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第二部 高校生編
邪神だから名前はアイゲス。多分
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「あんな邪の塊をくっつけられて16年近く童貞を貫き、色々と一皮むけたところでエロステータスも一皮むけさせるよ! ついでにスキルをいくつか上げよう! 詳細な仕様は現地確認、ヨシ!」
「現場猫好きなの?」
「さあね! Good bye~」
*
まさか邪神再臨とは思わなかった。
このチンポで15年以上貞淑を貫いたんだからまあ驚かれるのはわかる。
正直俺も永遠にセックスしてるような人生思い浮かべてたし。
「エロステータスが一皮むける、ねえ」
空が白んでも寝息を立てるなじみに使ってみる。
・・・特に変化は見られない。
「自分に使ってみるとか・・・うわ出たよ」
自分に使おうと思った瞬間自分のエロステータスが出てきた。
大体の数値はバグってるが、これはマジカルチンポの所為だろう。
「二ページ目?」
戦闘用ステータス、と銘打たれたそれはスキルが同名で別の効果のものになっていた。
『手加減』はエロの場合双方の性感を減少させ絶頂出来なくするスキルだが、戦闘の場合自身が死因にならないスキル、になっていた。
他にも触れた部位が性感帯だったかどうかを決めれる『活殺自在』は、攻撃部位が急所であるかどうかを攻撃が成立すると同時に決定できるスキル。
処女に対する催淫効果と性感を十倍にする『一番槍』は、無傷の人間に攻撃したとき負傷を十倍にできるスキル。
そんな感じの世界観にそぐわないスキルがずらっと並んでいた。
実際に効力があるかは知らないが、多分あるのだろう。
なお、ルビについては思い付きで付けただけなので覚える必要はない。
「ん・・・」
くしくしと目を擦りながらなじみが目覚めた。
「あは、ケーくんだ」
パッと笑顔を浮かべるなじみ。
無邪気な笑顔を一瞬浮かべた後、邪気に、いや色気にまみれた笑顔に変わり自分の下腹部を撫でていた。
「ああ・・・感じる。ケーくんの精液、私の子宮の中にたっぷりと・・・」
そんななじみを抱き寄せ、首元に食らいつき思いっきりキスマークを付ける。
「ふあぁぁぁぁああッ」
痛みを感じるだろう行為だというのに、その声色は恍惚に満ち溢れ、絶頂カウントがまた一つ増える。
「ケーくんの、証。私はもうケーくんのもの・・・もうケーくんから絶対逃げられない・・・心も体も完全に支配されて・・・嗚呼、幸せ」
キスマークを付けた部分を撫でながら、なじみはブツブツと呟く。
それだけまた絶頂カウントが一つ増えた。
「なじみ、ごめんな」
「え?」
水差すようで悪いが、俺はなじみに謝らなければならない。
「いや、結局ムードもへったくれもない感じだったし。『全身狂わすほど気持ちよくする』とか言った割にできてないし」
『手加減』スキルの仕様も把握しきってなかったし。これは少し言えないが。
「ケーくんはさ、私との約束破ったことないよね?」
「あ? あー・・・確かにそうかな?」
「そうだよ。私が覚えてる限りは。こうして結局エッチしてくれたし」
「多分だけど前言ってた『合格したら~』ってやつ嘘だろ」
「うん」
「認めるのか・・・」
「もう同じだし。それでね、約束破ったことないんだから『全身狂わすほど気持ちよくする』って約束も、将来果たしてくれるでしょ?」
「・・・ハハ、これは一本取られた」
こんなこと言われたら精進するしかないじゃないか。
相手がなじみしかいないけど。
「あ、でも・・・」
「なんだ?」
「ずっとイケなかったやつ・・・あれはもうやらないで欲しいかな。なんだかケーくんとのエッチが空回りしてる感じがするし、単純にしんどいし気持ち良すぎて辛かったし」
「それはゴメン」
「・・・たまになら、良いけど」
シーツを引き寄せ顔を隠しているが、その顔は真っ赤だ。
「そうだな、たまに、な」
「でも本当にしばらくはやっちゃだめだからね!? 本当に辛いんだもん」
「ハイハイ」
「もー」
しょうがないなぁ、みたいな顔をするがそれ以上は何も言わない。
俺だってわざわざ『手加減』を使うつもりはない。
「あれ、ショーツどこだろ?」
「机の下」
「・・・なーんで知ってるのかなー?」
やってしまった。
余りにも自然に聞かれたものだから自然に返してしまった。
いくら知っていても素知らぬふりを決め込むべきだったのだ。
なじみとはセックスまでしたが、まだ裸を完全にさらすのは抵抗があるようで、起きてからはずっとシーツで体を覆っていた。
ならば下着もあまり見せたいものではないはずだ。愛液塗れのなんか特に。
「いや、なにもやましいことはない。投げ捨てていたのを思い出してその辺の方向にあるだろうとあたりを付けたんだ。というか机の下にあるのか?」
「やましいことがない人は枕詞にやましいことはないって言わないよ。机の下には実際あったけど、絶対見ちゃだめだからね?」
実はなじみが起きる前に確認して、手に取り何なら広げたが、言っても良い事はなさそうだ。
「わざわざ見ないよ。その中身の方が興味あるし」
「それはそれで嬉しい様な恥ずかしい様な・・・でもお気に入りのピンクだったからまだよかったかも」
「あれ、水色じゃ・・・あ」
「大正解だよばーか!!」
なじみの体を覆っていたシーツが俺の全身に襲い掛かり、視界を白一色に染める。
「私が良いっていうまでそのままでいてね!」
「もごふが」
長時間なじみの体を覆っていたからか、若干なじみの良い匂いがする。
結局なじみの許可が下りたのは20分以上後だった。
シーツを剥ぎ取ったら、なじみは俺の部屋着に着替えていて、諸々の残骸は俺が居たベッドを上を除いて大体無くなっていた。
机の下に向けた視線を感知されてジト目を向けられたが。
「8時か・・・」
「8時!? 遅刻するじゃん!」
「今日は土曜日だが」
「あそっかぁ」
一瞬であわてて一瞬で落ち着く。
そんな忙しない動きもなじみがやれば小動物がはしゃいでいるように見えて可愛いのだから、美人とは得である。
よっこら、なんてオヤジ臭い声を上げながら立ち上がる。
「掃除はやってくれたみたいだから、とりあえず朝食をご馳走しよう。確か二人分はあったはずだし」
「あっ待って」
エプロンを取りに台所へ向かうと、なじみが追いかけてきた。
「御飯も私が作るよ」
「え? しかし掃除まで任せちゃったのに・・・」
「いいからいいから。彼女の手料理、食べたくない?」
なじみの手料理を食べたことはある。
しかしいざ『彼女』と強調されると・・・少し楽しみなものもある。
「そういうなら、彼女の手料理、楽しみにしてるよ」
「うん! 任せて!」
元気に言ってくれたが、彼女というフレーズに反応してなじみは少し赤面している。
自爆で手元が少し心配だが、あれでなじみはハイスペックだ。充分にこなすだろう。
俺はなじみがやり残したベッドのシーツを丸ごと洗濯機に入れ、稼働させる。
多分間違っているだろうが、まあ別にいいだろ。この辺の雑さが男の一人暮らしだ。
その他、なじみがこなしていない家事を済ませて戻ると、卓には既に朝食が並べられていた。
なじみが自分の食パンにマーガリンを塗りながら、俺に問う。
「そういえば、ご近所さんとか大丈夫だった?」
「近所?」
「うん、私結構大きい声出したでしょ?」
「ああ、確かに」
「肯定されるとそれはそれで恥ずかしいなー」
まあ、実の所問題ないのである。
俺が引っ越した初日にやったことは全力の防音措置なのだから。
壁も床も天井も防音にした。割と金がかかったが、家でトレーニングなどをすると近所迷惑になるから必要経費だろう。
・・・今思うとどういう技術なんだろうな、アレ。
「だから全く、とはいかないまでも気にならない程度に抑えられてると思うぞ」
ちなみに、『そういう』用途を想定していたことは否定しない。
「なんだ、ケーくんも防音にしてたんだ」
「も?」
「あっ・・・」
なじみはトレーニングだとかはそこまで本格的にやっておらず、それ以外でも騒音被害を想定するレベルのものはない。
「・・・ケーくんとのエッチ目的で敷設しました」
「正直でよろしい」
俺は自分のトーストにかじりつきながら、呟く。
「じゃあ次はなじみの部屋でだな」
「・・・うん、そうしよ」
顔を赤らめ、はにかむなじみは今日も可愛くて。
こっちの口がニヤけるのを抑えきれなかった。
*
「ねーケーくん」
「どしたー?」
朝食を食べ終えての一息。
もはや当然であるかのように俺の部屋に居座るなじみだが、自分の部屋に用件とかないのだろうか。
別に同棲自体は構わないが。
「私思ったより博愛精神って奴があるかも」
「知ってる」
「むっ。そこは『どうした?(イケボ)』って言って話をつなげるところじゃない?」
「そういう迂遠な切り口を面倒くさがるタイプだって知ってるだろ?」
「時々付き合ってくれるじゃん」
「じゃあ今はそういう気分じゃないんだよ。で、どうした?」
「なんだかんだ言いながらちゃんと聞いてくれる辺り大好きだよ」
俺もなじみのことが大好きだよ、と繋げても良かったが、さらに脱線するのでやめておく。
「それで、いきなりどうした?」
「まずケーくんってモテるじゃん?」
「まず、と言われてもその前提を知らんぞ俺は」
スペックが高いのは認めるが、それは目の前にいる人類の到達点みたいなやつと釣り合う人間になろうとした結果こうなっただけだ。
多分邪神のドーピングがあってこの結果になっているのだろうが、ドーピングの有無にかかわらず俺は同じような努力をして、最終的なスペックは同程度になっているだろう。ステ上げの時間を削減してくれた邪神には感謝だ。
「えー・・・それは無理があるよ、あんな露骨に色々反応されといて」
「まあ、その辺の是非は追々決めるとしてだ。それで何がどうなって博愛精神なんて事になるんだ」
傍から聞いていると超理論にしか見えないが。
「ケーくんのお嫁さんって私じゃん?」
「・・・そうだな」
「じゃあ私以外でケーくんのことが好きな人って泥棒猫っていう理論が成立するでしょ?」
「それは・・・する、のか?」
「するの」
「そうか」
そこまで断言されてはしょうがない。
するという前提で話を勧めようじゃないか。
「そういう人たちは、いうなれば馬に蹴られて死んで然るべき存在なわけだけど」
「・・・そうだな」
反論してもなにも良い事はなさそうなので、スルーの方向で。
「でも私はそういう人たちにもちゃんと幸せになって欲しいの」
「なるほど、それで博愛精神だと」
「そういう事」
途中にちょっとアクの強すぎる価値観が垣間見えた気がするが、それでも至った結論はまあ誇れるものだろう。
「それで具体的にどうやって幸せにするか、なんだけど」
ここは重要な所だ。
なにせ具体的な手法が無くてはどんな理想もただの妄想なのだから。
事前の博愛云々を考えると、もっといい相手を見繕うのが妥当なところか。
「全員を寝取られ性癖に調教します」
「色々と待てやコラ」
「現場猫好きなの?」
「さあね! Good bye~」
*
まさか邪神再臨とは思わなかった。
このチンポで15年以上貞淑を貫いたんだからまあ驚かれるのはわかる。
正直俺も永遠にセックスしてるような人生思い浮かべてたし。
「エロステータスが一皮むける、ねえ」
空が白んでも寝息を立てるなじみに使ってみる。
・・・特に変化は見られない。
「自分に使ってみるとか・・・うわ出たよ」
自分に使おうと思った瞬間自分のエロステータスが出てきた。
大体の数値はバグってるが、これはマジカルチンポの所為だろう。
「二ページ目?」
戦闘用ステータス、と銘打たれたそれはスキルが同名で別の効果のものになっていた。
『手加減』はエロの場合双方の性感を減少させ絶頂出来なくするスキルだが、戦闘の場合自身が死因にならないスキル、になっていた。
他にも触れた部位が性感帯だったかどうかを決めれる『活殺自在』は、攻撃部位が急所であるかどうかを攻撃が成立すると同時に決定できるスキル。
処女に対する催淫効果と性感を十倍にする『一番槍』は、無傷の人間に攻撃したとき負傷を十倍にできるスキル。
そんな感じの世界観にそぐわないスキルがずらっと並んでいた。
実際に効力があるかは知らないが、多分あるのだろう。
なお、ルビについては思い付きで付けただけなので覚える必要はない。
「ん・・・」
くしくしと目を擦りながらなじみが目覚めた。
「あは、ケーくんだ」
パッと笑顔を浮かべるなじみ。
無邪気な笑顔を一瞬浮かべた後、邪気に、いや色気にまみれた笑顔に変わり自分の下腹部を撫でていた。
「ああ・・・感じる。ケーくんの精液、私の子宮の中にたっぷりと・・・」
そんななじみを抱き寄せ、首元に食らいつき思いっきりキスマークを付ける。
「ふあぁぁぁぁああッ」
痛みを感じるだろう行為だというのに、その声色は恍惚に満ち溢れ、絶頂カウントがまた一つ増える。
「ケーくんの、証。私はもうケーくんのもの・・・もうケーくんから絶対逃げられない・・・心も体も完全に支配されて・・・嗚呼、幸せ」
キスマークを付けた部分を撫でながら、なじみはブツブツと呟く。
それだけまた絶頂カウントが一つ増えた。
「なじみ、ごめんな」
「え?」
水差すようで悪いが、俺はなじみに謝らなければならない。
「いや、結局ムードもへったくれもない感じだったし。『全身狂わすほど気持ちよくする』とか言った割にできてないし」
『手加減』スキルの仕様も把握しきってなかったし。これは少し言えないが。
「ケーくんはさ、私との約束破ったことないよね?」
「あ? あー・・・確かにそうかな?」
「そうだよ。私が覚えてる限りは。こうして結局エッチしてくれたし」
「多分だけど前言ってた『合格したら~』ってやつ嘘だろ」
「うん」
「認めるのか・・・」
「もう同じだし。それでね、約束破ったことないんだから『全身狂わすほど気持ちよくする』って約束も、将来果たしてくれるでしょ?」
「・・・ハハ、これは一本取られた」
こんなこと言われたら精進するしかないじゃないか。
相手がなじみしかいないけど。
「あ、でも・・・」
「なんだ?」
「ずっとイケなかったやつ・・・あれはもうやらないで欲しいかな。なんだかケーくんとのエッチが空回りしてる感じがするし、単純にしんどいし気持ち良すぎて辛かったし」
「それはゴメン」
「・・・たまになら、良いけど」
シーツを引き寄せ顔を隠しているが、その顔は真っ赤だ。
「そうだな、たまに、な」
「でも本当にしばらくはやっちゃだめだからね!? 本当に辛いんだもん」
「ハイハイ」
「もー」
しょうがないなぁ、みたいな顔をするがそれ以上は何も言わない。
俺だってわざわざ『手加減』を使うつもりはない。
「あれ、ショーツどこだろ?」
「机の下」
「・・・なーんで知ってるのかなー?」
やってしまった。
余りにも自然に聞かれたものだから自然に返してしまった。
いくら知っていても素知らぬふりを決め込むべきだったのだ。
なじみとはセックスまでしたが、まだ裸を完全にさらすのは抵抗があるようで、起きてからはずっとシーツで体を覆っていた。
ならば下着もあまり見せたいものではないはずだ。愛液塗れのなんか特に。
「いや、なにもやましいことはない。投げ捨てていたのを思い出してその辺の方向にあるだろうとあたりを付けたんだ。というか机の下にあるのか?」
「やましいことがない人は枕詞にやましいことはないって言わないよ。机の下には実際あったけど、絶対見ちゃだめだからね?」
実はなじみが起きる前に確認して、手に取り何なら広げたが、言っても良い事はなさそうだ。
「わざわざ見ないよ。その中身の方が興味あるし」
「それはそれで嬉しい様な恥ずかしい様な・・・でもお気に入りのピンクだったからまだよかったかも」
「あれ、水色じゃ・・・あ」
「大正解だよばーか!!」
なじみの体を覆っていたシーツが俺の全身に襲い掛かり、視界を白一色に染める。
「私が良いっていうまでそのままでいてね!」
「もごふが」
長時間なじみの体を覆っていたからか、若干なじみの良い匂いがする。
結局なじみの許可が下りたのは20分以上後だった。
シーツを剥ぎ取ったら、なじみは俺の部屋着に着替えていて、諸々の残骸は俺が居たベッドを上を除いて大体無くなっていた。
机の下に向けた視線を感知されてジト目を向けられたが。
「8時か・・・」
「8時!? 遅刻するじゃん!」
「今日は土曜日だが」
「あそっかぁ」
一瞬であわてて一瞬で落ち着く。
そんな忙しない動きもなじみがやれば小動物がはしゃいでいるように見えて可愛いのだから、美人とは得である。
よっこら、なんてオヤジ臭い声を上げながら立ち上がる。
「掃除はやってくれたみたいだから、とりあえず朝食をご馳走しよう。確か二人分はあったはずだし」
「あっ待って」
エプロンを取りに台所へ向かうと、なじみが追いかけてきた。
「御飯も私が作るよ」
「え? しかし掃除まで任せちゃったのに・・・」
「いいからいいから。彼女の手料理、食べたくない?」
なじみの手料理を食べたことはある。
しかしいざ『彼女』と強調されると・・・少し楽しみなものもある。
「そういうなら、彼女の手料理、楽しみにしてるよ」
「うん! 任せて!」
元気に言ってくれたが、彼女というフレーズに反応してなじみは少し赤面している。
自爆で手元が少し心配だが、あれでなじみはハイスペックだ。充分にこなすだろう。
俺はなじみがやり残したベッドのシーツを丸ごと洗濯機に入れ、稼働させる。
多分間違っているだろうが、まあ別にいいだろ。この辺の雑さが男の一人暮らしだ。
その他、なじみがこなしていない家事を済ませて戻ると、卓には既に朝食が並べられていた。
なじみが自分の食パンにマーガリンを塗りながら、俺に問う。
「そういえば、ご近所さんとか大丈夫だった?」
「近所?」
「うん、私結構大きい声出したでしょ?」
「ああ、確かに」
「肯定されるとそれはそれで恥ずかしいなー」
まあ、実の所問題ないのである。
俺が引っ越した初日にやったことは全力の防音措置なのだから。
壁も床も天井も防音にした。割と金がかかったが、家でトレーニングなどをすると近所迷惑になるから必要経費だろう。
・・・今思うとどういう技術なんだろうな、アレ。
「だから全く、とはいかないまでも気にならない程度に抑えられてると思うぞ」
ちなみに、『そういう』用途を想定していたことは否定しない。
「なんだ、ケーくんも防音にしてたんだ」
「も?」
「あっ・・・」
なじみはトレーニングだとかはそこまで本格的にやっておらず、それ以外でも騒音被害を想定するレベルのものはない。
「・・・ケーくんとのエッチ目的で敷設しました」
「正直でよろしい」
俺は自分のトーストにかじりつきながら、呟く。
「じゃあ次はなじみの部屋でだな」
「・・・うん、そうしよ」
顔を赤らめ、はにかむなじみは今日も可愛くて。
こっちの口がニヤけるのを抑えきれなかった。
*
「ねーケーくん」
「どしたー?」
朝食を食べ終えての一息。
もはや当然であるかのように俺の部屋に居座るなじみだが、自分の部屋に用件とかないのだろうか。
別に同棲自体は構わないが。
「私思ったより博愛精神って奴があるかも」
「知ってる」
「むっ。そこは『どうした?(イケボ)』って言って話をつなげるところじゃない?」
「そういう迂遠な切り口を面倒くさがるタイプだって知ってるだろ?」
「時々付き合ってくれるじゃん」
「じゃあ今はそういう気分じゃないんだよ。で、どうした?」
「なんだかんだ言いながらちゃんと聞いてくれる辺り大好きだよ」
俺もなじみのことが大好きだよ、と繋げても良かったが、さらに脱線するのでやめておく。
「それで、いきなりどうした?」
「まずケーくんってモテるじゃん?」
「まず、と言われてもその前提を知らんぞ俺は」
スペックが高いのは認めるが、それは目の前にいる人類の到達点みたいなやつと釣り合う人間になろうとした結果こうなっただけだ。
多分邪神のドーピングがあってこの結果になっているのだろうが、ドーピングの有無にかかわらず俺は同じような努力をして、最終的なスペックは同程度になっているだろう。ステ上げの時間を削減してくれた邪神には感謝だ。
「えー・・・それは無理があるよ、あんな露骨に色々反応されといて」
「まあ、その辺の是非は追々決めるとしてだ。それで何がどうなって博愛精神なんて事になるんだ」
傍から聞いていると超理論にしか見えないが。
「ケーくんのお嫁さんって私じゃん?」
「・・・そうだな」
「じゃあ私以外でケーくんのことが好きな人って泥棒猫っていう理論が成立するでしょ?」
「それは・・・する、のか?」
「するの」
「そうか」
そこまで断言されてはしょうがない。
するという前提で話を勧めようじゃないか。
「そういう人たちは、いうなれば馬に蹴られて死んで然るべき存在なわけだけど」
「・・・そうだな」
反論してもなにも良い事はなさそうなので、スルーの方向で。
「でも私はそういう人たちにもちゃんと幸せになって欲しいの」
「なるほど、それで博愛精神だと」
「そういう事」
途中にちょっとアクの強すぎる価値観が垣間見えた気がするが、それでも至った結論はまあ誇れるものだろう。
「それで具体的にどうやって幸せにするか、なんだけど」
ここは重要な所だ。
なにせ具体的な手法が無くてはどんな理想もただの妄想なのだから。
事前の博愛云々を考えると、もっといい相手を見繕うのが妥当なところか。
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