【改稿版・完結】その瞳に魅入られて

おもち。

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本編

第二十七話 突然の知らせ④

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 それぞれが執務室のソファーに着席したタイミングで、私は娘の事、そしてあの子が残した手紙の一件を彼らに伝えた。
 
「今日集まってもらったのは我が娘……アリアの事だ」
「侯爵、アリアがどうかしたのですか?」
「……先日、アリアが亡くなった」
「……は?」
「まぁ!どうして突然?」
「詳しい死因はここでは伏せさせてもらう。アリアが二人に手紙を残していたので、今日はそれを渡す為にここに集まってもらったんだ」
「……そんな、嘘だ。これは何かの冗談でしょう!?」
 
 そう言ってアイザックは悲痛な表情を作り、叫び声を上げながらソファーから勢い良く立ち上がった。
 
「座りなさいアイザック。ひとまず娘からの手紙の内容を確認してほしい」
 
 私にそう言われアイザックは、ブツブツと「嘘だ」、「そんなはずはない」と独り言を言いながらも一旦静かにソファーへ着席した。

 そして、二人は静かに娘からの手紙を開封し中を確認していた。
 手紙を読んだ二人の態度はやはり対照的なものだった。

 アイザックに関しては真っ青を通り越し紙のような白さの顔色で「そんな……違う、違うんだ」とそれだけを呟いていた。
 対するエミリーは従姉妹の死を悲しんでいる素振りはあるが、やはり喜びを隠しきれていない表情だった。

 その対照的な二人を見て、私の中に芽生えた違和感は更に大きくなっていった。

「君達は愛し合っているのだろう?」
「……っがう」
「あの婚約の日娘を大事にすると言ったお前を信じた私が馬鹿だった」
「違う!!私はアリアを、アリアだけを愛してます、この女じゃない!!」
「黙れ!!娘を本当に愛しているなら、何故他の女を抱きしめ愛を囁いたりしたんだ!」
「あ、あれはエミリー嬢がしつこく言い寄ってきて……だから早く帰って欲しくて……」
「アイザック、お前には心底失望したよ」
「私が愛しているのは今も昔も、この先もずっとずっとアリアだけですっ」
「……さっきから一体何を言っているの?」

 それまでずっと沈黙していたエミリーは、この場にそぐわない心底不思議そうな表情でアイザックを見つめていた。
 
「アイザック様が愛してるのはこの私でしょう?なのにどうしてさっきからおかしな言葉が聞こえてくるの?」
「私は君を愛した事は一度もない。あの日だって突然押しかけてきた貴女を一秒でも早く我が家から出ていってもらう為にあんな芝居をしたんだ……そのせいで私は、「違うでしょう?」」
「アイザック様が愛しているのは私でしょう?アリアなんかじゃないわ。あ、叔父様がいるからそんな見え透いた嘘を吐くのね」

 そう言って愛おしそうにアイザックを見つめるエミリーを見て、私は何故か酷く背筋が凍った感覚がした。

 (この少女は一体誰なんだ……?)
 (エミリーはこんなにおかしい子だったか……?)

 目の前で繰り広げられているアイザックとエミリーのやり取りに、私は心の中で答えの出ない問答を繰り返していた。
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