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第二話 わがままなブレイク
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その翌日の朝から、彼はやせ衰えた老人の外見とは裏腹に、よく食べ、よく寝て、巡礼者向けに出される毎度の食事では飽き足らず、イザベラの分も寄越せといい、腹を満たしていた。
亡夫の死に顔をそっと撫でながら、呆れた声でイザベラはささやいてやる。
それは新婚の夫婦のように、優しい愛に溢れたささやきだった。
「あなた、子ドラゴンのように食欲旺盛で……。本当に可愛い人だった。あのころは憎たらしくて仕方なかったけれど。でも、いい思い出ね」
いま彼はもうここにはおらず、女神がいるだろうあちらの世界へと逝ってしまった。
一人残された辺境伯夫人は、ほう、と溜息をもらす。
辺境伯の城がある北の地方は、冬を迎えると温暖な王都とは違い、骨身に染みるまで寒さがしんしんと押し寄せて来る。
遺体を安置している城内に設けられた女神を祀る分神殿は天井が高く、広い空間の中にあるからさらに寒さも深まり、石壁がこれほど憎らしいと思うことはなかった。
腹の芯まで底冷えするのは、夜を迎えようとしているからだろう。
夕方だったはずの窓の外には大きく丸い銀月が浮かんで見える。
夫に最後のわかれを果たすと、イザベラは彼の遺体が納められている棺桶の蓋をそっと閉じた。
黒松を使った豪華なそれは、漆黒と黄金に彩られた、上級貴族の永遠の寝床として相応しいものだ。
窓から差し込んでくる月光がたまたま棺桶の金属部分に反射して、磨き抜かれた鏡のようなそこにイザベラの姿を映し出す。
夜の闇よりも黒く艶やかな腰ほどまである黒髪に、深い苔色の瞳。
双眸は切れ長で狼のよう。豊かな二重の上に長い睫毛が哀愁漂う目元を隠している。
今夜の彼女はダークグレーの喪服を着ていて、豊満な肢体は幾重にも重ねた冬着の上からでも見て取れるようだった。
少年のような肢体だ、とからかわれた二年前は栄養が足らず、結婚してからの食事は栄養が豊富で、いつの間にか
イザベラの肉体はいつの間にか本来の美しさを取り戻していた。
懐かしい。
あのころに戻れるものなら、戻ってしまいたい。
ブレイクのしわがれた低いドスの効いた声で「愛することはない」なんて思いとは裏腹の言葉を聞いたときの、自分がああ、そうなんだと素直に納得したことが今でもおかしくて思い返しては、苦笑してしまう。
夫は世間からは嫌われていたが、わたしには満足な愛を注いでくれた。
ただ、唯一の悲しみとしては、二人の間に子供ができなかったことだけだ。
そして、彼の後継者となるべき人物は……生前、結婚するまでに四度の離婚を繰り返した彼には、子供がいなかった。
このままでは辺境伯家は北の結界を管理するという役割を果たせず、他の貴族に領地と地位を奪われて終わってしまうだろう。
ブレイクの愛したこの領地、この領民、そして、彼の生きた証である辺境伯家。
それらを残すためにいま自分ができることは何だろうか?
イザベラは侍女が暖炉に灯してくれた火が室内を暖めていくなかで、静かに思考を深めていく。生前の彼ならば、どうしただろうか? なぜか思い出したのは、食事が足らないと要求する、助けた二年前の彼の姿だった。
「おい娘!」
後ろからぶしつけな声が聞こえた。
狭い部屋の中だ。
一人で暮らすには問題ないが、二人だとさすがに手狭に感じる。
そんな室内で、彼女を呼ぶ声は年老いた老人のもので低く、神経質なドスが効いていた。
彼の声は何度耳にしても心に陰気を覚える。
部屋の主、イザベラが神殿に勤務する巫女見習いでなければ、たちどころに追い出してしまうくらい傲慢な物言いだ。
「なによ、じーさん」
振り返ると、少女の苔色の瞳に、大柄な男性が映り込む。
白髪で、鋭い目つきを生みだすアイスブルーの瞳は酷薄そうに見えた。
「飯が足りん! この年寄りを飢え死にさせる気か?」
「なにが飢え死によ? ただ飯喰らいの癖に……なんでこんなの、助けたんだろ」
彼の背は年齢の割に曲がっておらず元気そのものだと、イザベラは目を半分にする。
老人のおかわりの催促は毎度のことで、もうかれこれ十日ほどその我が儘を許してきたが、そろそろ我慢の限界だった。
「ここは神殿だろうが。旅の巡礼者に対して何たる口の利き方だ。女神ラーダも悲しんでおられるぞ」
「確かにここは女神様の神殿だけど! あんたの寝てる部屋はわたしの部屋なの! なにが旅の巡礼者よ、単なる行き倒れの癖に」
まったく、誰の好意で寝泊まりできる場所が用意されたと思っているのか。
彼の感謝の無さに、イザベラは片頬を怒りでヒクつかせる。
老人の態度は尊大で、ガラスのような瞳には感謝の欠片も、感じられない。
イザベラは腰に手を当てて「ご飯のお代わりはありません!」と怒りを控え目にして叫ぶ。
そこに映るイザベラは少年のように細く華奢な体躯をしていて、濡れ羽のように艶やかな黒髪は耳程までしかなく、左目は蜂にでもさされたように、醜く腫れあがっていた。
「なんじゃい、そこにあるだろうが。ほれ、そこ」
「そこ? これはあたしの食事よ! また奪う気なの?」
ブレイクと名乗った老人は、それでも遠慮しようとはしない。
あるなら寄越せ、と言いたそうに節くれだった片手を、ぐいっと突き出して無言の要求をする。
まるで神殿で飼っている竜の子供が催促するような、押しの強い、ぐいっ、だった。
亡夫の死に顔をそっと撫でながら、呆れた声でイザベラはささやいてやる。
それは新婚の夫婦のように、優しい愛に溢れたささやきだった。
「あなた、子ドラゴンのように食欲旺盛で……。本当に可愛い人だった。あのころは憎たらしくて仕方なかったけれど。でも、いい思い出ね」
いま彼はもうここにはおらず、女神がいるだろうあちらの世界へと逝ってしまった。
一人残された辺境伯夫人は、ほう、と溜息をもらす。
辺境伯の城がある北の地方は、冬を迎えると温暖な王都とは違い、骨身に染みるまで寒さがしんしんと押し寄せて来る。
遺体を安置している城内に設けられた女神を祀る分神殿は天井が高く、広い空間の中にあるからさらに寒さも深まり、石壁がこれほど憎らしいと思うことはなかった。
腹の芯まで底冷えするのは、夜を迎えようとしているからだろう。
夕方だったはずの窓の外には大きく丸い銀月が浮かんで見える。
夫に最後のわかれを果たすと、イザベラは彼の遺体が納められている棺桶の蓋をそっと閉じた。
黒松を使った豪華なそれは、漆黒と黄金に彩られた、上級貴族の永遠の寝床として相応しいものだ。
窓から差し込んでくる月光がたまたま棺桶の金属部分に反射して、磨き抜かれた鏡のようなそこにイザベラの姿を映し出す。
夜の闇よりも黒く艶やかな腰ほどまである黒髪に、深い苔色の瞳。
双眸は切れ長で狼のよう。豊かな二重の上に長い睫毛が哀愁漂う目元を隠している。
今夜の彼女はダークグレーの喪服を着ていて、豊満な肢体は幾重にも重ねた冬着の上からでも見て取れるようだった。
少年のような肢体だ、とからかわれた二年前は栄養が足らず、結婚してからの食事は栄養が豊富で、いつの間にか
イザベラの肉体はいつの間にか本来の美しさを取り戻していた。
懐かしい。
あのころに戻れるものなら、戻ってしまいたい。
ブレイクのしわがれた低いドスの効いた声で「愛することはない」なんて思いとは裏腹の言葉を聞いたときの、自分がああ、そうなんだと素直に納得したことが今でもおかしくて思い返しては、苦笑してしまう。
夫は世間からは嫌われていたが、わたしには満足な愛を注いでくれた。
ただ、唯一の悲しみとしては、二人の間に子供ができなかったことだけだ。
そして、彼の後継者となるべき人物は……生前、結婚するまでに四度の離婚を繰り返した彼には、子供がいなかった。
このままでは辺境伯家は北の結界を管理するという役割を果たせず、他の貴族に領地と地位を奪われて終わってしまうだろう。
ブレイクの愛したこの領地、この領民、そして、彼の生きた証である辺境伯家。
それらを残すためにいま自分ができることは何だろうか?
イザベラは侍女が暖炉に灯してくれた火が室内を暖めていくなかで、静かに思考を深めていく。生前の彼ならば、どうしただろうか? なぜか思い出したのは、食事が足らないと要求する、助けた二年前の彼の姿だった。
「おい娘!」
後ろからぶしつけな声が聞こえた。
狭い部屋の中だ。
一人で暮らすには問題ないが、二人だとさすがに手狭に感じる。
そんな室内で、彼女を呼ぶ声は年老いた老人のもので低く、神経質なドスが効いていた。
彼の声は何度耳にしても心に陰気を覚える。
部屋の主、イザベラが神殿に勤務する巫女見習いでなければ、たちどころに追い出してしまうくらい傲慢な物言いだ。
「なによ、じーさん」
振り返ると、少女の苔色の瞳に、大柄な男性が映り込む。
白髪で、鋭い目つきを生みだすアイスブルーの瞳は酷薄そうに見えた。
「飯が足りん! この年寄りを飢え死にさせる気か?」
「なにが飢え死によ? ただ飯喰らいの癖に……なんでこんなの、助けたんだろ」
彼の背は年齢の割に曲がっておらず元気そのものだと、イザベラは目を半分にする。
老人のおかわりの催促は毎度のことで、もうかれこれ十日ほどその我が儘を許してきたが、そろそろ我慢の限界だった。
「ここは神殿だろうが。旅の巡礼者に対して何たる口の利き方だ。女神ラーダも悲しんでおられるぞ」
「確かにここは女神様の神殿だけど! あんたの寝てる部屋はわたしの部屋なの! なにが旅の巡礼者よ、単なる行き倒れの癖に」
まったく、誰の好意で寝泊まりできる場所が用意されたと思っているのか。
彼の感謝の無さに、イザベラは片頬を怒りでヒクつかせる。
老人の態度は尊大で、ガラスのような瞳には感謝の欠片も、感じられない。
イザベラは腰に手を当てて「ご飯のお代わりはありません!」と怒りを控え目にして叫ぶ。
そこに映るイザベラは少年のように細く華奢な体躯をしていて、濡れ羽のように艶やかな黒髪は耳程までしかなく、左目は蜂にでもさされたように、醜く腫れあがっていた。
「なんじゃい、そこにあるだろうが。ほれ、そこ」
「そこ? これはあたしの食事よ! また奪う気なの?」
ブレイクと名乗った老人は、それでも遠慮しようとはしない。
あるなら寄越せ、と言いたそうに節くれだった片手を、ぐいっと突き出して無言の要求をする。
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