セキワンローキュー!

りっと

文字の大きさ
12 / 60
第一Q 隻腕の単細胞

11

しおりを挟む
 片仮名が多くてすでに覚えられる気がしなかったが、こんなことで弱音を吐いてはいられない。

「そうそう、うちの主要メンバーについても教えるわ。うちのスターティングメンバーは、PG・多田先輩、C・神谷かみや先輩、SG・戸部とべ先輩、PF・岡村おかむら先輩、そしてSFが廉よ」

「ウス、全然わかんねえっす!」

「……そうよね。えっと、今のは簡単に言えばポジションの説明なの。PG、ポイントガードは攻撃の起点でチームの司令塔。SF、スモールフォワードは点取り屋、チームのエース的ポジションよ。SG、シューティングガードは高いシュート力が必要とされるから、3ポイントが上手い人がなることが多いかな。PF、パワーフォワードはリバウンドしつつ点も取らなきゃいけないから、パワフルなプレーが求められるわね。C、センターは守備の要、チームの大黒柱よ。ゴール近くからの得点にも多く絡んでくるわ」

「ま、また片仮名か……! ちなみに俺は、どのポジションになりますかね?」

「そうねえ……上背があるから、無難にいけばPFかCじゃないかしら? ウチはPFの選手層が薄いから、頑張れば試合に出られる可能性が高いわよ」

「パワーフォワード……」

 口に出したところでまだイメージはできないが、試合に出られる可能性が高いというのは魅力的だ。もしスタメンになれるなら、早々に自分を馬鹿にした廉の鼻を明かすことができるだろう。

 雪之丞が廉の方を見ると、彼は腕のストレッチをしながら多田と話をしていた。

「……廉先輩ってスタメンだったんすね。上手いんすか?」

「あー、あんた絡まれてたもんね。ふふ、そうね。あいつが上手いかどうかは、自分の目で確かめてみたら?」

 すでにコートの中ではスタメンで構成されたAチームの五人と、宇佐美が選抜したBチームの五人が対峙していた。両チームで一番背の高い二人がセンターサークルの中心に入り、それ以外のメンバーはサークルの外で見守っている。間もなく試合が始まろうとしているのだ。

「第一クォーター開始のジャンプボールのことを、ティップオフって言うのよ」

 久美子の説明とほぼ同時に、戦いの火蓋は切って落とされた。

 スタメンチームの神谷が叩いたボールを多田が拾って、すぐさま敵陣に侵攻していった。そのまま多田がゴールまでボールを運ぶのかと思ったが、多田は走りながらマークを外した戸部を見逃すことなく、正確なパスを通した。パスを受け取った戸部はレイアップシュートを打ったが――Bチームのセンターが見事なブロックを決め、先制点とはならなかった。

 ボールを拾ったBチームはすぐに反対側のゴールへボールを運び、早くもディフェンスへの切り替えができているスタメンチームの壁を崩そうと、パスを回して攻撃の糸口を探っていた。そうして何度かパスを回している最中、甘く入ってきたパスを戸部がカットした。カウンターだ。両チーム共、再び真逆にあるゴールを目がけてコートを駆けていく。

 ――なんだこれ。速い。速すぎるだろ。

 目の前で行われるスピーディーな攻防に、雪之丞は息をつく暇もなかった。

 マークを振り切った廉にボールが渡ると、Bチームが殺気立った気がした。シュートモーションに入った廉をカバーに入ってきた選手が止めようとしたが、廉が打とうとしたシュートはフェイントだった。ブロックのためにジャンプしてしまい身動きの取れない彼を嘲笑うように、廉は軽くドリブルで躱して打点の高いシュートを放った。

「ナイッシュウ! いいぞ廉!」

 チームメイトから声をかけられても当然だと言わんばかりに喜びを顔に出さなかった廉は、敵に好き勝手な動きをさせない巧みなディフェンスで、マッチアップしていた選手のトラベリングを誘った。

 再びスタメンチームの攻撃だ。多田はセンターラインまでボールを運んでから廉にパスを出した。廉がドリブルで敵を抜こうとすると、先程やられた分を取り戻そうと躍起になっている敵の、腰を低く落としたディフェンスに行く手を遮られた。

 これはパスを出すしかないだろうなと思いながら見ている雪之丞を鼻で笑うように、廉は左足を軸に背中側で反転して敵を巻き込むような動きで華麗に抜き去り、鮮やかにシュートを決めた。

 まるで魔法のようだった。驚いた雪之丞は、興奮気味に久美子に問いかけた。

「な、なんすか!? あのくるって回るヤツは!?」

「バックロールターンね。さすが廉、上手いわあ」

 技名は例のごとくまだ覚えられそうにないが、とにかく廉が見せた一連の動きに魅せられた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

小学生をもう一度

廣瀬純七
青春
大学生の松岡翔太が小学生の女の子の松岡翔子になって二度目の人生を始める話

学園のアイドルに、俺の部屋のギャル地縛霊がちょっかいを出すから話がややこしくなる。

たかなしポン太
青春
【第1回ノベルピアWEB小説コンテスト中間選考通過作品】 『み、見えるの?』 「見えるかと言われると……ギリ見えない……」 『ふぇっ? ちょっ、ちょっと! どこ見てんのよ!』  ◆◆◆  仏教系学園の高校に通う霊能者、尚也。  劣悪な環境での寮生活を1年間終えたあと、2年生から念願のアパート暮らしを始めることになった。  ところが入居予定のアパートの部屋に行ってみると……そこにはセーラー服を着たギャル地縛霊、りんが住み着いていた。  後悔の念が強すぎて、この世に魂が残ってしまったりん。  尚也はそんなりんを無事に成仏させるため、りんと共同生活をすることを決意する。    また新学期の学校では、尚也は学園のアイドルこと花宮琴葉と同じクラスで席も近くなった。  尚也は1年生の時、たまたま琴葉が困っていた時に助けてあげたことがあるのだが……    霊能者の尚也、ギャル地縛霊のりん、学園のアイドル琴葉。  3人とその仲間たちが繰り広げる、ちょっと不思議な日常。  愉快で甘くて、ちょっと切ない、ライトファンタジーなラブコメディー! ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件

遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。 一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた! 宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!? ※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

Hand in Hand - 二人で進むフィギュアスケート青春小説

宮 都
青春
幼なじみへの気持ちの変化を自覚できずにいた中2の夏。ライバルとの出会いが、少年を未知のスポーツへと向わせた。 美少女と手に手をとって進むその競技の名は、アイスダンス!! 【2022/6/11完結】  その日僕たちの教室は、朝から転校生が来るという噂に落ち着きをなくしていた。帰国子女らしいという情報も入り、誰もがますます転校生への期待を募らせていた。  そんな中でただ一人、果歩(かほ)だけは違っていた。 「制覇、今日は五時からだから。来てね」  隣の席に座る彼女は大きな瞳を輝かせて、にっこりこちらを覗きこんだ。  担任が一人の生徒とともに教室に入ってきた。みんなの目が一斉にそちらに向かった。それでも果歩だけはずっと僕の方を見ていた。 ◇ こんな二人の居場所に現れたアメリカ帰りの転校生。少年はアイスダンスをするという彼に強い焦りを感じ、彼と同じ道に飛び込んでいく…… ――小説家になろう、カクヨム(別タイトル)にも掲載――

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

処理中です...