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絶世のハンターは狙われる
過去と対峙、そして「魔神」は堕とされた
しおりを挟むディストが魔族に襲われてから一か月、クロウはピリピリしていた。
一か月経過してまた仕事を受けれるようになったディストを襲う存在が現れるんじゃないかと警戒していた。
その為、また仕事について回るようになっていた。
ゾンビのような魔族の頭部をディストは銃で破壊する。
頭部は肉片がはじけ飛び、体はわずかに動いてから倒れ塵になり、飛び散った肉片も塵になった。
最後に、クロウが起動しなくなっていた浄化の像を起動させて周囲を浄化させる。
「……終わったぞ」
「終わったか? よし帰るぞ!! さっさと帰るぞ!! 余計な連中来る前に帰る!!」
依頼内容を全て終わったのを再確認したクロウは、ディストの手を掴んで空間に穴を開けて帰ろうとしていた。
ディストは困惑した雰囲気を纏いながらそのまま連れて行かれた。
移動先はマリーの店の中で、マリーは依頼書に目を通していた。
「よぉ、マリー!! 依頼は終わった!! ハニーと俺は家に帰る!! 以上!!」
「待て、俺はまだ仕事――」
「はい、ディストさん、クロウ、お疲れ様でした。ゆっくり休んでくださいね?」
二人そろって、ワーカーホリックのディストに仕事をこれ以上任せないという意思疎通が取れているのか、ディストの言葉をさえぎってマリーは言う。
仲介屋に、これ以上仕事は今はさせられないと判断されているのに、無理に仕事をしようとするとマリーの痛い一撃をもらうことになるのをディストは見たことがあった。
なので、渋々クロウに連れていかれた。
「ほら、薬! それ飲んだら風呂入るなり、シャワー浴びるなりして汚れを落とせ!」
自宅の方へ連れていかれると、薬を渡される。
この一か月少しずつ変わっているが飲まされている薬を飲み干すと、ディストはクロウに押し込まれるようにバスルームに入れられた。
ため息をついて、シャワーを浴びる。
汚れを落とすと、タオルで体を拭き、用意されていた服を身に着ける。
服に袖を通し、風呂場から出ると、クロウが抱きかかえてベッドにディストを寝かせた。
「いいから、今日はもう寝てろよ」
クロウはディストにそう言ってバスルームに入っていった。
逃亡するのも可能だが、依然と違ってそんな気は薄れ、言う通りにベッドで眠ることにした。
クロウがバスルームから出てくると、ディストが静かな寝息を立てて眠っていた。
それを見て、クロウは少し安心すると、自分も服を着る。
ソファーに座り、モニターのような画面を広げて、情報を整理し始めた。
「……浄化作用のある物を破壊から起動停止に変化してるな……問題なのはこれをしてる奴の目的だ、ただの暇人ならともかく、これをやってるって事は目的が何かあるはずだ……ああ、くそ、制限せずに調べたいけどそれやったら色々バランス崩れるしな……やってらんね!」
そう言って立ち上がり、ディストが眠っているベッドに横になる。
眠るディストをちらりと見てから、目をつむり眠ることにした。
翌日の朝マリーは家兼店舗で依頼書等のやり取りをした。
「いらっしゃい……教会の方ですか」
ローブで顔を隠した人物がやってきた、息を切らしている。
「クロウが復帰したと聞いた」
「……一時的な物ですよ、何かあったんですか?」
「教会本部と周辺の街が魔界化した」
「……は? 冗談やめてくださいよ」
その人物の言ってる言葉を、マリーはあり得ないと断じた。
魔族対策教会本部周辺は奇跡の加護を受けている、それが破られることはあり得ないと。
もし、それが破られるとすれば――
強大な力をもった魔族が地上に出たという証拠である。
神代の頃の恐ろしい魔族が。
「真実だ……!!」
「……」
ローブを纏った人物の剣幕に、マリーは遠見の魔術を使う。
視界に映ったのは、魔界化した教会本部と周囲の街、無数の死体。
「!!」
マリーは急いでクロウに連絡をした。
『……ロウ……クロウ!!』
「んが?!」
マリーの突如の連絡にクロウはベッドから落っこちた。
「なんだよ急に……」
『教会の本部と周辺が魔界化しました!!』
「は?! 冗談だろ?! あそこが魔界化なんて――」
マリーの言葉に、クロウは遠見の術で教会の本部周辺を覗き見る。
そこは魔界と化していた。
「は?! 何だよコレ!? 教会の連中はどうしたんだ?!」
『……ほぼ全滅だそうです、あなたには早急にこれに対応していただきたいんです』
「……しょうがねぇな、引き受けてやるよ」
『あのそれと――』
マリーが何か言いにくそうにしていたので、クロウは尋ねた。
「なんだ?」
『ディストさんが仇として追っている魔族の最後の一体も現れてるようです』
「……マジかー……」
「その情報は本当か?」
「げ」
少し前に目を覚ましたのか、マリーの言葉に反応して、ディストは二人のやり取りに割り込んだ。
『ディストさん、気持ちはわかるけど我慢して、貴方まだ病み上がりなのよ?』
「俺は行く」
「……わかったよ、連れて行く」
『クロウ!!』
「ただし、何が何でも死ぬんじゃねーぞ、生きて帰るのを誓え」
「……分かった」
そういうと、クロウは空間に穴を開けて倉庫へ入る、そして何かの剣と銃持ってきてディストに渡し、空間の穴を閉じた。
黒い色の重厚だが刀のような剣と、人間にはずっしりと重く感じられる重工で美しい装飾のされた銃だった。
「……なんだこれは」
「お前の親父の遺品」
「!!」
「あの時、運悪くマリーに修理に出してたやつだ、お前の親父はあの時本調子じゃなかったんだよ色んな意味で」
「……」
「今使ってる奴よりも魔族に対する効果は抜群だ、使いこなして見せろ」
「……ああ」
ディストは持っていた武器を置き、父の遺品を身に着けた。
クロウも、いつもと違う武器を身に着ける。
「マリー、お前ももしもの時のために待機しとけ」
『はい、わかってます、もしも、がありそうですからね』
「そうした時、俺本気だしたら色々問題でるから頼むわ」
『はい』
「じゃあ、行ってくる」
『気を付けて』
クロウはマリーの通信を切ると、ディストに浄化の術が強くかかった黒いマスクを渡し、ディストは鼻と口をそのマスクで覆った。
クロウはそれを見てから空間の穴を開ける、開けた途端すさまじい瘴気が流れ込んできた。
「こいつは相当だな」
クロウとディストはそう言って穴を通り、教会本部のある場所へと移動する。
移動し終えると空間の穴を塞いだ。
「……マスクがなければ瘴気にやられてるな……」
ディストは転がっている、死体を見て呟いた。
死体に外傷はない、魔界の瘴気にやられて死んだのだと予測できた。
「面倒な仕事かもしれないが、それでも早めに終わらせるか」
「ああ」
クロウとディストはまず、魔樹がある場所ではなく、教会本部へと向かった。
魔樹を切り倒しても、本部にある浄化の奇跡を宿す物に異変があった場合また魔樹が生えてくる可能性があるからだ。
すさまじい数の魔族が、二人に襲い掛かってくる。
クロウは歪な形の剣に炎を纏わせて一薙ぎする。
凄まじい衝撃波が起き、その直線上にいた魔族がすべて炎で浄化され消滅していった。
他の魔族がそれに怯んだすきに、二人はそのできた道を通って教会本部へと向かっていく。
空から飛んでくる魔族は、銃弾で頭部を吹き飛ばして撃ち落とし、近づいてきた魔族は剣で切りつけ、それでも息があるようなら銃弾を頭部に撃ち込んで浄化した。
魔族を薙ぎ払い、撃ち落とし、浄化しながら少しずつ教会本部へと近づいていく。
漸く見えた教会本部の入り口には巨大な魔族が仁王立ちしていた。
「あ゛ー! 面倒なのがしかもお前の仇じゃねぇか!」
「……クロウ、俺が時間を稼ぐ、お前は浄化の奇跡が働いているか確認して、必要なら動作させてくれ」
「は?!」
「……俺は浄化の奇跡を動かせん、お前が動かせ」
「……仇討ちは?」
「その後だ……!!」
ディストが巨大な魔族に切り込んでいく。
魔族が起こした衝撃波を間をぬって、魔族の体に傷をつけながらも、近づきすぎたと判断するとすぐに距離を置いた。
クロウは舌打ちし、ディストに魔族が気を取られている内に入り口に飛び込んだ。
教会の中に入ると、目を黒くして内部構造を瞬時に分析する。
「なるほど、あそこか!! すぐ戻るから無理すんなよ!!」
クロウはそう言って空間に穴を開けた。
穴を開けた先では、何か結界のようなものがはられた一か所に生き残っていた教会本部の位が高そうな人物たちがいた。
「こ、ここまで魔族が!?」
「あー、俺ハンター、依頼受けてきた」
「……そうか、伝えてくれた者が居たのか……」
一番身分が高そうな人物が、他の騒ごうとしている人物たちを抑えて話しかけてきた。
「この通り、奇跡のおかげで私たちは今助かっているのです……」
「その浄化の奇跡の物体ちょっと見せてもらう」
「ぶ、無礼者! 部外者に――!!」
「黙りなさい、貴方ならこの奇跡に起きた障害を取り除けるのですか?」
「ああ、その為に来た」
「では……」
その人物は、何かが置かれているものの置いてるものではなく、その下を動かした。
下から現れたのは、枯れかけた花だった。
「わーお、浄化の花イデアか。大昔にほとんど枯れたって聞いたけどなるほど、奇跡で作られた花だからか」
「前までは咲いていたのですが、この数日のうちに急に枯れ始めて……」
「このざまか」
その人物が持っている枯れかけた花に、クロウは異形と化した手を伸ばす。
「ああ、こいつ悪さしてたのか」
軽く触れると、枯れかけていた花は美しくみずみずしい色合いと形になった。
結界が広がり、周囲を浄化していく。
「おお……!!」
「た、助かったぞ!!」
「ありがとうございます、このお礼は――」
「礼は、いい。おい其処のさっきから俺に噛みついてきたお前」
「な、なんだ!!」
「お前がこの花を枯らしたな?」
クロウがそういうと周囲がざわめき、指さされた男から離れていく。
男はにたりと笑うと不気味な魔物に変化した。
「この浄化でも動けるってのは相当な魔族になったってことだな」
「ぎゃははははははは!! 死ね死ね死ねシネ!!」
「あー精神もぶっこわれか、じゃあ……」
クロウの頭部を掴もうとした魔物の腕を異形の手でつかみ。
「お前が死ね」
潰すと魔物の腕はパキーンと砕け散った。
クロウは魔物に一気に詰め寄り、コアをえぐり取ると、魔物はぐねぐねと体を曲げ、奇声を発してクロウを食い殺そうと牙をむけるが、クロウが先にコアを粉々に破壊し、魔物の頭部もぐちゃりと握りつぶした。
魔物は塵となり、クロウは手に付着した体液を手を振って払った。
「……まだ魔物が外にいるからあんた等はここにいな」
「貴方はどうするのですか?」
「まだ魔物がわんさかいるし、魔樹も消えてない、それをどうにかする」
「分かりました、貴方に神の祝福があらんことを」
「は、よせよ」
クロウはそう言うと、空間の穴を通り入り口付近に戻る。
穴を閉じてから、入り口に向かった。
クロウが目にしたのは、魔物の巨大な脚の攻撃に、剣で耐えるディストの姿だった。
「おら、クソ魔族その汚い脚どけやがれ!!」
クロウが異形の手で巨大な魔族の顔をぶん殴ると、魔族は地面に倒れこんだ。
「ディスト!! 首をはねろ!!」
クロウがそう言うと、ディストは目を赤く染め、魔族の首を一閃で切り落とした。
頭部は塵になり消滅したが、首から下はまだじたばたと動き回っており、クロウが異形の手でコアのある場所に拳を叩き込みコアを粉々に砕いた。
コアを砕かれた体は塵となり消滅していった。
「大丈夫か?」
少しよろめいているディストの体をクロウは支えた。
「大丈夫だ……それよりも魔樹だ」
「……戻った方がいいんじゃないのか? 仇討ちはこれで終わったんだろう……まぁ最終的な止め刺したの俺だけどさ……」
「長年のしこりは多少とれたから気にするな。……それより少しでも手伝わせてくれ」
「……分かった、無理すんなよ」
瘴気がなくなったのを確認できていたクロウは指を切ってディストに血を与えた。
ディストはその血を飲み、少し体を回復させてから、クロウと共に魔樹のある方へと向かっていった。
奇跡が復活した影響で魔樹から出る瘴気の量が減っていた。
それに比例して魔物の数も減ってきており、二人は少なくなった魔物を剣と銃で掃討しながら進んでいった。
魔樹の下に来ると一体の魔族が魔樹に触れていた。
「贄は既に集まった!! 私を止められるものは誰もいない!!」
「うるせぇさん下が吐くようなセリフ言いやがってくたばれ!!」
クロウが銃を撃った直後、その魔族は魔樹に取り込まれた。
「は?」
「……やはりそうしたか、愚かな、あの切り札をやはり奴は信じていないのか」
取り込まれた直後、ディストを凌辱した魔族が姿を現した。
「あ゛ー!! てめぇ!! ぶっころ……」
しかし、すぐさま姿を消したのでクロウは殴ることができなかった。
「畜生!!」
クロウが地団駄を踏むと、同時に大地が大きく揺れた。
「……何が起きてる?」
「……あ、なるほどそういうわけか」
事態を把握したクロウが呟いた。
「さっきの魔族、神になろうとしてやがるんだよ、魔神に」
そういうと、魔樹が姿を変えていき、先ほどの魔族が巨大化したような姿に変わっていった。
魔族が手を振り下ろすと、地震が起き、各地に落雷が落ちた。
空気が瘴気で汚染されていく。
『どうだ!! これが神だ!! 破壊者でも壊せぬだろう!!』
魔族――魔神はそう高笑いして、二人を叩き潰そうとしたが、クロウがディストを抱きかかえてすぐその場から離れた。
再び落雷が落ち、クロウはすれすれでその落雷をよけていく。
『手も足も出まい!!』
「出ないんじゃねぇよ、出したら不味いから出してねぇだけだ」
クロウはディストを地面に下ろして吐き捨てる。
「だがあんたはミスしたぜ、ただの巨大な魔族になるんだったらともかく、神になっちまったんだからなぁ」
『なんだと!!』
クロウは後ろを向いた、そこには槍を持ったマリーの姿があった。
槍はいたって普通の木でできた槍だった。
「ええ、その通り、神になった。なら堕とさなければなりませんね」
マリーは槍を構える。
マリーの足元に無数の魔法陣が展開された。
「神代は終わりをつげ幾星霜、今は人の世、神は奇跡を残すのみ」
マリーの持っていた槍が黄金の輝きを放つ。
「されど再び神が世界に干渉せしとき、我、賢者神から世界を守護するのみ」
目を閉じていた目を見開く。
マリーの魔力が槍に集まり、槍は更に輝いた。
「終わりの時は来れり、我は神を堕とす者――!!」
マリーは槍を投げた、槍はすさまじい速さで飛んでいき、魔神の胸を射抜いた。
槍は魔神の体を貫通し、天で光を放って消えた。
マリーはその場に荒い呼吸をしながらその場にしゃがみ込む。
それと同時に魔神の体にひびが入り崩壊していった。
『何だ?! 何が起きたのだ!?』
「堕とされたんだよテメェは。神の名も、力も、それに付随する全てが無に帰った!! テメェはただの大した力もない魔族だ!!」
『おのれ、おのれおのれおのれぇえええええ!!』
「ディストさん、クロウ、後はお願いします……!!」
「おう、任せろ、行くぜハニー?」
「その呼び名はやめろ」
ディストとクロウは崩壊し自棄になっている魔族に突っ込んでいく。
破片を避け、今だ残っているコアめがけて突っ込んでいく。
「くたばれ雑魚が!!」
「死ね」
ディストの剣の一閃がコアを真っ二つに割り、クロウの異形の拳がコアを粉々に砕いた。
耳障りな絶叫とともに、魔神――否、巨大なだけの魔族は塵になった。
「……」
塵になったのを確認すると、ディストはその場に倒れこんだ。
「ディスト!!」
クロウはディストを抱きかかえる。
「……疲れた……」
「それだけかよ、よかったマジで」
抱きかかえたまま脱力するという器用な行動をとると、クロウはそのままマリーに近づく。
マリーも回復したらしく普通に立ち上がっていた。
「あーこの技使うの千年ぶりかしら!!」
「そういう発言は年より臭いから辞め……いででで!!」
マリーがクロウの耳を引っ張る。
「……マリー……貴方はいくつなんだ?」
「内緒です」
当たり前の疑問を持ったディストの質問に、マリーは答えなかった。
ディストも深く問い詰めることはしなかった、問い詰めると後が怖いと判断したのだ。
「よし、帰るぞ、ディスト」
「……どこへだ?」
「家にだ」
「家……ああ、そうか」
クロウに抱きかかえられながら、ディストは目を細めた。
「ああ、帰るか、家に」
その言葉を聞いて、クロウは満足そうに笑うと、空間に脚で穴を開けて移動する。
「代金は振り込んでおきますからー!!」
「おう」
クロウはそう返事をして、空間の穴を閉じた。
クロウは自宅に戻り、ディストをベッドに寝かせる。
ディストはぐったりと横になっていた。
クロウはディストを押し倒すような恰好になり、にたりと笑った。
「さーて、頑張った俺にご褒美をくれハニー」
「……俺も何だが」
「まぁ、それは建前って感じで、ハニー瘴気とかにかなり体やられてるだろう」
「……好きにしろ」
「OK」
クロウはディストの服を脱がせて、いつもより血色の悪い美しい肉体を撫でる。
ローションを取り出し、指を濡らして後孔に指をつぷんと入れてほぐしていく。
「っ……」
ぐちゅぐちゅとほぐされた後、柔らかくほぐされた後孔にクロウは自身の昂った男根を挿れた。
「は、ぁ゛……!!」
ディストはのけ反り、シーツを掴んだ。
肉壁はぎゅうぎゅうと絡みつき、クロウの種を欲しがっているように絡みついてきた。
ばちゅんばちゅんと粘質的な音を立てながら突くと、ディストの口からかすれたような濁ったような喘ぎ声が上がった。
声を何とか押し殺そうとしているディストを見て、クロウはその様が可愛らしいものに見え、口づけをする。
口を口で塞いで、舌を入れると、ディストは舌を絡ませてきた。
クロウは何となく、ディストが不安になっていると感じた。
あれほど憎んだ仇をついに全員クロウの手助けがあったとは言え討ったのだ。
帰る家を認識したとはいえ、これからの目標が無くなったのだ、これからどのように生きていくのかが不安だったのだ。
ディストはクロウが落ち着くように頭をやさしく撫でて、口づけを続けた。
するとディストはシーツを掴んでいた手を離し、クロウの腕をつかんだ。
強く捕まれているが、体の頑丈さならディストをはるかに上回っているクロウの腕はディストに力一杯掴まれても軋む気配も折れる気配もない。
クロウはそれを愛おしく思いながら、腹の奥に欲をぶちまけた。
ディストの体はびくびくと震え、男根からはどぷりと精液をこぼし、そしてのけ反り絶頂した。
腸壁はぎゅうぎゅうと絡みつき、より種を求めるように柔らかく、心地よく締め付けてきた。
絶頂するナカをクロウは力強く突き続けた。
クロウが男根を抜くとごぷり……と、後孔から白く濁った液体が零れた。
意識を失って眠るディストの髪を撫でると、抱きしめて眠った。
一週間後、マリーの仲介店に、その日来客は訪れた。
「いらっしゃ……あら、ディストさん、クロウもまた一緒に?」
一週間ぶりに来たクロウとディストを見てマリーは驚いたような表情をする。
「まぁ、色々あってな。俺も賞金稼ぎ本当の意味で復帰することにしたわ、ハニーの相棒としてな」
「だからその呼び方はやめろ」
ディストに肘鉄をされても、クロウは動じてないようだった。
「まぁ……しかし、一週間もなにを」
「いや、情報屋やめようかって話に出したら顧客たちがこぞってやめないでくれーって押し寄せてきてその対応に追われてたんだよ」
「声が寝室まで響いてきてたぞ、凄まじい客だったんだな……」
「だから兼業することになった、まぁどっちも手を抜くつもりはないから安心しとけ」
「……まぁクロウさんなら大丈夫ですか」
マリーは何とも言えない表情を浮かべながら依頼書を見せた。
「小規模ですが、魔樹が確認された依頼があります。受けますか」
「もちろんだ」
「ああ」
「では、お願いします」
マリーが依頼を発注すると、クロウは空間に穴を開けてディストともに姿を消した。
「……ディストさんが燃え尽きるんじゃないかと心配してましたが、杞憂でしたね」
マリーはそう呟くと、依頼書をまた整理し始めた。
薄く瘴気が漂う街に、クロウとディストは降り立った。
「じゃあ、さくっと行くか」
「そうできたらいいがな」
二人は剣と銃を手に魔族の群れに突っ込み、蹴散らしていった。
余裕綽々と言わんばかりのクロウと、冷静に対応するディスト、二人のコンビがハンター業界で有名になるのにはさほど時間がかからなかった。
二人は狩り続ける、魔族が人間界を脅かす限り――
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