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第2章 悪魔って意味わかんない!
(1)美少女で美少年
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わたし、高坂莉々衣は、悪魔の学校に通うことになりました。お母さんもお父さんも、「お嬢さま学校、いいね、頑張って!」って送り出してくれた。
(さすがに悪魔の学校ってことは、ふたりには内緒だけどね……)
アルカナ学園は寮暮らし。しかもひとり一部屋なんだって。さすがお金持ち。そんなわけで、わたしは実家から寮に引っ越してきた。
今日はいよいよ入学式だ。……悪魔の学校かあ。まだ時々、夢を見てるのかなって思うけど、現実なんだよね。
(そういえば……、あの男の子も、アルカナ学園に通ってたりするのかな)
ふっと思い出す、黒猫を追いかけていた男の子の姿。ロゼの使い魔を捜していたんだし、顔もロゼと似てる。もしかして、兄妹とか?
「リリイ、いまいいかしら? やっと制服が届いたわよ!」
「あ、はーい」
コンコン、とノックの音がして、ロゼが部屋に入ってきた。相変わらず黒髪はさらさらで、ぱっちりした赤いひとみが、かわいい。わたしのご主人さまで……、悪魔の女の子だ。
「制服、間に合ったんだね。よかった」
実は、わたしの入学が突然決まったから、制服の準備ができてなかったんだよ。……よく考えたら、わたしもあのセーラーワンピースを着れるってことなのかな。いかにもお嬢さまって感じの、かわいい制服を、わたしも……!?
「さあリリイ! あなたの執事服よ! 急いで着替えましょ!」
「う、うん!」
どきどきしながら、リリイのもつ制服を受け取ろうとした……んだけど。
――ちょっとまた、トラブルの予感がするんですが。
「えーっと、ごめんロゼ、なんて? ひつじ?」
「羊じゃないわ。し、つ、じ」
執事……って、お嬢さまやお坊ちゃまのお世話をする、男のひとのことだよね? ドラマで執事役をしたアイドルがかっこよかったって、友だちがはしゃいでいたっけ。
「え? 使用人って、執事のことなの?」
「ええ、そうよ。ほら。きっとリリイに似合うわ」
目の前で、ロゼが制服を広げる。それは、真っ黒のスーツみたいな服だった。どう見たって、セーラーワンピースじゃない。……ちょっと待って。
「わたし、女だよ!? 執事が必要なら、男の子連れてこなきゃだめじゃん!」
まさかロゼ、わたしのこと男だと思ってた? いやさすがに、それはないよね……?
「あら、なに言ってるの、リリイ。そんなの、男の子になればいいだけじゃない」
……うん? わたし、まだ寝ぼけてるのかな。変な言葉が聞こえたような気が。
「えっと……ロゼ、何度もごめん。もう一回言ってもらっていい?」
「だから、男の子になってちょうだい。それくらいできるでしょう?」
「で、できないよ……!? なに言ってるの!」
わたしの大声に、ロゼは「え?」と目を瞬いた。
「そうなの? 人間ってそんなこともできないの?」
「当たり前じゃん! なにその、きょとん顔。かわいいけど!」
悪魔と人間の感覚って、だいぶずれてるみたいなんだよね。男になる、なんて。
「あれ、ていうか、その言い方はもしかして……、悪魔は性別を変えられる感じ?」
「ええ、そうよ。わたしは、男の姿になれるけれど……、見たい?」
……見たいかも。性別変えられるってことを、この目で確かめたいし。
「いいわ。見せてあげる」
(さすがに悪魔の学校ってことは、ふたりには内緒だけどね……)
アルカナ学園は寮暮らし。しかもひとり一部屋なんだって。さすがお金持ち。そんなわけで、わたしは実家から寮に引っ越してきた。
今日はいよいよ入学式だ。……悪魔の学校かあ。まだ時々、夢を見てるのかなって思うけど、現実なんだよね。
(そういえば……、あの男の子も、アルカナ学園に通ってたりするのかな)
ふっと思い出す、黒猫を追いかけていた男の子の姿。ロゼの使い魔を捜していたんだし、顔もロゼと似てる。もしかして、兄妹とか?
「リリイ、いまいいかしら? やっと制服が届いたわよ!」
「あ、はーい」
コンコン、とノックの音がして、ロゼが部屋に入ってきた。相変わらず黒髪はさらさらで、ぱっちりした赤いひとみが、かわいい。わたしのご主人さまで……、悪魔の女の子だ。
「制服、間に合ったんだね。よかった」
実は、わたしの入学が突然決まったから、制服の準備ができてなかったんだよ。……よく考えたら、わたしもあのセーラーワンピースを着れるってことなのかな。いかにもお嬢さまって感じの、かわいい制服を、わたしも……!?
「さあリリイ! あなたの執事服よ! 急いで着替えましょ!」
「う、うん!」
どきどきしながら、リリイのもつ制服を受け取ろうとした……んだけど。
――ちょっとまた、トラブルの予感がするんですが。
「えーっと、ごめんロゼ、なんて? ひつじ?」
「羊じゃないわ。し、つ、じ」
執事……って、お嬢さまやお坊ちゃまのお世話をする、男のひとのことだよね? ドラマで執事役をしたアイドルがかっこよかったって、友だちがはしゃいでいたっけ。
「え? 使用人って、執事のことなの?」
「ええ、そうよ。ほら。きっとリリイに似合うわ」
目の前で、ロゼが制服を広げる。それは、真っ黒のスーツみたいな服だった。どう見たって、セーラーワンピースじゃない。……ちょっと待って。
「わたし、女だよ!? 執事が必要なら、男の子連れてこなきゃだめじゃん!」
まさかロゼ、わたしのこと男だと思ってた? いやさすがに、それはないよね……?
「あら、なに言ってるの、リリイ。そんなの、男の子になればいいだけじゃない」
……うん? わたし、まだ寝ぼけてるのかな。変な言葉が聞こえたような気が。
「えっと……ロゼ、何度もごめん。もう一回言ってもらっていい?」
「だから、男の子になってちょうだい。それくらいできるでしょう?」
「で、できないよ……!? なに言ってるの!」
わたしの大声に、ロゼは「え?」と目を瞬いた。
「そうなの? 人間ってそんなこともできないの?」
「当たり前じゃん! なにその、きょとん顔。かわいいけど!」
悪魔と人間の感覚って、だいぶずれてるみたいなんだよね。男になる、なんて。
「あれ、ていうか、その言い方はもしかして……、悪魔は性別を変えられる感じ?」
「ええ、そうよ。わたしは、男の姿になれるけれど……、見たい?」
……見たいかも。性別変えられるってことを、この目で確かめたいし。
「いいわ。見せてあげる」
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