を収めた。
 実はもっと怒号が飛び交ったり揉めると思っていたので、正直安堵している。

「ふふふ。国家の会議でそんなことは滅多に起こらないわよ。あなたどんな想像していたの?」
「あ、いや、海千山千の王たちだからさ。認めん! とか言われるのかなあって」

 そこで俺はスムーズに進んだ理由を思いついた。

「あ、そうか! レイやシドという世界的な知名度と経歴を誇る二人がいたからだ」
「ふふふ、何言ってるの。違うわよ。アルの影響に決まってるでしょう」
「え? な、なんで俺? ただの鉱夫だよ?」
「今のあなたは人類初の竜種二体殺しですもの。どの国もアルの言うことは聞くわよ。ふふふ」

 レイが笑っていた。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。

水定ゆう
ファンタジー
 村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。  異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。  そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。  生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!  ※とりあえず、一時完結いたしました。  今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。  その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。

追放された最強ヒーラーは、美少女令嬢たちとハーレム生活を送る ~公爵令嬢も義妹も幼馴染も俺のことを大好きらしいので一緒の風呂に入ります~

軽井広@北欧美少女 書籍化!
ファンタジー
白魔道師のクリスは、宮廷魔導師団の副団長として、王国の戦争での勝利に貢献してきた。だが、国王の非道な行いに批判的なクリスは、反逆の疑いをかけられ宮廷を追放されてしまう。 そんなクリスに与えられた国からの新たな命令は、逃亡した美少女公爵令嬢を捕らえ、処刑することだった。彼女は敵国との内通を疑われ、王太子との婚約を破棄されていた。だが、無実を訴える公爵令嬢のことを信じ、彼女を助けることに決めるクリス。 クリスは国のためではなく、自分のため、そして自分を頼る少女のために、自らの力を使うことにした。やがて、同じような境遇の少女たちを助け、クリスは彼女たちと暮らすことになる。 一方、クリスのいなくなった王国軍は、隣国との戦争に負けはじめた……。

隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜

桜井正宗
ファンタジー
 能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。  スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。  真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。

荷物持ちを追放したら、酷い目にあった件について。

しばたろう
ファンタジー
無能だと思い込み、荷物持ちのレンジャーを追放した戦士アレクス。 しかし―― 彼が切り捨てた仲間こそが、 実はパーティを陰で支えていたレアスキル持ちだった。 事実に気づいた時にはもう遅い。 道に迷い、魔獣に襲われ、些細な任務すらまともにこなせない。 “荷物持ちがいなくなった瞬間”から、 アレクスの日常は静かに崩壊していく。 短絡的な判断で、かけがえのない存在を手放した戦士。 そんな彼と再び肩を並べることになったのは―― 美しいのに中二が暴走する魔法使い ノー天気で鈍感な僧侶 そして天性の才を秘めた愛くるしい弟子レンジャー かつての仲間たちと共に、アレクスはもう一度歩き出す。 自らの愚かさと向き合い、後悔し、懺悔し、それでも進むために。 これは、 “間違いを犯した男が、仲間と共に再び立ち上がる” 再生の物語である。 《小説家になろうにも投稿しています》

復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜

サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」 孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。 淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。 だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。 1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。 スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。 それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。 それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。 増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。 一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。 冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。 これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

チート魅了スキルで始まる、美少女たちとの異世界ハーレム生活

仙道
ファンタジー
リメイク先:「視線が合っただけで美少女が俺に溺れる。異世界で最強のハーレムを作って楽に暮らす」  ごく普通の会社員だった佐々木健太は、異世界へ転移してして、あらゆる女性を無条件に魅了するチート能力を手にする。  彼はこの能力で、女騎士セシリア、ギルド受付嬢リリア、幼女ルナ、踊り子エリスといった魅力的な女性たちと出会い、絆を深めていく。

処理中です...