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第十一章
第178話 卒業
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暴王竜に襲われるも無事に討伐。
それどころか、対ヴェルギウス用の作戦を試すことができた。
実戦で感触を掴めたことは大きな収穫だった。
ティラキノクスの死骸に腐肉を漁るモンスターが寄ってくるため、数キデルト離れ改めてキャンプを張る。
夕食はティラキノクスのステーキと野菜のシチューだ。
オルフェリアが調理してくれた。
「オルフェリア。ティラキノクスのステーキはヤバいね。とても美味しいよ」
巨体を支える筋肉は、持久力と瞬発力を持っているそうだ。
そのため脂身は少ない上に、赤桃色のとても柔らかい肉だった。
「以前食べた猛火犖のステーキも美味かったけど、ちょっと格が違うな。こんなに美味い肉は初めてかも……」
イーセ王国出身の俺はモンスター食の文化がない。
しかし、最近は慣れてきた。
それどころか、好物の一つになっているほどだ。
「オルフェリアがモンスター料理のレストランを開いたら、絶対に繁盛するよ」
「まあアルったら。フフ、ありがとうございます。そしたら素材はアルとレイが獲ってくるんですよ?」
「ハッハッハ、我々でレストラン経営もいいな」
「ふふふ。シド、あなたに接客なんてできないでしょ」
「ウォンウォン!」
「何? エルウッドは食べるだけだと? ハッハッハ」
こんなキャンプ地でも、オルフェリアが作る料理は驚くほど美味い。
食事を楽しみ全員で片付け。
そして寝台のテーブルで食後の珈琲を飲む。
シドが少し真剣な表情で、手に持つ珈琲カップを見つめていた。
「君たちにとってAランクモンスターはもう敵ではない。本当に凄いことなんだが……冒険者ギルドとしては困るんだ」
「どうして?」
「ギルドの成り立ちは知っているだろう? 当時、と言っても千年前だが、強い自警団や自治体に金を払って討伐や警備を依頼していた。その仲介を始めたのがギルド誕生のきっかけだ」
「ああ、知ってるよ」
「なぜ高い金を払って強い者たちに依頼していたと思う?」
「確実に討伐できるし、信頼できるからでしょ?」
「うむ、その通りだ。では今の君たちはどうだ? 頂点であるAランクモンスターですら確実に討伐できるのだ。信頼という観点からも、君たちに依頼が集中するだろう? もし他のパーティーが狩猟や討伐を失敗したら、アルにやらせろとクレームが来るようになる。飛び抜けて強いというのは、冒険者ギルドのような組織にとってマイナスなんだ」
シドが珈琲を口に含む。
「ランク制というものは強さの目安だけではない。強さを均一にするという役割もあるのだ。だが君たちは、Aランクの冒険者の中でも突出して強くなりすぎた。だから君たちのためにSランクを作った。しかしそれすらもう限界だ」
周辺にいる夜鈴虫の美しい声が、寝台の中まで鳴り響く。
「……君たちはそろそろギルドを卒業しなければならないな」
「な、なんで!」
「冒険者ギルドとしては、もはや君たちの存在は手に余る」
レイは納得しているように、瞳を閉じて話を聞いている。
オルフェリアは俺と同じように驚いていた。
「それに、君たちにとっても冒険者ギルドのクエストは意味がない。金を稼ぐ意味も、Aランクモンスターを狩る意味もない。だってそうだろう? すでに一生遊んで暮らしていけるほどの莫大な金貨を持ち、武具はネームドどころか、竜種の素材をも使用している。名誉も名声だってある。ギルドのクエストでこれ以上何を望むというのだ」
俺は何も言い返せなかった。
「アルとレイは将来を考えるべきだな」
俺たちの存在がギルドにとって悪影響になるのであれば、離れることも考えなければならない。
シドの言葉が心に突き刺さった。
しかし今の俺は、将来について何も考えていない。
元々俺は冒険者として活動し、レイと世界を見て回ることが夢だった。
今その夢を叶えている最中だと思っている。
世界は広い。
まだまだ旅は続けたい。
「次の目標なんて……まだ分からない」
俺は呟きながら就寝した。
――
翌日、日の出前に起床。
空はまだ暗い。
俺の見張りの番だ。
「うぅ、早朝は寒いな」
キャラバンの見張り台へ移動。
「レイおはよう。交代するよ」
「おはようアル。寒いから気をつけてね」
「ああ、ありがとう」
「ねえアル? 昨日シドが言ったことを気にしてるでしょう? 大丈夫よ、時間はあるもの。焦らないで」
レイには何でもお見通しだった。
「レイには敵わないな」
「ふふふ、いいのよ。ゆっくり考えましょう」
レイと見つめ合う。
引き寄せられるお互いの唇。
「アルの唇が温かいわ」
「レイだって」
もう一度キスした。
「じゃあアル。おやすみ」
レイが名残惜しそうに寝台へ戻ろうとする。
「ん?」
「どうしたのアル?」
「……やはり気配を感じるんだ」
「気配って。昨日暴王竜は狩猟したじゃない」
「そうなんだけど……違うのかもしれない」
俺は周囲を観察。
地平線の彼方、日が出る方角が漆黒の闇から僅かに赤みを帯び始めた。
夜明けを迎える暁闇だ。
「影? い、いや、モンスターか?」
「え? 何も見えないけど」
俺は日の出の方角を凝視。
「レイ! モンスターだ! 皆を起こしてくれ」
「分かったわ!」
俺は見張り台から飛び降りた。
レイは一旦寝台に入り、そして真紅の細剣を持って寝台から飛び出す。
エルウッドが続く。
俺は荷台から黒爪の剣、真紅のツルハシ、ヴェルギウスの弓と矢を取り出す。
シドとオルフェリアは寝台から見張り台へ移動。
「シド、日の出の方角だ! 指示を出してくれ!」
「分かった! 任せろ!」
それどころか、対ヴェルギウス用の作戦を試すことができた。
実戦で感触を掴めたことは大きな収穫だった。
ティラキノクスの死骸に腐肉を漁るモンスターが寄ってくるため、数キデルト離れ改めてキャンプを張る。
夕食はティラキノクスのステーキと野菜のシチューだ。
オルフェリアが調理してくれた。
「オルフェリア。ティラキノクスのステーキはヤバいね。とても美味しいよ」
巨体を支える筋肉は、持久力と瞬発力を持っているそうだ。
そのため脂身は少ない上に、赤桃色のとても柔らかい肉だった。
「以前食べた猛火犖のステーキも美味かったけど、ちょっと格が違うな。こんなに美味い肉は初めてかも……」
イーセ王国出身の俺はモンスター食の文化がない。
しかし、最近は慣れてきた。
それどころか、好物の一つになっているほどだ。
「オルフェリアがモンスター料理のレストランを開いたら、絶対に繁盛するよ」
「まあアルったら。フフ、ありがとうございます。そしたら素材はアルとレイが獲ってくるんですよ?」
「ハッハッハ、我々でレストラン経営もいいな」
「ふふふ。シド、あなたに接客なんてできないでしょ」
「ウォンウォン!」
「何? エルウッドは食べるだけだと? ハッハッハ」
こんなキャンプ地でも、オルフェリアが作る料理は驚くほど美味い。
食事を楽しみ全員で片付け。
そして寝台のテーブルで食後の珈琲を飲む。
シドが少し真剣な表情で、手に持つ珈琲カップを見つめていた。
「君たちにとってAランクモンスターはもう敵ではない。本当に凄いことなんだが……冒険者ギルドとしては困るんだ」
「どうして?」
「ギルドの成り立ちは知っているだろう? 当時、と言っても千年前だが、強い自警団や自治体に金を払って討伐や警備を依頼していた。その仲介を始めたのがギルド誕生のきっかけだ」
「ああ、知ってるよ」
「なぜ高い金を払って強い者たちに依頼していたと思う?」
「確実に討伐できるし、信頼できるからでしょ?」
「うむ、その通りだ。では今の君たちはどうだ? 頂点であるAランクモンスターですら確実に討伐できるのだ。信頼という観点からも、君たちに依頼が集中するだろう? もし他のパーティーが狩猟や討伐を失敗したら、アルにやらせろとクレームが来るようになる。飛び抜けて強いというのは、冒険者ギルドのような組織にとってマイナスなんだ」
シドが珈琲を口に含む。
「ランク制というものは強さの目安だけではない。強さを均一にするという役割もあるのだ。だが君たちは、Aランクの冒険者の中でも突出して強くなりすぎた。だから君たちのためにSランクを作った。しかしそれすらもう限界だ」
周辺にいる夜鈴虫の美しい声が、寝台の中まで鳴り響く。
「……君たちはそろそろギルドを卒業しなければならないな」
「な、なんで!」
「冒険者ギルドとしては、もはや君たちの存在は手に余る」
レイは納得しているように、瞳を閉じて話を聞いている。
オルフェリアは俺と同じように驚いていた。
「それに、君たちにとっても冒険者ギルドのクエストは意味がない。金を稼ぐ意味も、Aランクモンスターを狩る意味もない。だってそうだろう? すでに一生遊んで暮らしていけるほどの莫大な金貨を持ち、武具はネームドどころか、竜種の素材をも使用している。名誉も名声だってある。ギルドのクエストでこれ以上何を望むというのだ」
俺は何も言い返せなかった。
「アルとレイは将来を考えるべきだな」
俺たちの存在がギルドにとって悪影響になるのであれば、離れることも考えなければならない。
シドの言葉が心に突き刺さった。
しかし今の俺は、将来について何も考えていない。
元々俺は冒険者として活動し、レイと世界を見て回ることが夢だった。
今その夢を叶えている最中だと思っている。
世界は広い。
まだまだ旅は続けたい。
「次の目標なんて……まだ分からない」
俺は呟きながら就寝した。
――
翌日、日の出前に起床。
空はまだ暗い。
俺の見張りの番だ。
「うぅ、早朝は寒いな」
キャラバンの見張り台へ移動。
「レイおはよう。交代するよ」
「おはようアル。寒いから気をつけてね」
「ああ、ありがとう」
「ねえアル? 昨日シドが言ったことを気にしてるでしょう? 大丈夫よ、時間はあるもの。焦らないで」
レイには何でもお見通しだった。
「レイには敵わないな」
「ふふふ、いいのよ。ゆっくり考えましょう」
レイと見つめ合う。
引き寄せられるお互いの唇。
「アルの唇が温かいわ」
「レイだって」
もう一度キスした。
「じゃあアル。おやすみ」
レイが名残惜しそうに寝台へ戻ろうとする。
「ん?」
「どうしたのアル?」
「……やはり気配を感じるんだ」
「気配って。昨日暴王竜は狩猟したじゃない」
「そうなんだけど……違うのかもしれない」
俺は周囲を観察。
地平線の彼方、日が出る方角が漆黒の闇から僅かに赤みを帯び始めた。
夜明けを迎える暁闇だ。
「影? い、いや、モンスターか?」
「え? 何も見えないけど」
俺は日の出の方角を凝視。
「レイ! モンスターだ! 皆を起こしてくれ」
「分かったわ!」
俺は見張り台から飛び降りた。
レイは一旦寝台に入り、そして真紅の細剣を持って寝台から飛び出す。
エルウッドが続く。
俺は荷台から黒爪の剣、真紅のツルハシ、ヴェルギウスの弓と矢を取り出す。
シドとオルフェリアは寝台から見張り台へ移動。
「シド、日の出の方角だ! 指示を出してくれ!」
「分かった! 任せろ!」
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